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『グラウンドの亡霊たち』 ―血と汗と裏切りの果てに―  作者: キロヒカ.オツマ―


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第42章 閉ざされた檻の中で


冷たいコンクリートの床に背中を押しつけられ、竜司はゆっくりと目を開けた。

頭の芯がズキズキと痛み、視界はぼんやりとしていた。

目の前に広がるのは、無機質な白い壁。窓はなく、天井には一つだけ、薄暗い蛍光灯が淡く光を放っている。


両手首と足首は鋼鉄の拘束具でしっかりと縛られ、自由はなかった。体が動かせない恐怖が、ゆっくりと胸に広がっていく。


「ここは……どこだ……」


かすれた声が口をついて出た。答えはなかった。部屋の静寂だけが、耳に突き刺さる。

気を取り直そうと深呼吸をしてみたが、息が浅く、胸のあたりが締め付けられるような違和感があった。


そのとき、無機質なスピーカーから機械的な声が響いた。


「目覚めたか、No.7」


震える声で竜司は答えた。


「……誰だ。俺をここに連れてきたのは」


しかし返答はない。代わりに部屋の片隅に設置されたモニターが青白く点灯し、画面に映し出されたのは、港の倉庫の映像だった。


画面の中で、美咲が無表情にパソコンの前に座っている。彼女の動きは淡々としていて、その瞳からはかつての温もりが失われていた。


「美咲……」


その名前を呟くと、竜司の胸の奥が締めつけられた。


「なぜ……お前が……」


拘束されている手で壁を叩き、身動きを試みるが、鉄の鎖はびくともしない。


頭の中は混乱し、昨日までの日常が遠い夢のように感じられた。

仲間たちとの喧嘩、甲子園への夢、そして美咲の笑顔。


そのすべてが、まるで嘘のように崩れていった。


数分後、再びスピーカーから声が響いた。


「No.7、実験は継続する。拒否は許されない」


竜司は無意識に拳を握りしめた。

「絶対に……負けるものか」


部屋の壁の一角に、かすかな振動が伝わる部分を見つけた。息を呑み、慎重に指先で触れてみる。小さな通気孔のような穴が隠れていたのだ。


「……ここから逃げるんだ」


その思いが、胸の中で炎のように燃え上がった。


だが、監視カメラの目は厳しく光り続けている。

無音の監視に晒され、自由な行動は制限されていた。


「美咲……どうして、こんなことに……」


その問いは誰にも届かず、ただ時間だけが過ぎていった。


部屋の隅に置かれた小さなテーブルの上には、いつの間にか資料が一枚置かれていた。

それは「人体改造計画」の概要と、竜司の生体データの一部だった。


その文書にはこう書かれていた。


《対象:No.7(竜司)

 目的:超人的身体能力の実現

 手段:薬物投与および遺伝子操作の複合実験

 副作用およびリスク有》


ページの端には小さく、美咲の署名が印刷されていた。


「……これは……」


拳を硬く握りしめながら、竜司は闇の中で静かに誓った。


「いつか、ここから出て、必ず真実を暴いてやる」


部屋の空調が静かに作動し、冷気が竜司の肌を撫でる。

暗く閉ざされた空間の中で、彼の闘志だけが燃え続けていた。

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