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⭐️キュアアップ!✨  作者: モノクロ無彩色


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魔法剣士の長剣

「まほうけんし……! なんだか響きがすっごく格好いい!」


ひよりが目をキラキラと輝かせていると、ゴルドはニヤリと不敵に笑い、訓練所の壁際に立てかけられていた、ずっしりと重みのある前衛用の「長剣(木剣)」を一本、掴み取ってきた。


「おい姉ちゃん、短剣の身軽さもいいが、こいつを持ってみろ。魔法剣士ってのはな、長剣の大振りに魔法の威力を乗せてぶち込むのが醍醐味なんだよ」

「わぁ、おっきい剣だね!」


ひよりはゴルドから長剣の木剣を受け取った。

10歳のひよりにとっては未知の重さのはずだが、20歳の大人の引き締まった肉体は、その重量を難なく支えてみせる。サーシャが作ってくれた新しい制服のホールド力のおかげで、重い剣を持っても胸元がグラつくこともなく、すこぶる構えやすい。


「いいか、まずは基本の『形』だ。足をこう開いて、腰を落とす。そこから一気に踏み込んで、こう振り抜くッ!」


フンッ!


と凄まじい風切り音を立てて、ゴルドが長剣の手本を見せた。大柄な体躯から繰り出される一振りは、木剣とは思えないほどの迫力だ。


「やってみろ!」


「はーい! ええっと、こうだね? ――ていっ!」


ひよりはゴルドの動きをじっと見つめると、その滑らかな体の使い方や重心の移動を、持ち前の抜群の運動神経で一瞬にしてコピーしてしまった。


トン、


と軽やかに足を踏み込み、綺麗な弧を描いて長剣の木剣を真っ直ぐに振り抜く。


ブンッ!!


初心者とは思えないほど綺麗で無駄のない鋭い風切り音が、訓練所に響き渡った。

ひよりが剣を振り抜くと同時に、胸元から腰へと垂れ下がる二重構造のふわっとした布地が、まるで美しい翼のようにひらひらと優雅に宙を舞う。


あまりにも「すんなり」と完璧な形をやってのけたひよりを見て、ゴルドは


「……なっ!?」


と目を見張り、スコットにいたっては


「すごすぎる……」


と口をあんぐりと開けて固まってしまった。

ひよりの脳内では、相棒のキュアが飛び上がって大興奮していた。


《ひより! すごいね! フォームがめちゃくちゃ綺麗だよ! もしかして本当にものすごい才能あるかも……!》


(ふえへへ、キュアに褒められちゃった! なんだかこの体、思った通りにすいすい動いてくれて、剣を振るの、すっごく気持ちいいよ!)


ひよりがニコニコしながら木剣を構え直すと、ゴルドは感心したように顎をなで、少し声を潜めて教えるように言った。


「おいおい、本当に大したもんだ。だがな姉ちゃん、今はただの『木の剣』だから魔法を流すのはダメだぞ。木じゃ魔力に耐えきれずに一発でパァになっちまうからな。……だが、もしこれが『魔法を通す剣(魔導剣)』なら、話は別だ。威力が何倍にも倍増するぞ」


「いりょくがばいぞう……! なんだかアニメのパワーアップみたい!」


「ハハッ、まさにその通りだ。それだけじゃねえ。もっといいやつ――熟練の鍛冶師が作った高級な魔導剣なら、ただの武器じゃねえ。魔法使いが使う『魔法の杖』と全く同じ効果もあるしな。呪文の威力を高めたり、詠唱を助けてくれたりするんだ」


ゴルドのその言葉に、ひよりはさらに胸を(ふんわりカモフラージュしたまま)高鳴らせた。

剣としても戦えて、しかも魔法の杖の代わりにもなるなんて、まるでアニメの伝説の勇者様か最強のヒロインのようだ。


「魔法の杖とおなじ……! じゃあ、わたしがそのかっこいい剣を持ったら、魔法ももっと強くなるのかな?」


「もちろん、相乗効果でとんでもねえ威力になるだろうよ。お前がその才能を磨き続ければ、いつかそんな業物を手にする日も遠くねえな」


ゴルドが力強く太鼓判を押すと、横で聞いていたスコットも


「魔法の杖と同じ効果がある剣……僕もいつか、ひよりさんに似合うような凄い魔導剣を見つけられるくらい、立派な冒険者になります!」


と、頬を少し赤くしながらも拳をぎゅっと握りしめて誓っていた。


「うん! スコットくん、ありがとう! わたし、もっと練習がんばるね!」


新しいお洋服の裾をひらひらと揺らし、長剣を構えて無邪気に笑うひより。

脳内のキュアと、目の前のスコット、そして鬼教官のゴルドに見守られながら、ひよりの『無敵の魔法剣士』への第一歩は、想像以上の輝きを放ち始めていた。

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