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錬金術師見習いです。  作者: ダグラス
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新人冒険者(6)

「彼らは密猟者だよ」

「密猟、ヤバイですね」

「ですね、だって」


 ヴァンが敬語を使っているのを、ルキアが面白がる。

 アグレイさんに事情を説明した。


「君達は厄介事に好かれているのかな」

「あいつ等また来ますよね」

「私が威しておこうか?」

「ぜひ、お願いします!」

「その代わり、ショウ君をしばらく貸して欲しいんだ」

「ショウを貸す?」


 アグレイさんの奥さんは、薬剤師をしながら錬金術の研究をしているらしく、異世界人の僕が研究に役立つかもしれないと、考えたらしい。


「それって、人体実験?」

「違うよ、異世界の知識を教えて欲しいんだ」

「どのくらいの期間ですか?」

「5年ぐらいかな」

「それは長すぎですよ」


 なぜかヴァンが仕切る。


「朝からショウ君の様子を見ていたけど」

「僕をつけていたのは、アグレイさんだったんですか」

「やはり気づいていたか、君は弓術士としての才能は高いと思う。しかし今のままでは、その才能を生かしきれないのも事実だ」

「・・・・・」

「妻の研究を手伝いながら、エルフの技を教えよう。どうだい?」


 願ってもない話だ!

 しかし、僕より先にマナが口を開く。


「だったら、全員で行くのはダメですか?」

「多すぎる、それに君達には目的があるのだろう」

「そう、ですけど・・・」

「決めるのはショウ君だ、明日の朝、タリムの店に来てくれ」

「わかりました」

「さっきの奴等は任せてくれ、ショウ君、良い答えを期待しているよ」


 宿に戻り、緊急会議が開かれる。

 僕の気持ちは決まっていたし、他の仲間も行くべきだと言ってくれた。

 しかし、マナだけが反対した。


「研究の手伝いって言ってるけど、実際にどんな事をするか分からないじゃない!」

「でも、ショウにとっては良い話しだよ」

「錬金術って何か分からないし、危険な事をするかもしれないのよ!」

「漫画では失敗すると、体の一部が無くなったりするよね」

「ショウ君、危険だから止めたほうが良いよ!エルフの技とか言ってたけど、人間に出来るとは限らないし」


 マナがこちらを見る、僕はゆっくりと話し出した。


「マナ、心配してくれてありがとう。でも、今のままでは何も変わらない。強くなって、みんなと戦えるように、修行だな、修行に行ってくるよ。それから合流して、また一緒に冒険しよう」


 不満顔のマナだったが、納得してくれた。


「ショウちゃんの送別会をしないとね」

「明日は奮発して、酒でも買ってくるか」

「イイじゃん!賛成!」

「・・・・・」

「僕も少しだけど、お金を出すよ」




 翌朝、薬局へ行く。

 アグレイさんとタリムさん、奥さんのエルザさんも待っていた。


「答えは決まったかな」

「はい、よろしくお願いします」

「薬学は奥が深いから、頑張って勉強するのよ」

「セシリアさん、アグレイさんの奥さんね、とても優しい人だから、安心して」

「回復薬は出世払いにしておくわ、必ず戻ってきてよ」

「はい、ありがとうございます」


 2人に励まされ、これから行く町の事を教えてもらった。

 出発は明日、その前に準備があるのでアグレイさんと出かけることになった。


「まずは冒険者ギルドに行こう」

「ギルドへ?依頼を受けるんですか?」

「違うよ、総合能力値を見てもらうのさ」


 総合能力値とは、その人のレベル、体力、魔力、スキルを測定して数値化したもの。

 スキルは自分で見ることが出来るが、他人には見えない。

 そのため、『上級弓術士募集』などの条件がある依頼を受ける時に、強さの証明書が必要になる。


「おや、エルフの商人さんが冒険者ギルドなんぞに、御用事がお有りですか?」

「この子の総合能力値を見てもらいたい」

「1Gですが、お持ちですか?」


 ギルドの受付に座っていた男性に話しかける。なぜか嫌みを言われているが、気にしてない様子だ。

 アグレイさんが金貨を渡すと、男性は奥の部屋に入り、カバンを持った男性と出てきた。

 カバンから絨毯を出し、それをテーブルの上に広げる。足拭きマットぐらいの大きさだ。

 絨毯には丸い輪が5個書かれていて、オリンピックのマークの様に並んでいる。輪の中には文字と図形が書かれている、魔法陣だ。


「ここに手を置いて、目を閉じてスキルリストを見ていて下さい」


 言われたとうりにすると、手が暖かくなってきた。


「登録名、ショウ、年齢、15歳、男性、職業、弓術士、レベル12、体力」


 僕のステータスを読み上げている。


登録名 ショウ

年齢 15歳 男性

職業 弓術士

レベル 12

体力  45

魔力  36


武術スキル

弓術   58

剣術   29

体術   31


魔術スキル

光魔法  15

闇魔法  11

火魔法  28

水魔法  16

風魔法  15

土魔法  18


学術スキル

言語   56

数学   85

化学   81

天文学  69

地質学  44


「以上、総合能力値ランクD」


 総合能力値にランクがあるのは初めて知った、Aが最高ランクならDは中の下?

 一番下のランクがDでなければの話しだが・・・。


「終わったぞ、エルフが目を付けるわけだ」


 目を開けると魔法陣が青白く光っていた。

 

「こちらが総合能力値の証明書です」

「ショウ君、少し早いが食事にしよう」


 アグレイさんは証明書を受け取ると、足早にギルドの外へ出て行く。後を付いて行くとレストランへ入っていった。


「この国は異種族が少ないから、偏見が強い」

「僕も初めて会った時は」

「それとは違う」


 どこの世界にも偏見や差別があるのだろう。

 証明書を見せてくれた、とはいえ、さっき読み上げたことが書いてあるだけだ。


「すごいね、想像以上だよ」

「レベル12ですよ」

「レベルは体力と魔力に影響するだけさ、大切なのはスキルだ」

「スキル」

「数学と化学スキルが80を超えている、この国、いや、この世界では学者クラスのスキルレベルだ」


 確かに学生時代は理系が得意だったが、成績は普通だった。

 日本人にとっては、当たり前の知識が、この世界では学者クラスの知識なのかもしれない。


「明日の朝、出発だから、準備をしておいてくれ」

「わかりました」


 昼食を食べながら、仲間との別れよりも、未来への期待が大きくなっていった。

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