dearly8...Happy Birthday to you.
──月曜日。英語科準備室。
『失礼します!!あの〜中村先生。』
『お〜木村さん!どしたの?』『あのこれ…きのう作ったんですけど…良かったらッッ!!』
『…何これ〜?ケーキ?』
『一応ガトーショコラです。』
『へぇ♪ありがとね☆!』
『いえ♪じゃあ!』
『…ん?どした?』
『…あの。』
『ん?』
『中村先生って彼女とか居るんですか?』
『え…あ〜。居ないよ〜(笑)』
『へぇ居ないんだぁ(笑)』
『うん居ない居ない(笑)』
『…嘘つき。』
『え?』
━━バタン!
何で先生は嘘をつくの。
私にも白井さんにも。私たちが生徒だから?先生は生徒にそういうことは教えちゃいけないわけですか。ムカつくし。それともモテたくて嘘ついてるわけ?だとしたら最悪じゃん。どっちにしろこっちの気持ちに真剣になってくれてない最低の男じゃん。
……って。いくら先生を悪く考えたって私は先生が好きで。先生に惚れてて。悔しいほど大好きで。なのにきっと中村先生にはこれっぽっちも伝わってなんかなくって。それが辛くて悲しくて。先生が大好きだから…。
私は日曜日の夜、先生への想いをいっぱい込めてガトーショコラを作った。可愛くラッピングもして。その袋には手紙…小さなメモ用紙を入れたんだ。先生ちゃんと読んでくれたかな。
《中村先生へ。今日の夜7時。恵比寿ガーデンプレイスで待ってます。先生が来るまで待ってます。》
私はその夜姪衣に借りた黒いワンピースを着て精一杯のおしゃれをして私の中の出来る限りで必死に大人の女ぶって。恵比寿ガーデンプレイスで先生を待ってた。時計の針が7から8になって9から10になっても私はただ先生が来ることだけを祈って待っていた。
『…村さん!梨華ちゃん?』
『先生…!来た…もお来ないかと思った(泣)うわーん!!(涙)』『え!ちょっと梨華ちゃんッッ』『先生〜〜!!!』
『とりあえず車行こう。ね?(汗)』
先生の車の中は何か良い香りがした。大人な香りがしたの。
『てゆうかずっと待ってたの?』
『…だって待ってますって言っちゃったし。』
『にしても3時間だよ?もし俺が来なかったらどうしてたんだよ…』
『……ごめんなさい。』
『いや…謝るのはこっちだよ!こんな若い子こんな所でこんな時間に1人で居させちゃって…しかもそんな格好で!』
『あ…。だって大人っぽくてセクシーかなって。それに恵比寿だし。』
『何それ?(笑)あ!てか何で恵比寿なの〜?』『だって…大人が行く所って言えば恵比寿かなって…。』
『何だよそれ(笑)てか地元で良いじゃんかぁ。まぁ大人に憧れる年だから仕方ないのかな』
『大人にじゃないよ!憧れてるのは…』
『え?何?良く聞こえ』
『もう良いよ!!てか嫌なら帰れば!』『…嫌だったら仕事切り上げてすっとばしてまでこんな所来ないよ。』
『え?先生仕事してたの?』
『そう。教師は忙しいんです!いつも家着いたら11時近くだよ。』
『そんな遅いの!?知らなかった〜。ごめんなさい。』
『まぁでも良いよ。ぶっちゃけこんな日にまで仕事してたくなかったしさ』
『こんな日って?』
『誕生日なんだ。今日。まぁ今日って言ってもあとちょっとで終わっちゃうけどさ(笑)』『誕生日!?誕生日って先生の!?』
『そうだよ。もう28歳だよ〜おっさんだねー(笑)』
『そうなんだ…誕生日…誕生日に1人寂しく仕事…』
『悪かったな!(笑)』
そんな先生の誕生日にケーキあげて恵比寿で車で2人っきりでいるあたし。すごい!!奇跡だな。
『どうかした?』
『先生…』
『何?』
『お誕生日おめでとう☆』
『え…。あ、ありがと。』
『素敵な28歳になると良いね♪』
『…うん』『どうしたの先生?』
『いやッッ。この歳になるとさ誕生日おめでとうなんてそんなこと言ってくれる人居ないしさ…何かこういうの久々ってゆーかなんてゆーか(照)』
『何言ってんだか…彼女居るくせに。いつまで嘘ついてんの』
『え?あ!それ今日学校でも言ってた"嘘つき"って!もしかしてそれのこと?それで怒ってたの梨華ちゃん』『別に怒ってない!!』
『怒ってんじゃん(笑)てかかんちがいじゃない?俺本当にいま付き合ってる人居ないしさ』
『見たもんあたし!!先生と綺麗な女の人がビリヤードしてる所!!』
『ビリヤード?あ〜あのゲーセンのやつかぁ!』
『そうだよ!なのに先生嘘なんかついちゃってさ』
『本当に嘘じゃないって…ってそれで?』
『え?何が!!』『もしかしてそれで黒いワンピースなの?(笑)』
『別にそんなんじゃないです!!先生のバカ!!』『あははごめんごめん(笑)ちゃんと説明するから怒んないでよ。ね?あの人はさ…』




