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骸骨パラダイス!  作者: 春野セイ


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2/5

俺より小柄に見える骸骨



「あんた今あたしに話しかけた?」


 こっちを向いた骸骨から声がした。

 女⁉

 女だ。声は若い。可愛い女の子ってこんな声なんじゃないか? たぶん。


「ああそうだ。俺が話しかけた。あんた名前は?」

「あんた名前は? って初めて会った人に失礼ね、あんた」


 確かにそうかも。

 俺は妙に納得してしまった。


「それは悪かったな。謝るよ」


 俺が素直に謝るとおそらく女であろう骸骨は微動だにしなかった。

 表情が分からないので表現に困る。


「あのさ、教えて欲しいんだが、ここはどこだ? 学校みたいだが」

「はあ……。あたしはあんたが起きるのを待ってた」


 質問を全く無視して女の骸骨が言った。

 俺が起きるのを待っていた? こいつは何かを知っているのか。


「あんたが頭の軽い奴でよかった。ふつーの人はキャーとか、うわあとか、パニックになって泣き叫ぶんだけど、あんたは肝が据わってんのね」

「へえー」


 どうやら俺は褒められているようだ。


「そうだ。あ、き、君の名前は? あんたって呼ぶと怒るしさ」

「あたしは……。思い出せないの。あんたこそ自分の名前が分かる?」

「俺? 分からん……」

「あたしは十日くらい前かな……ここで目が覚めたの。あんたはあたしのパートナーだから、これからよろしくね」

「君は女で合ってるんだよな?」

「さあね。あんたが男かどうかも怪しいわよね。あたしが女かどうかもあたしは知らない」


 どうなってんだこりゃ。俺たちにアイデンティティはねえのか?


「そうか。じゃあ、これからそれを探っていけばいいな。分かった。よろしく頼む」

「……」


 俺が手を差し出すと、女の骸骨はおずおずと手を伸ばして俺のごつごつした手を握った。


「あっ」


 二人同時に声が出た。


「ハハハハ……」


 俺は小さく笑っていた。

 二人の手は重なることはなく、通り抜けてしまったからだ。


「すり抜けたな」

「……そうね」


 俺は気を取り直すように女の骸骨に話しかけた。


「ま、いいや。とりあえずお互いの名前を決めようぜ」



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