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錬金術師見習いです。  作者: ダグラス
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ドラゴン襲来(2)

 しっかり寝たのに体のダルさは相変わらず。病気を疑いながら、王都を歩く。

 王都シルティアは冬に来た時より、人が少ない印象だった。

 後で聞いたら、冬は北部からの出稼ぎ労働者が来るので、人口が1.5倍になるそうだ。アルストリアは雪がちらつく程度で積もらない。

 ドラゴンが現われたパストーレは北部の豪雪地帯だ。今は春、雪は関係ない。


 今回は本当に1人旅だ。

 出発前に王都へ行くと話すと、リコちゃんは一緒に行くと言っていた。トーマスさんにドラゴンを討伐に行くと伝え、しっかり見張ってもらった。

 以前トーマスさんが

「歳をとってから授かった娘だから、大切に育ててきた、君も娘を大切に思うのなら、娘に対して責任ある選択をしてくれ」

 と言っていた。

 この世界に来て1年、僕はたぶん16歳になっている。

 リコちゃんは夏に14歳になる、成人まであと1年と少し、遠まわしの圧力が掛かっているが、今は目の前の任務に集中しよう。


 王都に住む仲間に会いたいが、住んでいる場所を知らない。

 マナから手紙が来たが、家はマンションのような豪華な集合住宅で、部屋を掃除してくれる人が合鍵を持っていて、なんだか監視されてるみたいで気持ち悪い。と書いてあったけど、住所は書いてなかった。

 司令官の人が知ってるかな、そもそも偉い人に簡単に会えるだろうか。


 考え事をしながら、学会の会場へ着いた。

 城壁の門兵に招待状を見せると、前回とは違う建物へ案内された。そこは学会の会場と言うより会議室だった。


「おや、君が来たのか」

「おはようございますビクターさん、代理で来ました」


 ビクターさんは不満そうな顔をしている。

 この国にドラゴンが現われたのは、100年ぶりで記録が少ない、エルフの情報を聞きたくて緊急の会議を開いたようだ。

 セシリアさんから基本的な情報は教えてもらっている。


「竜族は個人主義者だから、魔族と組むはずがない。冬眠から覚めてお腹が空いてる、食事が終われば、どこかへ行くはずだから、緊急招集なんて大袈裟すぎる。だそうです」

「個人主義者?10体ものドラゴンが現われたと報告があったのだが」

「そ、そんなに」


 パストーレは30年前から新たに開拓された土地で、痩せた土地なので、主に家畜を飼育して、収入源にしている。

 冒険者ギルドなどの施設が完成していないため、情報の伝達が遅く対応に苦慮しているらしい。


「家畜を食われる実害が出ている。討伐を行なうべきだ」

「10体のドラゴンを誰がやるのだ、おぬしが殺されに行くのか」

「エルフの情報は当てにならん、ドラゴンの強さも不明、会議の意味も不明だな」


 会議に呼ばれた学者は3人、僕とビクターさんで合計5人、僕以外は老人だ。


「討伐隊の募集をしているだろ」

「10体のドラゴンと聞いて逃げ出ておるわ」

「戦わずに勝つ、妙案を賜りたい」

「ありますよ」


 僕の発言に老人達は怪訝そうに、こっちを見ている。

 構わず話しを続けた。


「竜族は知性の高い種族です。交渉する事が可能です」


 本来、単独で行動する竜族が、群れで行動するには理由があるはずです。パストーレは人間にとって新しい開拓地なので、元々竜族の集会がある場所に、人間が町を作った可能性が高いと思います。

 定期的に集まる場所に、家畜がいて食料と思って食べたら、なぜか人間が怒った。これが竜族の言い分です。人間にとって家畜は大切ですから、竜族に食べないで、とお願いすれば問題は解決します。


「交渉などと、簡単に言ってくれる」

「パストーレは30年前から開拓を行なっている、そなたが生まれる前だ」

「ドラゴンは長い時を生きる、定期的な集会、うーむ」

「エルフは30年前を『こないだ』と言ってました」


 学者達は3人でコソコソ話し始めた。


「まさしく妙案だな、誰が交渉役をするのかな」


 ビクターさんの発言で学者達は話しをやめた。


「僕が行きますよ、護衛をつけて下さいね」

「既に討伐隊は現地で待機している」


 予想どおりだった、他がいないからなぁ。

 10体のドラゴンの群を見たら、戦う気にはならないと思うけど、なんだか嫌な予感がする。特にヴァン。





 瞬間移動魔法陣でパストーレへは行けない。

 冒険者ギルドが無いため、近くのエストーニャへ行き、そこから馬車で3日かかる。現地に着いた頃には、どこかに行ってる可能性が高くなってきた。

 パストーレへの道はデコボコしていて、時々、馬車が止まる。馬車を押しながら舗装された道路のありがたさを感じていた。


「すまないね、この辺りはフォルラビットが増えすぎて、穴だらけなんだ」

「『穴掘りウサギかな』冒険者に討伐依頼を出せばいいのでは?」

「お金が無くてね、それに広い放牧場だから大変だよ」


 馬車を走らせながら、案内人のおじさんが話す。

 この辺りは死の山からの火山灰が堆積した土地で、土壌はやわらかく水はけがいい。牧草を植えて放牧場を作り、家畜を飼い始めた。

 長年かけて放牧場を広げ、家畜を増やしてきた。


「やっと、軌道に乗ってきたら、フォルラビットが放牧場を占領して、さらにドラゴンまで、まったく困ったものだよ」


 話しをしていると、道にウサギの魔物が出てきた。

 中型犬ぐらいの大きさで角が生えている。僕は弓でウサギを仕留めた。


「お!良い腕だね」

「肉は食べられますか?」

「美味しいよ、素早いから足の肉は最高だよ」


 血抜きをして馬車に乗せる。

 その夜、おじさんがウサギ肉のスープとモモ肉の塩焼きを作ってくれた。臭みが無く美味しい肉だった。ウサギ肉は鶏肉に似ていると聞いた事があったけど、鶏肉より肉質が良く味がハッキリしている。


 ドラゴンがフォルラビットを食べてくれたら、一石二鳥だな。

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