第4話 †首都到着†
翌朝早朝、オレと村の衆で王都ホビタリオンに向かって出発した。
「・・・で?なんでアマラがいるん???」
「てへ、あたしもアーシェ君と旅してみたくて・・」
「だったら最初っから一緒に行くんだって言えばいいのにまったく!」
族長アマラ、村人10人、そしてオレの計12人でおよそ1月かかる旅が始まった。
装備は各々革鎧やら木製の盾に斧というスタイルだったがアマラだけはその身にそぐわぬグレートソードを背負っていた。
その大剣は絵の飾りが凝った作りになっていて美術館にあってもおかしくないと思うんだ。
それによく見ると刃がうすーく緑色に発光している。魔力??
何でも部族に伝わる由緒ある剣で銘もあって、『アルヴェリオン』という名前。
別名『緑丘の王剣』とも言うそうな。王剣?ちっこい村の村長が持つことに何の意味があるんだろ?
ん?オレの装備?革の服に素手w
暢気な旅になるかと思いきやオレの頭に何か当たった。痛みはない。
おちたソレをみると矢だった。
同時に矢を見たアマラが「てきしゅうーーーーーーーーーー!!!」と叫ぶと村人たちが防御陣を引いた。
頑丈な鉄製の盾を装備した村人Aことガルドがタンク役でタウント(敵を惹きつけるスキル)して、残りの村人Bのドラルン、Cのバルク、Dのハルドが斧で前衛を担当、村人Eのクルガン、Fのドネア、Gのルグナが荷物を載せた馬車の護衛、村人Hのトトル、Iのポムが後方の警戒についた。このうちドネアとルグナとトトルは女性
戦闘中指揮を取るアマラにオレはくっ付いていた。
敵が姿を現した。野盗どもが30人程度
向こうは20人ほどがこちらに突進してきて残りが援護で矢を放っている。
予定どおりガルドがタウントすると野盗20人がガルド目がけて攻撃しはじめる。
間を置かずにドラルン、バルク、ハルドの近接攻撃3人衆が加勢に入る。
アマラおオレも前線に躍り出た。
オレは野盗の頭を狙ってパンチを繰り出す。頭部が破裂して消し飛んだ。さっすが腕力445w
横目でチラリとアマラをみるとあの大剣アルヴェリオンを両手で振り回し、2人抜きしていた。強い。
体感で10分ほどで戦闘終了
13体の死体を残し野盗は逃げ散っていた。
こちらの被害はガルドとバルクが腕に微傷を負った程度で済んだ。
アマラがそれを魔法で癒していた。驚いたことに回復魔法を使っていた!
後で聞いたんだけどオレを見つけたときも使ったんだって。
だけど魔力切れでアマラの方が死にそうになったから、そこからは薬を使って治療をしていたんだって。
ほんとアマラには頭が上がらない。
しかし、回復魔法ってハルヴェイン神王国の神殿で修行しないと覚えられないって聞いたんだけど・・・
なんでアマラが使えるんだろう??
道中色々あったけど、そんなこんなであっという間に王都にたどり着いた。
都というだけあって周囲を高さ3.0メートルほどの城壁で囲まれ、入り口には堅牢そうな門があり、番兵が立っている。
アマラが番兵に近づくと何やら話しをしている。
その後、オレたち一行は王都の中に入ることができた。
「すげーーーーー!!これが王都かっ!!!人いっぱいいるなーーーーっ!!!!!!」
オレの目にうつるのはホビットだけではなく、エルフ、獣人、人族など多様な種族でごちゃごちゃと賑わっている大通り。
そのずっと先には王城っぽい建築物が見える。
「アマラっ!!見ろよ!あそこに旨そうな肉串が売ってる!!!」
「あーーーはっはっは!アーシェくん、楽しそうじゃないか!!おのぼりさんだ!!!」
はっと我に返りみんなを見渡すと苦笑とニヤニヤ顔ばかり。
たぶんみんな一度はこの王都に来たことがあるんだろう。
「いいじゃないか!おのぼりさんでっ!!よしあの肉が食いたいんだな?お姉さんが買ってあげよう」
村人10人とオレはアマラのおごりで肉を食った。
ジューシーあんど香ばしい香辛料が効いていて村ではとても食えない味だ。
「腹ごしらえできたら役人のとこに向かって税をおさめてしまおう。そしたらその後は酒飲みにいくどーーーーーーー!!!!」
これには全員満面の笑み
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」
周辺を歩く人たちが奇異なモノを見るような目で見ている。
でもそんなの関係ねー
オレは、オレたちは!酒を飲むんだぁーーーーーーー!!!!!!!!
役人のところに税を納めに行くとケダモノの皮が多すぎたせいでこれ以上はいらないと断られた。
来年分の税も納めたところで残りを商館で売り払った。
「まさか余りものがこんな大金になるとは・・・」
アマラも引いている。
オレにはこの世界の金の価値が分からないが、金貨5枚と銀貨9枚、それと銅貨24枚になったみたいだ。
それから一行は酒場兼宿屋になっている『素敵亭』に移動した。
素敵亭はアマラたちが王都に来るときの定宿にしているところだとか
店に入るとおかみさんの大きな声がした。
「アマラじゃないか!!ひっさしぶりだねえ!!!族長になってからこっちに来たの初めてじゃないか?」
「あたしかてたまには王都に来てもいいだろ?久しぶりじゃないかカトラ!!」
おかみの名前はカトラというらしい。
見た感じ50才くらい?人族と他種族との混血かな?
「この子はホビット族じゃないけど連れかい?」
「ああ、あたしが拾った人族のアーシェくんだ。家族みたいなもんだ。」
「はっはーん、アーシェくんが心配で一緒にこっちに来たんだ?」
「う、うるせーーー!!そんなんじゃないやい!!!それより早くエールを人数分の2倍もってこーーーい!!」
「はいはい、あんた----っ!!エール24杯と肉とか料理20人前くらいーーーーっ!!!」
「あいよっ」
厨房の中からマスターらしき人の返事がした。
しかしエール24杯?料理20人前?食い切れるのか??
杞憂だった。
いつもはアマラとしか食事をしていなかったが村人、とくに若い衆の食欲は半端ない。
酒と料理が来てから10分もしないうちに、
「カトラーーーーーっ!!!さっきのおかわり!!!!!」
「あいよっ!!あんたきこえたねっ!?」
「あいよっ!!」
おかみとマスターの連携プレイ
それにしてもみんなよく食う。
オレも負けじとマンガ肉に齧りつきエールを飲み干した。
しばらくして場が落ち着いてきておかわりを注文する頻度もまばらになってきた。
「アーシェくん飲んでるかい?」
アマラが隣にトスンっと座った。
「飲み過ぎなくらい飲んでますよ?」
そういって目の前にあるエールを飲みきった。
「そうか、そうか、、ところでアーシェくんに折り入って話があるんだが」
「なんでしょう?」
「キミはこれからどうするつもりだい?もちろん死ぬまでうちの村にいても構わないんだが、やりたいこととか、行ってみたいばしょとか、あるんじゃないかい?」
「うーん、オレはアマラさんにお世話になったかr・・
「そういうことを言ってるんじゃないっ!!!」
アマラが急に大声でオレの声を遮る。
初めて見る形相のアマラ、真剣な話みたいだ。
「世話になったというならうちの村だってキミには死ぬほど世話になった。村人にイノシシやクマの魔物を狩れるようにしてくれた。あのモンスターはな、冒険者ならCランクはないと狩ることはできないんだ。」
「それからモンスターの皮を特産品にできたお陰で村は将来にわたって安泰だ。今日だって見ただろう。十分すぎる利益を出すことができている。」
「あたしが世話した分はそれ以上の形で返してもらっている。キミの腕っ節だと騎士を目指すとか、冒険者になって世界を駆け巡るとか、やりたいことあるんじゃないか?それを聞きたいんだよあたしはっ!!」
アマラは持参したエールをグビグビと飲み干した。
「たまにはワガママを言いなさい!!!」
「オレは魔法を覚えたいっ!!!!」
言ってみてハッとした。
そうか、おれはまほうを覚えたいのか
「魔法、魔法か、、、すると王都の魔法学園、なんと言ったかな?クレッセン魔法学園か。あそこは初等部・中等部・高等部とあってな。ときにアーシェくんは何歳になんだ?」
「わからない」
「だ、だよなー。人族の年齢はよく分からないが、おーい!カトラーーー!!アーシェくんは何歳くらいに見える??」
「なんだいよっぱらいは藪から棒だねえ。そうさねえ。15歳くらいには見えるかも」
「よし!決まり!アーシェくんは今日から15歳だ!!15歳だとすると中等部?いや高等部でもよさそうだな」
「クレッセン魔法学園の話かい?あそこはちょうど明日入学試験をやるみたいだよ?」
「決まりだな。アーシェくんは明日クレッセン魔法学園の入学試験を受ける!決まり!!」
と言った途端、アマラは床に沈んだ。飲み過ぎたのだろう。
クレッセン魔法学園は帝国に属する4か国それぞれに1つある魔法学園のうちのホビット王国にあるもので、国中の魔法の才能がある者がこぞって入学を目指す難関校であった。
「おかみさん部屋って2階ですか?」
「2階の一番手前の部屋に放り込んでおいていいよー!」
カトラから元気の良い返事が来た。
オレはアマラを2階の部屋のベットに放り投げ、そこで気を失った。オレも飲み過ぎだ。




