身体的特徴
俺たちは外見がみんな骸骨だから、身体的特徴でしか個性を伝えられない。
「まず、テアシは分かるよな。女の子だから小柄な骨格をしている。それから俺、自分じゃ分からないが、俺の体に欠陥とか何かないか? ちなみに俺の名はウキンだからな」
俺は立ち上がってくるりと回ってみた。
すると、金ちゃんがアッと声を出した。
「あっ、あ、ウキンさん、頭に怪我があるっす」
「ええっ」
「ひびが入って陥没してる」
「うっそ……」
俺は頭を押さえてみて、ショックを受けた。
誰だ? 俺を後ろから殴った奴は……。
「全然気づかなかった」
テアシがぽつんと言った。
「目立つ?」
俺は頭を触ってみたが、全く何も感じられなかった。
「言われないとわかんないっすね」
「そうか……」
まあ、俺の頭はへこんでいるのが特徴だ。
「これで間違われずにすむな」
「……じゃあ、次は俺だ」
シラトリが立ち上がってくるりと回る。
みんなが近寄ってじろじろ見ていると、あっとテアシが声を出した。
「シラトリ、左のひじが右よりも太いっ」
テアシの言った通り、シラトリの左ひじが異常に発達している。
「ああ、これは骨折したんすね」
金ちゃんがポツリと言った。
「シラトリは左肘を見たら分かるってことか。もう面倒くさいから骨の名前で呼ぶか」
俺の提案はみんなから無視された。
いや、無視はやめようよ、と俺は思った。
最後にスズメの特徴を見る。
しかし、どれだけ探してもスズメは美しい骨格の持ち主だった。
「普通っていいな……」
「これでみんなの特徴が分かったすね」
俺のせいで中断してしまって申し訳なかったが、再び金ちゃんたちの作ったあんまりおもしろいとは言えない動画を見終え、みんなで意見を出し合うことにした。
テアシはさっぱり理解していないが、意外にもスズメが詳しかった。
「まるでダメだね。君たちは一体何を伝えたいんだ?」
「……え?」
金ちゃんの顔がこわばる。
怒られて心外だったのか、ムッと口を尖らせた。
「別にやりたいことがあったわけじゃないし、マナベに誘われて面白そうだからやっているだけで……」
「俺は……。動画だけで食べていけるようになりたい。そのためなら、なんだってする」
二人の気持ちは同じ方向を向いているようには思えなかった。
「そうか……」
スズメが険しい声で言った。
「俺も動画配信について詳しいわけではない。だが、残念だが先程、テアシが率直な感想を言ったように、あまり面白いとは言えない。何を伝えたいのかも分からないし。フォロワー数も10人程度だ」
「フォロワー数って何?」
「それは後で説明する」
俺はこそっとテアシに囁いた。今は、その話をすべき時ではない。
スズメは大きくため息をついた。
「そもそも、朝から肝試しをしようと思ったのはなぜだ」
「えっと、夜は怖いから……」
その時点でアウトなのだが。まあ、確かに夜の学校は怖い。
「やる気はあるのか」
スズメの声が教室中に響く。
「すみません……」
スズメはもしかしたら、教師だったのかもしれないなと思った。
熱血教師だ。
スズメの態度を見て、テアシが俺の背後に隠れるように抱きついた。
「スズメって怖い……」
「まあ、そんなに怒るなよ。とりあえずさ、俺、いい事を思いついたんだ」
そう言ったのは、シラトリだった。
シラトリが提案したのは、もう一度あの事件が起きた一年一組の教室へ行こうというものだった。




