第63章 裏切りの影
東京湾の炎は、夜空を赤く染め上げた。
倉庫の爆発で混乱が広がる中、竜司たちは港を離れていたが、心の中の重さは増すばかりだった。
影山の死、そして佐久間の生存。
それに加え、港での混乱、美咲と九条との共闘。
だが、最も竜司を苛んだのは、仲間の中に潜む「裏切り」の匂いだった。
「なぜ……俺たちの計画が筒抜けだった?」
沙希が問い詰める。
竜司は答えなかった。彼もまだ分からなかったのだ。
美咲は薄く笑いながら、手のひらを広げた。
「情報は金よりも重い。流れる先を追いかけるのも悪くないわ」
九条は影を帯びた瞳で竜司を見つめる。
「仲間を疑うのは辛いが……今回は避けられん」
竜司は部屋の窓から外を見つめた。
この街は、裏切りと陰謀に覆われている。
黒羽会の残党はまだ動いている。
佐久間の動きも活発だ。
そして、誰かが外部に情報を流している。
その相手が誰かは分からないが、背後に潜む黒い影は確かに存在した。
「これからどうする?」沙希が耳元で囁く。
竜司は固く拳を握りしめた。
「……一人じゃ無理だ。美咲と九条、利用するしかない」
沙希の目が不安げに揺れたが、頷いた。
数日後。
竜司たちは新たな拠点に潜伏しながら、情報収集と調査を続けていた。
その中で、ある人物の名前が何度も浮上した。
「……あいつか?」
竜司がつぶやいた。
その名は、かつて竜司たちが信頼していた仲間の一人だった。
裏切り者の正体が近づきつつあった。
しかし、それが判明した時、竜司たちの絆は試練を迎えることになる――。




