dearly7...黒いワンピース。
『ねぇねぇメアド教えてよ梨華ちゃん♪』
『…え?』
『あ〜!!また俺の話聞いてなかったでしょ!?』『ごめん…(笑)』
『やっぱ聞いてなかったんだ(笑)まぁいいや♪はい!赤外線。』
『俺の名前。赤間省吾だよ。はましょーと一緒の省吾♪』
『はましょー?』
『知らねーか(笑)はは♪』
『あはは』
その合コンの間ずっと省吾は話し掛けてくれてたけど私はずっと上の空だった。
『ねぇ俺ら抜けない?』
『え?抜けるって…?』
『内緒で抜けてこのあと2人でどっか行こうよ♪』
『えっと…私…』
『ね♪そーしよッッ!』
私は何だかよく分からないまま合コンを抜けだし省吾と2人で夜道を歩いていた。
『ねぇ!』
『…!え、なに??』
『ふ(笑)ビビってるでしょ今(笑)』
『え…』
『大丈夫だよ襲ったりしないから(笑)』
『え!?』『俺別にそういうつもりで抜けだしたわけじゃないしさ!ただ梨華ちゃん本当あの場が嫌そうだったから何とか連れ出そうと思ってさ♪』
『省吾君…ありがとう!!』
『惚れた?(笑)』
『それは〜(笑)』
この時私の中にあった省吾への誤解がぜんぶ溶けて心を許せたんだよね。省吾は本当に良い人。
『送ってく?それともゲーセンとかカラオケ行っちゃう!?』
『うーん…じゃあ行っちゃおっかぁ♪』『いいね〜♪じゃあROUND1で!』
『騒ごう〜♪』
『イエ〜♪』
とにかく忘れたかったんだ。先生のこと。それから勉強とか進路のこともね。騒いで騒いで騒ぎまくって忘れたかった。ROUND1についてゲームしたりプリクラ撮ったりした。省吾がUFOキャッチャーで可愛いぷーさん取ってくれた♪そのあとはカラオケへ!!いろいろ歌って騒いで私たちは帰ろうと部屋を出た。『やっぱダーツとかビリヤードとかかっこいいよね〜♪俺好きなんだよね!』『へ〜ぇ♪やる?』
『いや…だって何かやってんの大人とか大学生ばっかだし(汗)俺なんてガキがイキがってるようにしか見えないよきっと…(苦笑)』
『そんなことないよ〜(笑)』
『つかあの人すげ〜うめぇ!!ほらあの白いジャケット着てる人。』
『え〜?どの人ー?』
『ほらあの人だよ!!彼女が黒いワンピース着てる人♪つか彼女綺麗〜!』
『…先生?』
『え?先生なのあの人?』
『…うん。中村せんせッッ』
『…え!?梨華ちゃんどしたの!?何で泣いてんだよ梨華〜?!』
『先生〜ッッ(涙)(泣)』
何が何だか分からなかった。
先生だって人間だもん。男だもんね。別に彼女の1人や2人。デートの一つや二つ…。だけど見たくなかった。学校以外の場所で私の知らない格好の先生が私の知らない女の人と2人で居るところなんて…。消してしまいたかった。いまこの瞳に映ったこの光景を。けれど瞳に焼き付いて離れない。離れてくれないの。先生。先生。省吾の困った顔が微かに瞳に映る。
それからは一言も話すことはなかった。省吾が家まで送ってくれた。びっくりしたよね省吾。ごめんね省吾。
先生。あのあとどうしたんだろう。彼女かな。彼女だよね…。先生は私の知ってるいつものスーツ姿の先生とは全然違った。やっぱり先生は大人で。あの彼女の黒いワンピースがそんな先生のとなりにはとてもよく似合っていた。綺麗な人だった。
先生はどんな声だったっけ?どんな風に話すんだっけな…。あの綺麗な彼女にはどんな顔見せるの。どんな風に接するのだろう。その手で彼女の頬に触れるのかな。あの綺麗な指で彼女の髪を撫でるの?その瞳で彼女を見つめてその唇で…。先生。先生。
私は一晩中泣いていて気がついたら泣き疲れて眠ってしまっていた。日曜日。お昼頃に目が覚めると省吾からメールがきていた。
【おはよう梨華ちゃん♪きのうはあのあと大丈夫だったかな?俺で良ければ何でもするからいつでも何でも言っちゃっていーよ☆ハート☆】
ありがとう。省吾は本当に優しいね。
明日学校行きたくないなぁ…。でもここで逃げたら終わりだよね!!
私は…弱いから。弱いからすぐ逃げたくなっちゃうけれどそうしたら逃げ癖がついちゃうもん。だから私は絶対逃げない。逃げないよ。先生。




