↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/59

48.エマージェンシー:瀕死のドラゴン

「グオオオオオオオ――ッ!!」


 ドラゴンは咆哮するが、一ミリも動かない。様子見か?

 ふむ。ドラゴンと戦うのは、ワイバーン以来だ。

 バーサスドラゴンで気をつけるべきことは、全身の動きは勿論、ブレスを撃つ際に震える喉の二つだ。

 このたった二つだけでいい。飛ぶのはまあ、今じゃ魔力弾ぶつけるだけだし。



 アムスが両手を前に出し、魔力を溜める。恐らく、謎の樹木の時に繰り出す技でも放つつもりだろう。ラービはアムスの肩に乗り、ドラゴンの動きを観察しているだけだった。

 アイビーはどこからか取り出した双剣を構え、ドラゴンの背後にゆっくりと移動する。

 形は、ドラゴンの目の前が俺。その右隣がアムスとラービ。ドラゴンの背後がアイビー。



 数分の静寂。

 木の葉が揺れるが、小鳥のさえずりは全く聞こえてこない。

 いつ動くんだ――そう思った瞬間、ドラゴンの喉が震える。


「来たか……」


 喉が赤く光り、わずかに熱を感じる。そして、ドラゴンの口が大きく開かれる。

 俺は地中に待機させている〝根〟に力を込め、いつでも対ブレスの〝竜の穿根(ドラゴ・ドリル)〟を繰り出す準備をする。

 ブレスを放った瞬間、〝竜の穿根(ドラゴ・ドリル)〟で相殺して頭を貫くという作戦だ。


《なるほど、いいですね》


 だろ?

 っと、気を取られるんじゃない。いつブレスが放たれるか。

 ドラゴンの喉が光る。次の瞬間――

 轟音と共に、炎が吐き出された。


 伏せたときはよく分からなかったが、立っている今ならよく分かる。

 それはまさに灼熱の業火。


 地面を抉(えぐ)り、空を焦がす。

 動物や魔物も、現場の近くにいただけで火傷(やけど)し、のたうち回っていた。


 飛竜(ワイバーン)とは別物で、比較にもならない。これが竜の……。

 上位竜族(アークドラゴン)の、ブレスか……!!


 ドラゴンの背後に居たアイビーが冷や汗をかいている。今にも動き出しそうだ。

 アムスは、情報処理に手一杯のような顔をしていた。だが、ラービだけが情報整理が済んでいるようだ。


 ああ、このブレスが竜王(ドラゴンロード)クラスならば、どれほどの威力なのだろうか。考えるだけでも鳥肌が立つ。……木でできた肌だけど。

 そう、『思考加速』で考える。


「……?」


 ブレスを放つドラゴンを見て、何故か違和感を覚える。

 だがそれに時間を使ってる暇はない。

 炎が俺の目の前にまで迫る。


「食らえ、〝竜の穿根(ドラゴ・ドリル)〟――ッ!」


 地面から根が出る。

 螺旋状に回って、ドラゴンブレスをかき消す。


「グオ!?」


 竜の穿根(ドラゴ・ドリル)は、今は五大属性無効である『火属性耐性』を纏わせているのだ。

 その火属性耐性を纏った根が、ヒートシールドのように炎を裂く。

 根が竜の吐息(ドラゴンブレス)を破壊し、そのまま旋回してドラゴンの頭目掛けて降下する。


 すると、ドラゴンは飛翔する。が、翼の膜に当たり、破れる。

 そしてそのまま地面に自由落下し始める。

 俺は、それに激しい既視感(デジャブ)を覚えた。


 ワイバーンのときと同じだった。

 翼に当たり、飛べなくなり、落下する。

 ドラゴンは、飛ばないのが好きなのかね……。


 地面に激突した痛みに悶えていたので、『痛覚鈍化』は未所持だと見られた。


「貴方、『樹木魔法』を使えるのね。かなり上位だからびっくりした」


 まあ持ってはいるけど、使ってない。

 俺の身体だから、自由自在に扱えるだけなんだけど……いい感じに勘違いしてくれた。

 これで神樹だということがバレたら、本当に面倒なことになりそうなので、お口チャックしておく。


「主さ……セルウスは凄いですよ! 剣術も使えますし!」


 何故か、アムスが自慢する。

 主を褒められて嬉しい、ということか?

 それはさておき、ドラゴンのことだ。


「なあアムス、アイビー。このドラゴン、さっきからおかしいんだ」


「おかしい……?」


「ああ。ワイバーンならこんなあっけなく終わることはあるが、こいつはどう見てもそれ以上の力を持っている。なのに、ワイバーンと同じ終わり方だなんて、おかしいと思わないか?」


「確かに……??」


 今観察してみると、他におかしい点が見つかってきた。

 鱗が所々割れているし、口元に血が吹き出している。

 一瞬俺の攻撃のせいだと思ったが、翼に――しかも痛覚がないはずの『膜』に当たったぐらいで、吐血するほどのダメージを食らうか?


「……セルウスさん。ドラゴンの血が、黒っぽいです……」


 アイビーが指摘する。

 まあ、確かに黒い。

 元々そういう色だという説もあるが、アイビーの様子からそうじゃないようだ。


『なんか、魔力の乱れも起こってるみたいだわ。ちょっと鑑定してみて』


 ラービは原因が分かっているようだ。

 促されて、鑑定を発動する。

 さっきは状態異常とか見てなかったし、どうなっていたのか……?


《状態異常確認をオンにします》


 あ、そういう感じね。

 すると、いつものステータスに加えて、右に項目が追加された。



 ○状態異常:猛毒・魔力汚染



「……これは」


「え? どうしたんですか、セルウスさん?」


 どう考えても、俺達と戦う前にやられたようだ。

 毒……それも、ドラゴンの身体を侵食するほどの。


「なんか、解毒薬みたいなの持ってないか?」


「私、常備してますが……ドラゴンに使うんですか」


「後で答える。あと、これかけてもいいやつか?」


「はい、いいやつです」


 アイビーの解毒薬を受け取り、すぐさまドラゴンにかける。

 ……流石に、すぐには回復しない。

 だが数分経てば、黒く流れていた血は鮮やかな赤色を取り戻していき、それに伴って顔色も良くなっていった。


 どうやら、無事に毒を消せたようだ。


「……これでいいのですかね」


 アムスが呟く。


「救えるものは救っておく。それがどんな結果になろうとも、俺はいい方向へ進むのを諦めない。それだけだろ」


「……そういうものですかね」


「そーゆーもんさ。じゃ、ドラゴンに用はないし、サクッとゴブリン狩って帰ろう」


 そうして、ゴブリン討伐に勤しもうとすると。

 地面が暗くなった。

 曇ったなどの天気の仕業じゃない。ドラゴンが、起き上がったのだ。


「……チッ! まだやる気か!?」


『待て……人間よ』


 武器を構えると突如、誰かからの〝念話〟が聞こえてくる。

 ラービよりも、荘厳で低い声――多分、男だ。

 唯一の男は俺は、念話で喋っていない。ということは――


「お前か? ドラゴン――」

ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます!


「面白い!」「続きが気になる!」

そう思っていただけたら、感想や評価をいただけると嬉しいです!


★★★★★やブックマークをしていただけると、作者が飛び跳ねて喜びます!


皆さまの応援が、次のお話を書く力になります。

これからもよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。