表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
GOOD LUCK  作者: risiyakaea


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/92

第61話『新人ウルフ討伐』


森へ続く道を、四人はゆっくり歩いていた。


カイルは少し緊張した様子で周囲を見ている。

ミアも剣の柄に手を添えたまま、落ち着かない様子だ。


その後ろを、タクミとリナが歩いていた。


「硬いね」


リナが小声で言う。


タクミも苦笑する。


「そりゃそうだろ」


後ろにSランクが二人いる。

新人からすれば、緊張して当然だ。


少し歩いたところで、タクミが声をかける。


「カイル」


「は、はい!」


驚いたように振り向く。


「そんなに力入れるな」


タクミは周囲を軽く見渡す。


「ウルフは気配に敏感だ」


ミアが小さく頷く。


「……はい」


タクミは続ける。


「まず一つ」


「囲まれないように位置を取れ」


二人は顔を見合わせる。


タクミは地面に枝で簡単な図を描いた。


「ウルフは群れで動く」


丸をいくつか描く。


「前に出すぎると、こうなる」


丸が囲む形になる。


「だから――」


タクミは線を引いた。


「背中を合わせる形を作れ」


カイルが頷く。


「なるほど……」


リナが横で笑う。


「タクミ、教えるの上手いじゃない」


「普通だろ」


そう言った、その時だった。


ガサッ。


森の奥で草が揺れた。


カイルの体が固まる。

ミアも剣を構える。


次の瞬間。


低い唸り声が響いた。


グルル……


茂みから姿を現す。


ウルフ。


一体。


そして、もう一体。


さらに後ろから、もう一体。


「三体……」


カイルが呟く。


タクミは落ち着いて言う。


「焦るな」


二人の位置を見る。


少し離れている。


「近づけ」


二人はすぐに背中を合わせる位置に移動した。


タクミは頷く。


「いい」


ウルフがゆっくり距離を詰めてくる。


カイルの剣先がわずかに震える。


「カイル」


「は、はい」


「一体目はお前が前に出ろ」


「えっ」


タクミは静かに言う。


「大丈夫だ」


「動きは速いが単純だ」


ウルフが飛び出した。


カイルが反応する。


剣を振る。


だが、浅い。


ウルフはすぐに距離を取る。


「深追いするな」


タクミが言う。


「次来るぞ」


別のウルフが飛び出す。


ミアが剣を振る。


ガンッ!!


刃がぶつかる。


「今だ」


タクミの声。


カイルが踏み込む。


剣が振り下ろされる。


ズバッ!!


ウルフが倒れた。


カイルの目が大きく開く。


「や、やった……!」


だが、残り二体。


唸り声を上げながら距離を詰める。


「ミア」


タクミが言う。


「次はお前」


ミアが息を整える。


ウルフが跳ぶ。


ミアは体を横にずらす。


回避。


そして剣を振る。


だが、浅い。


ウルフが振り向く。


その瞬間。


「カイル」


タクミの声。


カイルが反応する。


剣が振り抜かれる。


ズドッ!!


二体目が倒れた。


最後の一体。


ウルフは一瞬、迷うように動きを止めた。


「今だ」


ミアが踏み込む。


剣が閃く。


ズバッ!!


ウルフが地面に崩れ落ちた。


静寂。


カイルが大きく息を吐く。


「……勝った」


ミアも肩の力を抜いた。


「なんとか……」


タクミは頷く。


「悪くない」


カイルが振り向く。


「本当ですか?」


タクミは言う。


「最初の動きは良かった」


それからミアを見る。


「回避もちゃんとしてた」


ミアが少し照れる。


「ありがとうございます」


タクミは倒れたウルフを見る。


「群れでも、落ち着けばいける」


それを聞きながら、リナが小さく笑った。


「なんか懐かしいね」


タクミも少し笑う。


「ああ」


昔。


初めてウルフを倒した時。


あの時も――


必死だった。


今目の前にいる二人は、きっとあの頃の自分たちと同じだ。


タクミがそう思った、その時だった。


ガサッ。


森の奥で、何かが動いた。


ウルフとは違う。


重い音。


ズシッ……


ズシッ……


タクミの目がわずかに細くなる。


「……ん?」


カイルが振り向く。


「どうしました?」


次の瞬間。


森の奥の木が揺れた。


そして現れたのは――


巨大な影だった。


カイルが息を呑む。


「な……」


ミアの声が震える。


「なに……あれ……」


赤黒い巨体。


地面を踏みしめるたび、土が揺れる。


巨大な牙。


鋼のような体。


タクミが小さく呟いた。


「ブラッドボアか」


新人二人が固まる。


その魔物は――


明らかにウルフとは格が違っていた。

読んでいただきありがとうございます。

初投稿ですので、ブックマークや評価をいただけると励みになります。


毎日更新予定です。

時間は不定期とさせていただきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ