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骸骨パラダイス!  作者: 春野セイ


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この骸骨は一体何者なのか。


 白骨化 ニュース 遺体 検索


『○月○日午後20時頃、○○県○○市○○町にある廃校となった建物で肝試しに来ていた若者二人が血のついた包丁を発見し、警察に通報しました。

 県警察が小学校を調べたところ、小学校から離れた山の斜面に一部白骨化した遺体が発見され、事故と事件を視野にいれて遺体の身元の特定を急いでいます。

 遺体の年齢や性別は分からないものの成人と見られ、上下黒のスーツに黒の皮靴を履いていました。現場の建物は山の中にあり、築100年の小学校で30年以上前から廃校になっていました。

 なお、廃校など無断で立ち入ることは大変危険であり、軽犯罪違法の疑いで書類送検されるケースもあります。興味本位で立ち入らないよう警察は呼びかけています』



 ピコン、と例のあの音がして俺は目を覚ますと、妙な違和感を感じた。


 なんだ今の音は。何が起きた?

 俺はスマホを見ようと手を見たが、いつもならいるはずのものがないので一瞬、呆けた。

 いつもなら膝の上で寝ているはずのテアシがいない。

 え? あれ、テアシはどこに行ったんだ?


 横を見ると、俺よりも大柄の骸骨が一体、寝そべっている。

 俺はあまりに驚きすぎてその骸骨から飛び退《すさ》るように離れた。

 心臓があれば喉から飛び出そうなほど、ドッキンドッキン鳴っていて、耳がうるさかっただろう。


 ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ。

 俺は思った。

 スマホを確認する。

 テアシの情報が消えていた。

 代わりにある情報はここだ。

 廃校で白骨化した遺体を発見とある。


 俺は泣きたかった。なぜ泣き出しそうになったのか。


 あいつだ。

 ここにいるのは、あいつだからだ。

 そして、情報が……。

 俺じゃない。

 俺じゃなかった。


 俺は頭をぐしゃぐしゃにかき回した。


 テアシがいなくなったのは、きっと俺のせいだ。

 俺は、はあはあ言いながら喉を押さえた。吐きそうなくらい気持ちが悪かった。


 実は俺は夜中になると、テアシが眠っている間にあちこちうろついていたのだ。

 ここから出たいあまりに、出られるところはないか、何かないか、と探っていた。


 夕べもいつものようにうろついて、眠っているテアシのそばで寝たつもりでいた。

 なのに、いつだろう。

 いつの間にテアシは黙ってここを出て行ったんだ?


 一体誰が、テアシを唆したんだ?


 俺は必死で考えた。


 俺とテアシを離せることができるのは、金ちゃんたち、スカおじの仲間、テアシの母親。

 いや、俺は何を言っている? 何を考えている?


 パニックになっていて、新しく現れた骸骨が目を覚ましていることに気づかなかった。


「おい……」


 男の低い声にドキーっとした。

 俺は恐る恐る新人の骸骨の方を見た。

 立ち上がった骸骨の背骨と肋骨は数本折れていた。


 うわーっ、誰だ? こいつの骨が折れるほど滅多刺しにしたのは(犯人、知ってるけど)。


 ごくりと唾をのめないが飲んだ気持ちを味わう。

 なんて声をかけたらいいんだ。


 骸骨はきょろきょろとあたりを見渡し、俺を見て、自分の顔の目のあたりを覆った。


「なんだこりゃ、俺は死んだのか……」


 ああ、そうだ。

 死んだのはだいぶ前だけどな。

 知っていたが、怖くて声が出せなかった。


「なあ……。あんた骸骨だろ?」


 新しく現れた骸骨が俺に言った。


「へ? あ、ああ。俺は骸骨だ」

「俺も骸骨なのかな」

「ああ、そうだな、あんたは骸骨だ」

「何が起きているのか、よかったら教えてくれないか」

「へ? あ、ああ」


 新人に説明をするのが先輩の役割だもんな。

 俺はシンプルに、死んでいるから骸骨になったんだよ、と説明した。


「そうだよな。死んでいるから骸骨なんだよな」


 俺の時もそうだったが、目覚めた時はあんまり頭が働かないようだった。

 それを思い出してホッとする。

 いや、それよりもテアシを探しに行かなきゃ。


 だが、俺はへなへなとその場に崩れ落ちた。


「お、おい、あんた、いきなりどうしたっ」


 新人の骸骨が焦って言った。

 俺はゆるゆると首を振った。

 あまりの衝撃で今頃、腰が抜けてしまった。


「くそ……、全く、なんてこった……」

「なんだ? 大丈夫かよ、骸骨さんよ……」

「ハハハ……」


 俺は新人の骸骨を見上げた。

 はあ……と大きなため息をつく。


 一から出直しだ。

 この骸骨が一体何者なのか。


 確認から始めよう。



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