6.レベルアップ解禁……やり過ぎた
『え、えっ……ええ……?』
まじまじと、ステータスを見つめる。
○名前:なし レベル四十
○種族:神樹……世界樹(幼体)
○称号:神樹の芽生え
○加護:創造神の加護
○魔法:
・『樹木魔法』
・『大地魔法』
・『精霊魔法』
○技術:なし
○耐性:
・痛覚無効
・自然無効
・地属性無効
・水属性無効
・火属性耐性
○能力:
・鑑定
・念話
・再生 → 高速再生
・枝伸縮 → 操木
・魔力感知
・森羅共鳴 → 森羅万象
・配下創造
・特異スキル『鍛錬成長』
な、何があったんだ……。
どうして、こうなったんだ……?
それは、確か俺がレベリングしようとしてた時に遡る――
◆◆◆◆◆◆
レベリングじゃー! 魔物共、狩り尽くしてやるぞ!
そう意気込んで、魔物を探し始めたところまでは良かったのだが。
何故か、全然居なかった。
いや、もう、ホントにおらん。
さっきボコボコにした魔物共が最後だったのかもしれないな。
ログさんは《魔物の反応は一切感じません》って言ってたし。
――いや、急に言われても信用できるかッって話だけどね……。まあ、本当に居なかったけど……。
罠で食らった毒煙が結構痛かった。いや、物理的な痛みじゃないんだけど、身体が蝕む嫌な感覚だ。毒耐性なんか持っていないから、状態異常系はあんまり食らいたくない。
もしかしたら、再生がなかったら早死してたかも――なんて嫌な予想が脳裏によぎるほど、その毒煙は嫌な罠だった。
『まあ、魔物がいないなら仕方ないよな。なら、地道に練習する他無いんだけど――枝はもう熟練したし、次は何やりゃいんだろ?』
《枝関連が問題無いのならば、次は魔力関連を鍛えてみてはどうでしょうか》
なるほど、確かに。
魔力関連はまだ早いかなーって放っといてたけど、枝が自由に動かせる今なら、本格的に訓練できる状態だというわけだな。
まず〝魔法〟という概念も、この世界じゃどういう定義なのかが分かってないし……。
『ログさん、〝魔法〟について検索ってできる?』
ログさんを頼りっぱなしだが、仕方がない。
だけど、流石に無理か? この場に無いものを鑑定ことなんてできな――
《できますぅ! それでは、『概念:魔法』について検索しますね?》
おい、できるのかよ。ログさんや、少し万能過ぎやしないか?
心なしか、感情を持ってるようにも聞こえるけど……まあ、気の所為だろう。
お願いします――と念じると、ログさんは相槌を打って、すぐ検索に取り掛かってくれた。見えないけど。
さて、ログさんが調べている間に、自分のステータスでも見直しますかね……。
○名前:なし レベル十五
○種族:神樹……世界樹(幼体)
○称号:神樹の芽生え
○加護:創造神の加護
○魔法:
・『樹木魔法』
・『大地魔法』
・『精霊魔法』
○技術:なし
○耐性:
・痛覚無効
・自然無効
・地属性無効
・水属性耐性
○能力:
・鑑定
・念話
・再生
・枝伸縮
・魔力感知
・森羅共鳴
・配下創造
こうして見てみると、内容がフワフワしている箇所が多いな。
取り敢えず、片っ端から〝鑑定重ね〟していこうか。
神樹:樹木系の生物で最上位の種族。神性を帯びており、無尽蔵の魔力を持つ。
神樹の芽生え:神樹として誕生した際に獲得する最初の称号。傷の回復速度が上昇する効果を持つ。
創造神の加護:創造神が認めた者に与える加護。現在は、レベルに比例して状態異常の抵抗が大きくなる効果を持つ。
樹木魔法:樹木を操る魔法で、『草木魔法』の上位に当たる。
大地魔法:岩石や土を操る魔法で、『土魔法』の上位に当たる。
精霊魔法:精霊と交信してその力を行使する魔法。精霊との信頼度によって力の量が変わる。
――おかしすぎるだろ。
なんやねん、『神樹』の説明。神性を帯びてるってどういうこっちゃねん。
『創造神の加護』も、俺みたいな奴に与えられるようなものじゃない気がする。効果は……しょぼい気がしなくもないけど……。
魔法は操る認識で良いのか。〇〇魔法の〇〇に、属性の名前が入るってことでいいのかな?
《間違ってはおりません》
うおわぁ!?
な、なんだ、ログさんか……。検索はもう終わったのか?
《はい、検索完了しました。内容を聞きますか?》
『イエス。ぜひ聞きたいとも!』
そう答えると、ログさんが機械的な音声で説明し始めた。
《検索結果:魔法とは、魔力を用いた攻撃であり、現象操作である。それぞれ異なる理論と性質を持っているため、使用者の適正や能力との深い関わりを持つ。魔法は主な分類として、一つの属性と七つの系統と分かれる》
曰く、その系統とは――
無属性魔法:普通の魔力攻撃や、肉体強化などが分類される。
炎系統魔法:火炎に関する物を操る魔法が、この系統に分類される。
水系統魔法:水流に関する物を操る魔法が、この系統に分類される。
風系統魔法:疾風や迅雷に関する物を操る魔法が、この系統に分類される。
土系統魔法:土木や岩石に関する物を操る魔法が、この系統に分類される。
聖魔系統魔法:光明や暗闇に関する物を操る魔法が、この系統に分類される。
特殊系統魔法:幻覚や召喚など、上記の系統魔法に分類されない魔法が分類される。
《――魔法は、魔力を体内に巡らせることで使用可能となる――とのことです。私も間違えることがありますので、あまり当てしないほうがいい時もあります》
『な、なるほど?』
やけに調べるの長いなと思ってたら、すんごい量の定義が出てきたな。
『樹木魔法』は土系統魔法でいいのか、ふーん。
『結構、系統魔法は多いんだな』
《そうですね。四大属性――火水風土を一括りにしても、全部で一つの魔法と三つの系統ですしね》
なるほどね、覚えるのは大変そうだが、これから生きていく上で、かなり身になりそうだ。
まあ、鵜呑みにするなと本人からの注意喚起だし、参考にする程度にしておこう。だけど、今はそれしか情報はないので、ゆっくりと覚えていこうと思う。
『今はログさんしか情報収集手段がないから、いつかは人と交流してみた――』
ピコン!
と、チャイムを押したような音が鳴る。
『……ん?』
気の所為かな? なんか、ピコンって聞こえた気がしたが。
ピコン! ピコン!
今度は、二回連続で鳴り響いた。
……いや、気の所為じゃないな。ちゃんと聞こえている。
《――はい、しっかりと聞こえています》
『だ、だよな――』
ログさんって、耳聞こえるんだ――なんて感じる暇なんて無く、信号機が点滅しているような音が、絶え間なく響いていく。
ピコン! ピコン! ピコン! ピコン! ピコン! ピコンピコンピコンピコンピコン!!
『わわ!? う、うるせぇ……!』
何!? な、何なんだよ! この音! 滅茶苦茶うるさい!!
良く分からないけど、なんか温かいのが、体の内側を巡っている――?
『う……るせえ……』
――どれだけ鳴り続けたのか、俺には分からない。
でも、何か凄い事態が起こったということは理解できる。
頭痛にも似た轟音の数々は、何十分も俺の脳内を支配していた。
いつまで鳴り続けているんだ――そう思うと同時に、ログさんが何かを言う。
《ステータスを表示します。なお、停止することは不可能となります》
『え? 何!? ピコンピコンうるさいから全然聞こえない!!』
音による不快度が限界となり、怒気を含めて叫んだら――音は、聞こえなくなった。
○名前:なし レベル四十
○種族:神樹……世界樹(幼体)
○称号:神樹の芽生え
○加護:創造神の加護
○魔法:
・『樹木魔法』
・『大地魔法』
・『精霊魔法』
○技術:なし
○耐性:
・痛覚無効
・自然無効
・地属性無効
・水属性無効
・火属性耐性
○能力:
・鑑定
・念話
・再生 → 高速再生
・枝伸縮 → 操木
・魔力感知
・森羅共鳴 → 森羅万象
・配下創造
・特異スキル『鍛錬成長』
『……え? なん……は?』
なんで、レベルが上がってるんだよ??
《報告。先程、魔法は魔力を体内循環させることで、使用できるとございましたよね?》
『ああ、うん。そうだね……それがどうしたの?』
《あくまで一般視点なのですが……神樹という種族は、常に魔力が全身を巡っているのです》
……うん、魔力が巡っている。それは分かったよ、でもそれがどうレベルアップに繋がるんだよ?
《原因特定のため、特異スキル:『鍛錬成長』を検索してみたのですが――》
『――ですが?』
《たった一部しか入手できませんでしたが、その内容は『魔力を体内に巡らせる時間に応じてレベルが上がる』というものです》
『……んん!?』
魔力を巡らすだけで!? どういうこっちゃねん!!
おい神様仏様どこの誰か様! この世界で俺にとって新事実が判明するのも、すっごく怖いから助けてくれよ!
《それでも異常に相性が良いのですがね……》
知らんわ、んなもん――ッ!
『魔力を巡らすだけでレベルアップする』という事実を受け入れるのに、結構な時間を要することになったのであった。
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