思いもよらない展開
思いもよらない展開になり、顔の肉はないけど俺は青ざめた。
「お、おいっ。どうする?」
二人は答えない。
「どうするんだよっ」
「どうする……。どうするじゃないよ……。死んじゃったよー」
叫んだのはテアシだった。
スカおじが後ずさりしてからしゃがみ込んで頭を抱えた。
「俺の孫なのか? 俺は……殺されたのか? 殺された? なんで、なんでだ? 何をしたんだ?」
二人がてんぱっている。無理もないだろう。
スカおじについては、自分の孫かと思われた男が人をめった刺しにしたのだ。
「落ち着け、二人ともとりあえず落ち着こう」
「もおー。やだああああああっ」
テアシもしゃがみ込んで泣き始める。
落ち着け、落ち着け。俺たちは骸骨だ。
すると、呆けて床にしゃがんでいたスカおじの孫は、自分の頬に刺さったガラスや腕のガラスの破片を死に物狂いで取り始めた。
顔は自分の血で血まみれになり、体は男を殺した返り血を浴びて、目はギラギラしている。
孫のスマホはガラス面が割れてひびが入っていたが、まだ使えそうだった。
俺はハッとして、床に落ちている俺たちのスマホを手に取った。
音声入力に切り替える。
「おい! お前、そこのオレオレ詐欺の受け子、爺ちゃんに100万渡した孫、俺たちは全部見てた。お前が人を殺すところを」
自動入力して送信する。
スマホがぽうっと光り、メッセージを受信したが、男は気づかない。
自分のことでいっぱいだ。
「ダメだ、こいつもおかしくなってる……」
死んだスーツの男を見ると、目は白目を剥いて口はこれ以上ないくらい開かれ、鼻の穴もまん丸だ。横向きになり四肢は脱力して人形のようだ。
初めて見る死体に俺は言葉を失った。
テアシが今度は両手を床に付けて、おえーっ、おえーっと吐き出しはじめた。
「お嬢ちゃん、大丈夫か?」
「ううう……。怖いよう……。こんなところいたくないよお……。帰りたいよう……」
座り込んでいるテアシの後ろで、スカおじの孫が遺体の足をつかんで教室から移動させようとしていた。
「うわああああっ。ヤバイヤバイ。スカおじっ。今すぐあいつに憑依しろっ」
「えっ」
「あんたはここから出て行かないと。早くあいつに憑りつけっ」
俺は無我夢中で叫んでいた。
どうして俺はそんなことを言ったのか。
スカおじは俺の大声に驚いて、慌てて孫の背中にしがみついた。
孫はそのままスーツの男の遺体をズルズルと廊下の方へと引きずり出した。
背中にはスカおじが必死でしがみついている。
孫の方も必死の形相で、木が朽ちたボコボコになった廊下を遺体を引きずり外へ出て行った。
廊下には血の跡がついていく。
廊下の突き当りは渡り廊下へとつながっていて、その先は外だ。
暗闇が広がっている。
背中にしがみついたスカおじはそのまま廊下の外へ出た。
孫は外へ出た途端に暗闇に向かって、スーツの男を放り投げた。
ガサガサっと大きな物が転がっていく音が小さくなり、そのまま孫は立ち去って行った。
それから少しして、車のエンジンがかかり遠ざかっていくのが聞こえた。




