めちゃくちゃエッチな魔法少女の的当て屋
お祭りはそのまま、留まるところを知らない大狂乱の渦へと突き進んでいった。
当のひよりは、念願の魔法少女『キュアアップ』そっくりの衣装を着こなせていることで、完全にテンションマックス。
「えいっ! パコンっ! はい、次の方どうぞぉ!」
と、満面の笑みで元気に屋台を盛り上げている。
最初は無防備に全開だったひよりだったが、頭の中のキュアが必死に
『ひより、前屈みになる時は胸元を手で押さえて!』
『ほら、しゃがむ時はスカートの裾をちゃんと引っ張って!』
とアドバイスし続けたおかげで、だんだんと学習していった。景品を拾う時やマトを直す時、意識して胸元を片手でキュッと押さえたり、スカートの中が見えないように工夫できるようになったのだ。
しかし、それが周囲の男たちにとって「さらなる地獄(ご褒美)」となった。
「クソッ、ガードが一段とエロくなった……!」
「隠してるのに……あの動いた瞬間に、どうしてもチラッと見えちまうのがたまらん!!」
完璧に丸見えだった最初よりも、ひよりが健気に「隠そう、隠そう」とすればするほど、シースルーの向こう側で強調されるバストの肉感や、動きの隙間から一瞬だけ覗く太ももの付け根のチラリズムが、まるで一種の麻薬のような強烈な依存性を生み出していった。見えそうで見えない絶妙な境界線に、周りの男たちのテンションは爆上がり。広場の一角には地鳴りのような歓声が響き渡る。
「おい、もう財布の中が空っぽになっちまったぞ!」
「俺なんて今月のお小遣い全部使い果たしたわ!」
悲鳴をあげる男たちが続出するが、ひよりはそんな一文無しになったお客さんたちにも、
「わぁ、いっぱい挑戦してくれてありがとう! お財布、大丈夫?」
と首をちょこんと傾げながら、どこまでも優しく、天使のような笑顔で声をかける。
これには男たちも、財布はスッカラカンなのに
「……最高の人生だった」と言わんばかりの半端ない満足感に包まれ、その場から離れようとしなかった。
当然、お祭りの最中にもかかわらず、広場には凄まじい噂が駆け巡っていた。
「おい、あっちの広場に『めちゃくちゃエッチな魔法少女の的当て屋』があるぞ!」
「隠し方が尋常じゃなく男を狂わせる職人技だ!」
噂を聞きつけた新たな男たちが津波のように押し寄せ、的当て屋の周囲は身動きが取れないほどめちゃくちゃに混雑し始めていた。
人混みの向こうを見渡しながら、ひよりはハラハに向かって、無邪気に笑いながら話しかけた。
「ハラハさん、お祭りってすごーく混むんですねぇ!」
ハラハは額の汗を拭いながら、内心で激しくツッコミを入れていた。
(バカ言え! 普通のお祭りがこんな混み方するわけねえだろ! 広場の全人口の8割がここに集中してんぞ!)
しかし、ここで本当のことを言ってひよりに変な警戒をされては困る。ハラハは的屋のポーカーフェイスを必死に維持しながら、平然とした声で答えた。
「……あ、あぁ、そうだな。俺の仕切りがいいから、いつもこんな感じだぞ」
(よし、これで次回の祭りにも絶対にバイトに来てもらわねえと困るな……。もちろん、最高額の歩合ボーナスを上乗せして引き止めてやる!)
そうこうしているうちに、前代未聞の事態が発生した。
男たちが「いい景品(=ひよりの激しい動きが見られるマト)」ばかりを狙って弾を撃ちまくった結果、なんと、山積みだった景品が完全に底をついてしまったのだ。
(おいおいおい! まだ客は山ほど並んでるってのに、景品が全部なくなるなんて的屋人生で初めてだぞ! だが、モノがねえんじゃ仕方がない、ここで終わりにするか……)
ハラハが店じまいの口上を述べようとした、その時だった。
ひよりが屋台の空っぽの棚を見て、
「あれれ? 景品がもうないや。困ったな……」
とぽつりと呟いた。
その可愛らしい困り顔を見た男たち――すでに景品をゲットして、ひより見たさに再び列に並んでいた猛者たちが、血眼になって叫んだ。
「お、お嬢ちゃん! 景品ならこれがある! この景品をそっくりそのまま返すから、もう一回ゲームをやらせてくれ!!」
「俺のこれも返す! だからその、マトを直すところをもう一度……!」
ハラハが「待て待て、そんなシステムは――」と口を挟むより早く、ひよりはポンと手を叩いて、満面の笑みを浮かべた。
「本当!? 景品を返してくれるの? なら、お返しの景品1個と引き換えに、1回サービスで遊ばせてあげるね!」
そう言うと、ひよりは大好きなアニメのヒロインの真似をして、男たちに向かってパチンと可愛くウィンクをしてみせた。
「うおおおおおーーーっ!!!」
男たちの理性が完全に崩壊した。
「おい、早く俺の景品を回収してくれ!」
「俺も返す!」
と、一度吐き出された景品が凄まじい勢いで屋台へと戻ってくる。ゲームは終わるどころか、永久機関のように再始動した。
ハラハは信じられないものを見る目で、次々と戻ってくる景品の山を見つめた。
(おいおい……景品の追加仕入れをしてねえのに、タダでどんどん景品が戻ってくるぞ……。なんだこの錬金術は……)
男たちにとっては、景品そのものなど最初からどうでもよかったのだ。
ひよりが戻ってきた景品を受け取り、それを並べ直すために「よいしょ」と膝上20cmのスカートを揺らしてしゃがみ込む。胸元を手で必死に押さえながらも、チラリ、チラリと覗く究極のチラリズム。
男たちはその瞬間をもう一度拝むためだけに、喜んで特賞の景品を差し出し、ゲームに挑むのだった。




