↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金術師見習いです。  作者: ダグラス
6/63

新人冒険者(5)

 今日の報酬は、キズ薬2個と毒消し薬1個だった。

 現金でくれないのは、ギルドを通さない依頼だから、ギルドは依頼の報酬から手数料を取っている。それがギルドの運営費になるため、個人的に依頼をする事は禁止されている。つまり、今日の報酬ではなくお土産だ。


「ただいまー遅くなっちゃいました」

「おかえり・・・なさい」

「まさか、おまえ、酒飲んでる?」

「タリムさんファミリーと打ち上げ、的な」

「はぁ、ありえねー」

「そういう時は誘ってよー」


 怒られた、いつも冷静なテルにも怒られた、正座をしながらお土産のキズ薬と毒消し薬を渡すと、機嫌を直してくれたが。


「エルフにあった!」

「BBQ!」

「ビールにワイン!」


 今日あった事を報告すると、また火が付いてしまった。

 エルフのアグレイさんに自分達の正体を話した事は、完全にスルーされた。

 ワサビの事は内緒にした。


「アグレイさんはまだこの町にいるから、今度、紹介します」

「BBQも紹介しろよ」

「それはちょっと、すみません」


 正座のまま話しを進める。

 食べ物の恨みは恐ろしいと言うが、まさにそれだ!ヴァンはかなり怒っていた。


「今日は私たち大変だったの」

「え?テルの槍?」

「槍は問題ない、前より丈夫になった」

「私が回復魔法を使ってたらー」


 テルの槍は鍛冶屋で修理して、さらに焼きを入れて前より丈夫になった。

 その後、森で怪我をしたので、ルキアが回復魔法を使っていたら、それを見た別の冒険者チームに、ルキアがスカウトされたらしい。


「それが、しつこくてな」

「そんなにスキル高くないのにー」

「しかも、同じ宿だったの」


 聖術士は光魔法の上位、聖魔法が使えるレア職業だ。

 しかしまだスキルが高くないため、キズ薬と回復魔法を併用している。


「相手は何人?」

「3人だ、3人とも男だ」

「ヴァンちゃんが怒って」

「ケンカを売って来たのは、向こうだぞ」


 喧嘩になりかけたのをテルが止め、宿に戻ったら食堂でバッタリ出会い、また喧嘩になりかけたらしい。


「ヴァンちゃんは今日、怒ってばっかり」

「とにかく!無視することに決まったから」

「わかった」

「それと、明日はショウ君も一緒に行動して欲しんだけど」

「いいよ、あ、でも、タリムさんの依頼が・・・」

「その後でもいいから」


 こちらの人数が多ければ、相手も仕掛けて来ないだろう。さすがマナ、頭の回転が速い。

 ヴァンは自分のベッドで、ふて寝をしている。

 久しぶりにチームに復帰できる、明日もいい日になりそうだ。

 



 翌朝、ギルドに行き依頼を受ける。

 午後から合流する場所を決め、僕は薬局へ行く。

 依頼はいつもと同じなので、手早く済ませて昼前には合流場所に着いた。

 僕が急いだのには訳がある、誰かに後を付けられている気がしたからだ。


「ショウ君!お待たせ!」


 遠くからマナの声がする、かなり遠くから手を振っている。

 4人と合流して、みんなでお弁当を食べる。


「後を付けられているの」

「え?僕もだよ、なんとなくだけど」

「え?ショウ君も!」


 こちらの様子を窺(うかが)っているのか、ギルドを出てからずっとらしい。


「今なら5対3だな!」

「念のために盾を持ってきた」

「ショウちゃん!いざとなったら、弓解禁だよ!」

「人を撃つのは、ちょっと」

「そうだよ、平和的に解決しないと」


 3対2で好戦派が優勢、久しぶりのチーム復帰戦が対人戦になるかもしれない。




 森の中にはイノシシ、シカ、ウサギの魔物が多く生息している。どれも肉と皮が売れる。

 主にヴァンの剣とテルの槍で仕留める、マナとルキアは魔法でサポート、僕は弓禁止令が出ているので、構えるだけで撃たない。

 経験値は戦闘貢献度で決まるらしく、戦わないとゼロだ。よって僕だけ経験値が入ってこない。

 つまり弓術士は、戦うと矢が折れて赤字になり、戦わないと経験値ゼロで、もしも補助装備の短剣で、イノシシの魔物と戦ったら文字どうり骨が折れる。

 ネットのゲームなら運営に文句を言ってるぐらい、弓術士は使えない職業だ。


「よし、そろそろ戻るか」

「おつかれーひさびさに5人で戦えたね」

「そうだね」


 今日の成果はイノシシ1頭、ウサギ5羽、その内ウサギ3羽が依頼のあった魔物なので依頼主へ持っていく。

 ギルドに報告に行き、残りの魔物を買い取ってもらう。これも手数料の都合で、直接お店に売ってはいけない。

 手続きを終えてギルドを出ると、男達に囲まれた。


「随分シケた成果だな」

「・・・行こう」

「おい、待ちなよ、酒も飲めねー様な稼ぎじゃ、つまんねーだろ、こっちは心配してやってんだぜ」

「大きなお世話だ!」


 ヴァンが食ってかかる、テルとマナがそれを抑える。

 相手は3人、前に2人と後に1人、3人とも剣術士で強そうに見える。

 僕は後を警戒して、ルキアを囲む様に立つ。


「俺たち今度、ブルーベアを狩りに行くんだ、そのときサポート役が必要でな、その子に手伝って欲しいんだ、もちろん報酬は山分けだ。」

「悪い話しじゃない、金貨5枚は堅いぜ」


 ブルーベアは聞いた事のない魔物だが、おそらくクマの魔物だろう。クマと戦うなんて危険すぎるし、こいつ等が報酬を払う保証もない。


「断る!そんな危険な依頼は受けられない」

「光魔法が使えるだろ、そいつでベアの目を眩ませるだけさ」

「やらないつってんだろ」


 ヴァンが剣に手をかけた、相手も臨戦態勢になる。


「随分、物騒な話しをしているね」

「?!」


 僕が振り返ると、男達の後にアグレイさんが立っていた。

 男達も振り返り、突然のエルフ登場に驚いている。


「ブルーベアは個体数管理のため、討伐が禁止されているはずだが」

「エ、エルフには、関係ねーだろ」

「聞こえてしまったから、仕方がない」


 騒ぎを聞き、人が集まりだした。

 男達は舌打ちをして退散、ひとまず危機を脱した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。