45.冒険者になろう!
謎の樹木を退治して、みんなでまったりとしていた時。
一人、俺は考える。顔に出さないで。
アデレテレ教とかいう宗教についてだ。
まずこいつを知るためには、人間の国に行かなきゃならない。
できれば一般として行きたいが……ヴェールからカルミリスを救った英雄扱いされて、面倒くさい待遇になるに違いない。
《カルミリス王国以外の国に行っても、神樹だという理由でそういう待遇になりますね》
と、ログさんも俺と同じような結論に至っている。
人型に変化しても、魔力のせいで神樹だと見破られる。……一部の強者にだけど。
魔力を抑えつつ、人型で、一般的に……?
――いや、無理だろ。
魔力がネックなんだなぁ。魔力が多いせいで、神樹だと思われる。
どうしたものか――
《――いっそ、魔力を抑えるのは少量でいいのでは?》
ん?
どうやら、ログさんに考えがあるようだ。
『どういうことだ?』
《強者として、上に上がっていく職業があるではないですか。それならば、魔力が多くても「すごい」程度に済みます! 「神の力」などと崇められたりしないはずです!》
強者、職業、戦闘……。
この三つが組み合わさったことで、俺は思い出す。《《あの》》、男子が憧れる異世界の役職を。
『冒険者か! いいな、それなら早速行くぞ!!』
万能変化の、人型で。
この手順を踏まないと自由に動けないから、若干不便だと感じる。
《思い立ってすぐ行動! 行きましょう!!》
そうして、俺はギルドへ行く準備をする。
◆◆◆◆◆◆
「冒険者になるぞ」
と、突拍子もないこと言い出したから、ラービたちは困惑している。
「いやいやいや!? 神樹が冒険者だなんて、聞いたこと無いわよ!?」
「焦るな慌てるな、理由は二つある」
一つ目は、他の『神樹』の情報だ。
俺以外の神樹と関わってみたいっていうのもあるが、はるか昔から人類を見てきたその視点で、人類救済の助言をしてほしいと思っている。
ラービも言及していたし、何かしらの情報はあるはずだ。伝承とかで。
だが、少ないことを考慮して、優先順位は下げておく。
ニつ目は、アデレテレ教の情報。
純粋に知りたい。俺、宗教とか神話大好きだし。
建前上の理由を言うなら、神との交信が可能かぐらい。
一応、本命として調査する。
ということを、ラービたちに伝えた。
「ふーん……まあ理由は分かったわ。でも、貴方だけで行くの?」
「アムスも人化できればな……連れていけるんだけどな……」
『いけますけど?』
うんうん、やっぱり一人で行くしか――って、いけるの?
「あ、そうじゃん。スライムだから、変化できるだった」
ラービが思い出したように言う。
俺も忘れていたわ、アムスがスライムなの。
『……私のこと何だと思ってたんですか』
「ごめん。ごめんて」
アムスの眼なき視線が痛い。
あとでちゃーんと、謝っておこう。
「それで、人化できるんでしょ? じゃあ、ちょっと一回やってみて」
そうアムスに言ってみると、アムスがみるみるうちに変化していく。
丸いスライムから伸びていき、変化に足りない部分は魔力で代用していく。
スライムが伸び、光が形作り、人型へと――
「――はい。これでどうでしょうか?」
アムスも念話ではなく、普通に発声できている。女声だった。
肌は俺の同じ白黄色で、全てを呑み込むかのような青黒い瞳が美しい。
青紫色と黒を基調としたローブを軽く、されども威厳を感じさせる着こなし方だった。
藍色の長髪が腰まで流れ、成熟した体つきがローブ越しでも分かる。
落ち着いた雰囲気は、どこか王族の側近のような気品すら感じさせた。
「この姿が、アムス〝人体変化〟です!」
アムスが元気に言う。
活力のある声だったので、外見から出る大人びた雰囲気は消え去っているが。
「かっこいいじゃないか」
「いいじゃんいいじゃん!! 私好みの見た目よ~!」
ラービが嬉しそうに叫ぶ。
これならば、アムスも冒険者として連れていけそうだ。
ゆっくりと、ラービの方へ振り返る。
「よし、アムスは大丈夫として……」
「え? なに、なに?」
「お前は小さいからな……ワンチャン、精霊魔法で出た精霊として行けるか?」
「勝手に普通の精霊にしないでくれる!?」
「いや、分かってるから……。精霊な、いけっかな?」
《常時精霊を解放している変わり者として認識されますが、大丈夫だと思われます》
その変人が嫌なんだよな……。
だが、ここで留守番だなんて行ったら、ラービはいやだいやだと駄々っ子のようになるに違いない。
「仕方ない。ラービも連れてくか……」
「いいの?」
「常時、精霊召喚を継続している変人として見られるがな。まあ、それは魔法使いっぽいアムスに任せる」
「主様!? どういうことです!? 主様? 主様!!」
「はいはい、じゃあ行くぞ」
嘆くアムスをスルーして、俺たちはカルミリスのギルドへ、冒険者となるのだった。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます!
「面白い!」「続きが気になる!」
そう思っていただけたら、感想や評価をいただけると嬉しいです!
★★★★★やブックマークをしていただけると、作者が飛び跳ねて喜びます!
皆さまの応援が、次のお話を書く力になります。
これからもよろしくお願いいたします!




