7.おまけ
六話、七話のおまけです。
「姫様、行きますよ」
「はぁ〜い」
少々のやる気のなさに、「……ストラウド様方も、今は……お忙しいのではないでしょうか」と言われ、「分かっているわ」とやや投げやりに返した。
本日は雨、篠突く雨である。
今日は、会議、議論、お話会である。可愛い衣を着て、お洒落に身を纏いて来る者を待つ。
テーブルに、椅子に、食べ物を用意して…………食べ物は、これで足りるかしら。
「ステイシー」
「なんでしょうか、姫様」
隣のステイシーに「これ、足りると思う?」と指をさして聞く。「……いえ、もう少し、用意いたします」と思案して、準備へと立ち去るステイシーに「頼んだよ〜」とひらひらと手を振った。
地面の魔方陣が光る。
あら、レノアが一番とは。
「…………あれ、集合時間、間違えた……?」
「早いねぇー」
「姫」
「なぁに」
「早く来すぎた」
どうやら、大きい子に早く声を掛けられたようだ。レノアは、遅れるよりも忘れることの方が多いから。
しゃあん。錫杖の揺れた音と気配を感じる。
「あら、二番」
「イレーナ、いらっしゃ〜い」
「…………」
レノアは椅子に座り、人差し指と親指の輪っかを片目に当てている。無言で、遠くを見ている。
しゃん。イレーナの装飾が音を立てる。しゃかしゃかと奏でながら、イレーナは歩くと、しゃんと揃った音と共に席に座る。
イレーナは、マリアーナの領域を見ているが、なにかあったようだ。
「なんかあった?」と聞けば、ふっと鼻腔から息を出し、「うちの子、果物みんな食べちゃって、ね」とややと困った様子で話す。
「そー」
「もっと心配したらどう?」
顔の傾きとともに、耳の飾りがゆらっと揺れている。金色の輪っか。
「だって、差し迫ってたら、そうじゃないもの、ね」
「そうね」
「…………」
すっとリチャードが座った。
「あら、いらっしゃい」
「いらっしゃい」
とイレーナが続けた。
お前の場所ではないだろうと言いたげに眉を顰め、目も細めているが、割といつもこんな顔である。
「今日は早い、やけに早いな……明日の天気は荒れるのだろうかみたいな顔しているけれど、たまたま」
文の前半は声真似をしたレノア。いつもは表情があまり……いや全然と言ってよい程に変わらないが、物真似をしているときはリチャードのような顔に少しなっていたような気がする。
「あぁ」
リチャードはむかついているのか、呆れているのか、それしか返さなかったようだ。イレーナは今にも笑い出しそうな顔をして、口元を手で隠して震えている。
暫くすると、ヴィルヘルムが「おお、揃ってるなぁ!」と入ってきたが、そこにいた者達になんだか祭りの佳境で出てきたような雰囲気だなと思われていた。いかにもな装飾品がついていたが、皆の視線でああーこれなーと言いつつ、外して魔法でしまった。何やら誰につけてもらったなどの説明をしていたが、いつもの如く長話のため耳から話が出ていってしまい、忘れてしまった。
次に、ハイリンヒがもぐもぐと何か食べながら、魔法で転移してきた。これはね__と何やら説明していたが、食べていたことで音では聞き取れなかったし、それ以上誰も聞く気が無く、この話はここで終わったのだった。
最後に、ナイトハルトが「おや、私が最後とは、これは失礼」とゆったりと歩き、座った。きっと「ナインハルト様ー、お時間ですよ!ナインハルト様ー‼︎」などと教えられて来たのだろう。特に遅れていないので問題はないが、本当には気を揉んではいないのだろうといった風に喋っていたので、本人も気にしていないことだろう。
「じゃあ、揃ったし、始めようかぁ〜」




