↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
錬金術師見習いです。  作者: ダグラス
40/63

宝石泥棒は恋敵(3)

「アグレイさん、白夜の事セシリアさんに聞きました」

「そうか、このまま君が使ってくれ、私には重すぎる剣だ」

「はい、ハイドと言う魔族は必ず僕を狙ってきます」

「そうだね、魔族は人間を嬲り殺す嗜好がある」

「え、ナブリコロス」

「つまり、直ぐには殺さない、生きていれば必ず好機が来る、それまで耐えろ」

「わ、わかりました」


 予言の様な言葉に恐れを感じた。

 打ち合わせが終わり、明日の決戦に備え、それぞれが準備に入る。

 トロアさんの魔導具店の見学は後日になり、エミリさんとアグレイさんは『そんな野暮な事はしない』と言って別行動、サンドラは『リコ、息を止めないで、呼吸した方が痛くないらしいよ』と言っていた。

 僕達は昨日、途中止めになった都見物に出かけた。


「ねえ、ショウ」

「なに?」

「アレクは本当に悪い人なのかな」

「泥棒だから」

「でも、怪我をしたサンドラを助けたよ」

「!そうだね、じゃあ、明日リコも一緒に来る?」

「え?いいの」

「大丈夫、リコが1人でいるより安全だよ。それに王宮に入れる機会は、まず無いよ」

「ありがとう!最高の誕生日になるね」


 おそらくアレクは魔族ではない。

 魔族ならサンドラを助けたりしない。それに回復魔法、足が速くなる魔法、僕もルキアの魔法で運動能力が飛躍的に上がった。

 悪い人かどうかは分らないが、聖術士で強奪を好まない泥棒だと思う。


「リコ、誕生日プレゼントは明日、報酬をもらってから買う予定なんだ」

「えー、そういう時は遅れちゃ駄目なのよ」

「ごめん、考えすぎて決まらなくて、それに少しでもいい物を贈りたいから」

「私は高くなくても平気なのに」

「今日は一緒にプレゼントを選んでよ」

「ショウって変な所が不器用ね」


 本当はプレゼントは既に買ってある。

 しかし、エミリさんの話しを聞いて、髪飾りでは駄目だと気付いた。基本は指輪だが、サイズが分らない。婚約指輪を贈る人は、いつサイズを確認してるのだろう。

 初めての経験に戸惑いながら、ヴァンが用心棒をしている宝石店へ向かった。


「おや、ヴァンは今日休みだよ、明日も別の仕事だから明後日だな」

「あの、今日は指輪を買いに来ました」

「失礼しました、どういった物がご希望でございますか」

「見ての通り、お金がないので、10Gから20Gでお願いします」

「そういたしますと種類は限られます」

『ショウ、無理しないでよ』


 店員は3種類の指輪を出してきた。

 プラチナ素材の細い指輪12G、ゴールド素材の細い指輪16G、プラチナ素材の細い指輪にダイヤモンドいかにも婚約指輪24Gだった。僕的には、いかにも婚約指輪が良いと思う。


「どれにする?」

「これ」


 プラチナ素材の細い指輪12Gにアッサリ決定した。


「では、これをお願いします」

「かしこまりました。サイズ測定をいたします」


 指のサイズを測る指輪がジャラジャラと音を立てながら出てきた。

 2つほど指にはめ直して、サイズ測定は終了した。さすがプロ。


「明日の夕方には仕上がります」

「僕はヴァンと同じ仕事をするので、明後日取りに来ます」

「かしこまりました」

「内金は5Gでいいですか」

「ありがとうございます。では、残り7Gとお渡しは明後日の予定ですね」

「よろしくお願いします」


 婚約指輪を数分で買った人間はいるのだろうか。

 店員にお見送りされながら店を出る。


「ショウ、私は高くなくても平気って言ったのに」

「一生使える物だし、今更、後戻りは出来ないよ」

「一生かぁ、そうだね」


 ご機嫌のリコと楽しい都見物を再開した。




 夕食の後サウナに行き、明日の決戦に備え早めの就寝の予定だった。

 寝間着に着替えて、それぞれのベッドに入るはずが、リコは立ったまま僕の方を見ている。


「どうしたの?」

「あの、ショウ・・・今日はありがとう」

「大丈夫だよ、明日に備えて早く寝よう」

「もう、ショウって変な所が不器用ね」

「?・・・?」

「初めてキスした時もそうだった」

「?・・・?」

「女の子から、言わせないでよ」


 リコは僕のベッドに入った。

 流石の僕も理解した。結婚まで貞操を守ると思っていたので、心の準備はまだ出来ていない。


 蒸し暑い夏の夜に、2人の汗が互いを包み、交じり合った。




 城門の兵士に軍からの手紙を見せた。

 若い2人が軍の依頼書を持ってきた事に、兵士達がなぜか慌てている。学術研究会では直ぐに入れたんだが・・・。


「すみません、御名前は?」

「ショウです。こっちは助手のリコ」

「以前に王宮への出入りはありますか?」

「王宮はないけど、学術研究会の時に来ました」


 兵士の詰所に確認して、こっちに来て確認してを繰り返す。


「おやおや、ショウ殿は門番に転職かな」

「トロアさん、確認作業に手間取ってるみたいです」

「ドラゴンキラーの名も、ここまでは届いてないかな」

「その名前、好きじゃないです。竜族とは仲良くなったので」

「そうかのぉ、顔と名が売れると仕事がしやすいぞ」


 トロアさんは兵士の詰所に入って行った。

 サンドラは大きなリュックを背負い、変わった靴底のブーツを履いている。靴底が大きな筒状の楕円形をしている、あれが足が速くなる靴かな。

 

『で、それで、そうなの、どうなったの』

『でね、それから、やっぱり痛くて、まだ歩き難いよ』

『そうなんだ、先輩、参考になります』


 トロアさんが帰って来た。

 顔パスで入るのかな、簡単に王宮に入るなんて普通に出来ないと思うけど。


「王宮の近衛兵が来るまで待機じゃ」

「了解です。アグレイさんとエミリさんも見えますよ。ほら」

「うむ、手間が省けたわ」


 アグレイさんとエミリさんもこちらに気付いて、手を振っている。


「なんだショウ、リコを連れて来たのか」

「昨日までの話しで、危険はないと思って」

「そうですよ、アレクの事件で怪我した人はいませんよ。私達、以外は」

「まあ、問題ないか」


 近衛兵が来た、アグレイさん以外、キョロキョロしながら近衛兵について行く。

 宮殿の入り口は白い石造りのアーチで、床は大理石、美しいステンドグラスが幾何学模様を描いている。


「あのステンドグラス、魔法陣じゃな」

「どんな効果があるんですか」

「光だ。おそらく、夜光る仕組みじゃろう」

「流石、王宮はランプの必要なしですか」


 宮殿内の広間に通された。

 総司令官のドレーゼンさん、ヴァン、テル、ルキアがいる。マナがいないけど、どうしたのかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。