第64章 闇に潜む牙
夜の静寂を切り裂くように、携帯電話が震えた。
竜司は寝床から起き上がり、画面を確認する。
表示された番号は知らないものだったが、直感で取ることにした。
「もしもし?」
電話の向こうからは、低く抑えた声が聞こえた。
「竜司、お前の命はもう長くない」
その一言が、竜司の心臓を凍りつかせた。
続けて、声はこう言った。
「裏切り者の名は既に知っている。お前が動く前に潰すつもりだ」
電話はそこで切れた。
竜司は息を飲み、携帯を握りしめたまましばらく動けなかった。
翌日、竜司は沙希と共に秘密の会議を開いた。
美咲と九条も同席したが、互いの警戒は緩められなかった。
「状況は悪化している。佐久間だけじゃない。敵は複数いる」
九条が静かに言った。
「裏切り者は内部にいる。それは間違いない」
竜司は決意を新たに、行動を開始した。
まずは信頼できる仲間たちと連絡を取り、情報網を再構築すること。
同時に、裏切り者を暴くための策を練った。
だが、その裏で黒羽会の幹部たちは暗躍し、政治家や半グレ組織との癒着も露わになりつつあった。
「俺たちは今、二重の敵に囲まれている」
竜司が声を震わせながら言う。
「だが、ここで諦めるわけにはいかない」
沙希がそっと手を握り、微笑んだ。
「一緒に闘おう、竜司」
闇に潜む牙は鋭く、いつでも襲いかかってくる。
しかし、竜司たちの絆はまだ砕けてはいなかった。
夜の街に灯るわずかな明かりが、彼らの未来を静かに照らしていた――。




