出て行ってくれてよかったのに
シラトリはどかっとあぐらをかいて金髪の男の隣に座った。
俺はシラトリから、もっといろいろ聞き出せないか、頭を働かせた。
「な、なあ、教えて欲しいんだが」
「ああ、いいよ」
何から聞けばいいのか。すると、テアシが俺の腕にぎゅっとしがみついた。
そうだ。テアシをここから出してやりたい。
俺はスマホの検索画面をシラトリに見せた。
「これ、テアシの死因なんだけど、読んで何か思うことはないか?」
シラトリに見せると、受け取ってじっと文章を眺めた。そして、首を振った。
「いや、すまないが、全然検討もつかないな。しかし、ご愁傷様だな。なかなか壮絶な死に方をしているらしい。メッセージは送ってみたのか?」
「いや、まだだ。この通り、夕べの出来事のトラウマで、テアシはここから出たくないって言っているんだ」
「それはやめた方がいいな。テアシ、ずっとここにいるつもりか?」
テアシが顔を背ける。
「ウキンも一緒じゃなきゃいや」
どうやらずいぶんと懐かれたらしい。
俺は少しホッとした。
「だったら、誰かを呼び出すしかないな。それも二人は必要だけど、ここに一人で来るのは珍しいから。きっと、大丈夫だよ」
テアシのことを思ってなのか、シラトリが優しく言う。
しかし、本来呼び出した彼らの獲物はまだ来ていないと言っていた。だから、たまたま肝試しに来た二人組に憑りつこうとしている。
ここから出ることが一筋縄ではいかないことは理解できた。
その時、うわああああああああああーと廊下を叫びながら、黒髪の男が骸骨を背負ったまま戻って来た。
教室に飛び込んできて、気を失っている金髪男のそばまでやって来た。
「な、ななななんで……?」
シラトリが驚いた口調で言った。
黒髪の男は、俺たちを指さしながら言った。
「お、お前ら、視えているぞっ」
人間に話かけられるのは初めてだった。
「お、おうっ」
俺が返事をする。
「金ちゃんっ。まさか、死んでいるのかっ」
「死んでない、死んでないっ」
俺が焦って答えると、黒髪の男がホッとした顔になって、ふうっと息を吐いた。
それから息を整えると、体の力を抜いた。
「あの……。取り乱してしまってすみません」
それを見たシラトリが、手を自分の頭に乗せて呟いた。
「出て行ってくれてよかったのに……」
シラトリの呟きをよそに、黒髪の男は心配そうに、失神している男のそばでしゃがみ込んだ。
「金ちゃん、大丈夫?」
黒髪の男はマナベと名乗った。
マナベは、骸骨が四体並んでいても、すっかり見慣れてしまったのだろうか、落ち着いて金髪の男が目を覚ますまでそばにいると言った。
金髪の男が目を覚ましたのは、マナベが戻ってきて数分してからだった。




