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骸骨パラダイス!  作者: 春野セイ


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骸骨って寝るんだ。



 とっさに俺はスマホを隠した。

 俺の動きを見て、テアシが顔をこちらに向けた。


「どうだった?」

「え?」

「内容」

「あ? え?」


 どう言えばいいのだ。

 しかも、2020年と言えば今から五年も前だ。


「……。やっぱ気になる。見せて」


 テアシが手のひらを向けた。

 どのみち知らなくてはいけない運命なんだ。

 そう思って、俺はスマホを渡した。

 テアシはどんな顔をしているのか、ぜひ知りたかったが、それは不可能だった。


 テアシがゆっくりとスマホを床に置いた。


「大丈夫か?」

「大丈夫じゃないよ……」


 だよな、と俺でも思う。

 テアシが突然、ごろりと床に寝転んだ。

 そして、足を自分の方へ引き寄せて肩を震わせた。


「一体、何が起きてんの? あたし、なんかしたのかな。未熟児って何? 赤ちゃん生んだの? 誰の子? ていうか、五年も前って何?」


 ツッコミどころが的確過ぎて怖い。

 いきなり発狂したりしないよな。


 俺は、ドキドキしているような気持ちで大きく深呼吸をした。


「よし! 真実を知る必要なんかない。ここから出ることだけを考えよう」

「どういう事よ……」


 テンションが下がったままのテアシを励まそうと、俺は明るい口調で言った。


「とりあえず、誰かを呼び出してみる。そいつがさっきみたいなちょっと怖い人とは限らない。あれは珍しいケースだ。絶対にあんな感じの人は来ない」

「言い切れるの?」


 疑り深い子だな、とちょっともやっとする。


「何度も言ってるだろ、あれはイレギュラー。なかなかお目にかかれないって。そんなあちらこちらで殺人事件が起きていたら、日本の人口もっと減っちゃうよ」


 冗談は通じないと分かっていたが、テアシがはあっとため息をついた。


「わかった……」

「ま、まあ、少し休むか。俺も目覚めてからいきなりいろんな出来事があり過ぎて、びっくりしているよ」

「あたしもだよ。あんなの初めて見た……」


 そう言って思い出したのか、うつむいて肩が震えだす。


「もう、忘れろ。俺たちには一切関係ない」

「でも、死んじゃった男の人、どうなるのかな。あたしたちみたいに骸骨になってここに来たりするのかな」


 テアシの恐怖も分からないでもない。でも、俺は少し思うことがあった。


「いや、俺たちは骸骨だろ。そして、白骨化している。テアシに関しては五年も前だ。今、お前は生きていたら20歳なんだろうな。だからさ、白骨化した遺体がここに集まるんじゃないか? それもニュースに載っている。だから、あのスーツの男はおそらくここじゃないと思う」

「ならいいけど……」


 今も死体は外にあるのだろう。

 けれど、俺たちはここから出られない。見に行くこともできない。

 この時ばかりは見に行けなくてよかったと思った。

 テアシがうつらうつらし始めて、眠ったことに気づいた。


 骸骨って寝るんだ……。


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