↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金術師見習いです。  作者: ダグラス
41/63

宝石泥棒は恋敵(4)

 広間には赤い絨毯がしかれ、正面の階段状の台の上に豪華な椅子が1つ、明らかに玉座と分る。


「皆さん、ようこそ玉座の間へ、これから作戦を話す、こちらへ」


 総司令官のドレーゼンさんが広間の横の部屋を指差した。

 広間の両側に小部屋がいくつもあり、各種儀式や式典を進行する為の準備室になっている。今回は会議室として使うように、テーブルとイス、玉座の間付近の見取り図が用意されていた。


「まずは今回、宝石泥棒の予告状の説明をしよう」


 予告は今日の夜、ティアラに付いている貴石(きせき)ティアストーンを狙う内容だった。

 現在、女王は高齢のため、王女に王位を継承する儀式の最中で、明日の戴冠式の為、今夜ティアラは玉座の上に置かれる。よって今夜が最も警備が手薄になる。儀式の内容を知る者は多く、また儀式の準備をする者も大勢いる。


「つまり、城内の誰かに入れ替わっていると考えられる」


 見取り図には、侍女の待機室や警備兵の立つ位置まで、細かく書かれている。


「そこで、マナには外の見回りを担当してもらっている。彼女は魔力を見分ける能力があるからだ」

「ほう、魔技師に必要な能力じゃな」

「そう、トロア殿には玉座の間で魔族を見分けて欲しい」

「良かろう、こちらの希望は少数精鋭の警護じゃ」

「見取り図の位置に兵士を置かねばならない、これは伝統だ、変更はしない」

「兵士が20人、わしらを入れて30人ほどか、まあ良かろう」

「次に、冒険者チームには、各窓を担当して、侵入と脱出に備えて欲しい」

「私は戦闘できないよ」


 ルキアの魔法は主に回復と防御で、直接戦う職業ではない。


「では、そこをアグレイ殿にお願いできますか?」

「ああ、構わないさ」

「ルキア殿は遊撃部隊として活躍してもらおう」

「は~い」

「助手の方々もルキア殿と同じく遊撃部隊、基本はこの形で宜しいかな」

「構わんが、もしティアストーンを奪われた場合はどうする」

「守るべきは貴石(きせき)ティアストーン、他は壊れても修復可能、そこで」


 ドレーゼンさんが宝箱を取り出した。

 箱を開けると中にはティアラ、プラチナの装飾に無数のダイヤモンドが散りばめられ、中央には格段に大きなダイヤモンドが輝いている。


「ほお、これが貴石(きせき)ティアストーン、見事な・・・」

「師匠、これは・・・」

「水晶じゃの」

「やはり、分りますか。危険を避ける為、偽者を作らせたのだが」


 万が一の為に偽者と差し替える予定にしていた。しかし、ダイヤと水晶では簡単に見破られる為、中止になった作戦らしい。


「あっさり見抜かれては、中止して正解でした」

「あの、本物そっくりに出来れば、ダイヤを作れば、良いのでは?」

「ダイヤを作る?」

「はい、ダイヤモンドは炭素、木炭があれば作れます」

「錬金術はそんな事が可能なのか!」

「材料があれば、結晶化させられます」


 直ぐに、兵士を走らせ、大量の木炭が届いた。

 普通の木炭は炭素だけでなく、油分も含んでいる為、まずは油を分離して純粋な炭素を作る。錬金術で高圧力状態を維持し変形させる。


「この偽者のティアストーン、外して良いですか?」

「ああ、問題無い」

「この形と大きさを見本にします」


 ダイヤモンドは固く割れ易いので、形を決めてから結晶化させる。こうして人工ダイヤのティアストーンが完成した。

 水晶と比べれば格段の煌き、あとはティアストーンの台座に戻して固定をする。


「どうですか?本物と比べて」

「ああ、驚くほど遜色ない」


 みんな驚いている。

 簡単そうに見えるかもしれないが、高圧力状態を維持し変形させるのは、高度な技術を必要とする。修行の成果です。


「ショウちゃん、私と結婚して!チートな錬金生活のスタートだよ!」

「ルキア、何言ってるの?意味が分らないよ」

「ショウ君、エルフはいつまでも若い姿でいられる。娘を選んではどうかな」

「アグレイさんまで、何言ってるの?」

「ちょっと待って!私達、婚約してますから」

「それは、正しい」

「まだ正式な婚約では無いだろう、選ぶのはショウだ」

「エ?エミリさんまで!」

「静かに!」


 ドレーゼンさんの声で混乱が収束する。

 本物そっくりなティアラが完成したため、替え玉作戦が実行された。


「この作戦は他言無用で頼む」

「もちろんです」


 ドレーゼンさんは宝箱にティアラ入れ部屋を出る。

 僕達は近衛兵の案内で王宮の外、近衛兵の待機施設で夜を待つ、王位を継承する儀式の準備に多くの人が働いている。


「午後から式典だって、俺達は待つだけか」

「式典の最中は限られた人しか入れないらしい」

「その時、取られちゃったりして」

「マナが見張ってるよ」

「アレクは予告通り来ます。夜と言ったら夜です」


 サンドラは過去のアレクの事件についてを話した。

 武器を使わず、誰も傷つけず、目的の宝石だけを盗む姿を冒険活劇のように語っていた。トロアさんが不機嫌なのは分るが、ヴァンも不機嫌そうだった。


「ヴァンとテルも片手剣なんだ、いつもの武器は使わないの」

「宮殿内はルールがあるみたいで、ショウが弓を持ってる方が不思議だ」

「門で足止めされた理由がそれじゃろう、エルフは特別かな」

「ドレーゼンとは、彼が若い頃に縁があってね」

「へー、どんな縁ですか?」

「なに、さほど面白い話しではないよ」


 遠くから、太鼓やラッパの音がする。

 現在の女王が次の女王に席を譲る為、王を辞める式典が行なわれている。式典の最後に、ティアラは玉座の上に置かれる。

 厳粛な式典が続く中、僕達は身の上話しをして仮眠をとった。




    ショウの装備

鉄の弓

木の矢(10本)

黒い矢(1本)

片手剣(白夜)

短剣(補助装備)

布のシャツ

皮のベスト

七分丈ズボン

ぴったりしたソックス

鉄のこて(弓術士用)

皮の靴

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。