↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Romeo & Juliet 2  作者: Maria
PR
9/11

dearly9...奇跡のような本♪

先生は私にあの夜のあの黒いワンピースの女の人のこと話してくれた。

『俺が大学生の頃だから20歳くらいだったかな?その時に家庭教師のバイトをやってたんだけどその時教えてた女の子なんだ。』

『…あの人何才?』

『う〜ん…確か22歳かな』

『ふーん。じゃあ大学生なんだ。』『いやもう働いてるよ。』

何で8年前に教えてた生徒と中村先生が夜にビリヤードしなきゃいけないの なんて聞けなかった。あたしに詮索する権利なんてないもんね…。

『…梨華ちゃん?』

てか今日先生あたしのこと梨華ちゃんて呼んでるけど何でだろ。でも…嬉しい♪嬉しいけど……『梨華ちゃんなんて呼ばないで!』

『え?ごめんッッ』

『…"ちゃん"はいらないよ』

『え?』

『だから梨華で良いってば!!』『…分かった!!』

やった♪これからは"梨華"って呼んでもらえる♪

『先生あたし…先生のことねッッ』

『もう帰ろう!遅いし。送ってくから…』

その日は結局何をすることも出来ず先生はあたしを家まで送ってくれた。

次の日学校で先生に会ってあいさつしたけど"あぁ"だって。

何だよそれ。

普通かな?いつもと変わらない?でも何だか今日の先生は冷たい気がした。

きのうは仕事の途中なのにわざわざ会いに来てくれたのに。きのうが良すぎたから今日の先生は優しく思えないだけなのかな…。

その次の日も私は先生に会いに行った。

だけどこれから会議だからって。

そりゃもうすぐ夏休みだから先生たちが忙しいのは知ってるよ。

でも私は話したいんだ。

あの夜先生に言えなかったことを伝えたいと思ってるからこうやって先生に会いに来てるのにどうして先生は避けるの。

その次の日も会いに行ったけど先生は居なくてそのあと廊下ですれ違ったけどまた"おぉ"だけ。もう…。先生って何考えてるかよく分からない。

私は何だか授業に出る気がしなくて久しぶりに学校の図書室へ行った。相変わらずつまらなそうな本ばっかりがずらーっと並んでいたけれど何だかむしょうに気になる本があった。

"ゲーテ詩集"

『ゲーテ…?』聞いたことはあったけどどの国の人だとかどんな言葉を残した人だとかその本を開くまで私は知りもしなかった。

けれどその奇跡のような本を開いた私は一瞬にして彼のとりこになってしまった。普段本なんか最初の一文だけでも眠ってしまいそうな私があんなに夢中になるなんてびっくりした。そこには時代を超えて男女を超えて国境を超えて私の胸に届くたくさんの素敵な言葉たちが溢れていたんだ。《あなたの顔のむずかしそうなこと!恋しい人よ!ここにある大理石のあなたの像にでもあなたをくらべたい。あなたにくらべれば、石さえ優しく見えます。わたしがあなたを探すと、あなたはわたしを避けようとなさる。あなたと彫像とどちらを抱きましょう?いっそ、言葉をむだに費やさないように、わたしはこの石にキスしていましょう。あなたがねたましがってわたしを石から引き離すまで。*ゲーテのソネット;少女は語る》『"私が探すと避けようとする"か─。』

先生はあたしを避けてる?よね…。これ以上は近付くなってことなのかな。私にはもう諦める道しか残ってないの?先生…。

【梨ー華ちゃん!今日暇?遊ばない?】


省吾からメールだ。省吾にはこの間迷惑かけちゃったしちゃんと先生のことも話しておきたいから会いに行こう。そして私は省吾と会って先生への想いを省吾に伝えた。省吾はただ黙って聞いていたけれどしばらくして省吾の開いた口から出た言葉は

『好きだよ、俺。梨華のこと。』

一瞬よく聞こえなかったからどうして良いか分からなくて。

『好きだよ、梨華。』

はっきり聞こえても私はどうして良いか分からなかった。省吾はそんな私をただ優しい瞳で見ていた。

いまもしも私が省吾の胸に飛び込んだならきっと省吾は私をその大きな腕で優しく抱きしめてくれるのだろう。だけど私は…

何も出来なかった。何も省吾に言えなかった。


次の日。先生に会いに英語科準備室に行ったら先生は入って良いよと言ってくれた。今日は優しい?

『あのね先生ッッ』

その時携帯が鳴った。省吾からだった。

『出なよ』

『良いです』

『出なって』

『でも…』

電話に出たら省吾の明るい声。省吾の声が静かな準備室に響く。先生の耳に届く。何か嫌だよ。

思わず私は切ってしまったんだ。だって私はやっぱり先生が好きなんだもん。ごめん省吾…。

『…彼氏☆?』

『え?別に』


『また"別に"か(笑)』

『だって』

『だって何?』

『…そうだよ。彼氏だよ私の!』

『そっか。』

『そうだよ!』『切っちゃって良いの?』

『別に先生に関係ない!』


私何言ってんだろ。先生…全然普通だし。ちょっとは妬いたりしてくれたりしないんだ。関係ない感じ?ちょっとくらい気にしてくれたって…。

『あのさ…』

『もう来ないよ!もう先生に会いに来たりしないから大丈夫だよ。』

『え?』

『先生あたしのことうざいって思ってるでしょ?』

『いや別にそんなことは』

『嘘!だって避けてるじゃん。もう良いよ。来ないから。じゃあ…失礼します中村先生。』

『木村さんッッ!』



"木村さん"か─。ムカつく…。だったら何であの夜名前で呼んだりしたの。何であの日会いに来てくれたの先生。好きじゃないなら、うざいと思ってるなら思わせぶりな態度取らないでよ先生のバカ。バカバカバカ!



プルル〜♪

『もしもし?』


『…省吾?会いたい。』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。