第17話 レディ・ドロップの特別撮影会と、賢者の帰宅
【現在の蓄積リビドー:120%(LIMIT BREAK)】
【警告:致死量のリビドーを検知。魔力回路が暴走・再構築されます】
アリス先輩、暦さん、そして紡ちゃん。
三人が一斉に自らのスカートをたくし上げ、その秘められた領域を私に向かって曝け出した瞬間——私の脳内で、何かが決定的に弾け飛んだ。
「あ……あぁ……っ」
喉の奥から、甘く、ひどく熱を持った吐息が漏れる。
視界を埋め尽くす、三者三様の極上のパンチラ。
ゴージャスな黒レース、可愛らしい水玉模様、純白のコットン。それらが放つ圧倒的な破壊力は、昨夜から限界スレスレだった私のリビドーのダムを、いとも容易く決壊させたのだ。
ドクン、ドクンと、心臓が爆発しそうなほどの勢いで血を送り出す。
いや、血ではない。
それはドス黒くも甘美な、サキュバスの『魔力』だった。
——ああ、もう無理。
——こんな極上の餌を目の前に並べられて、おとなしい「ジメ子」のままでいられるわけがないじゃない。
私はゆっくりと顔を上げた。
いつも前髪の奥に隠している不健康なクマは消え去り、私の瞳は、淫靡なオーラを放つ妖艶な紫の輝きへと変貌していた。
ボンッ!
という音を立てて、ダボダボだった制服の胸元がはち切れんばかりに膨張する。
控えめだったAカップの胸囲は、暴力的なまでのEカップへと大増量し、ブラウスのボタンが弾け飛んだ。肌は火照ったように艶めき、頭部からは漆黒の小さな悪魔の角が、腰のスカートの隙間からは細くしなやかな尻尾が生え出る。
そして仕上げに、魔力で具現化した『漆黒のバタフライマスク』が私の目元を覆い隠した。
「え……? し、潮見、ちゃん……?」
「潮見さん……? その姿、一体……デュフ、いや、え?」
「せ、先輩……? なんか、すっごくいい匂いが……」
突然の変身に、三人がスカートを握ったまま目を丸くして固まっている。
私はふふっ、と余裕たっぷりの笑みをこぼし、艶やかな唇をペロリと舐め回した。
「いけない子猫ちゃん達ね。不用意にスカートなんて捲るから……そんなに食べられたいの? いいわ、たっぷり躾けてあげる」
——降臨。
圧倒的な色気と全肯定の包容力を併せ持つドSサキュバス、レディ・ドロップの降臨である。
* * *
私が指をパチンと鳴らすと、部室を満たしていたピンク色の魔力が一気に濃度を増した。
空間がグニャリと歪み、部室の壁や天井が淫靡なモヤに覆われる。
壁に掛かっていた時計の秒針が、ピタリと停止した。
隠密魔法の応用——『時の流れが曖昧な絶対異空間』の構築だ。ここでの出来事は外界に一切干渉せず、誰の目にも触れることはない。
「な、何これ!? 体が……動か、ないっ……!?」
アリス先輩が声を上げた瞬間、天井の空間が歪み、そこから魔力で編み込まれた『手枷』が三本、蛇のようにシュルリと伸びてきた。
手枷は三人の両腕に巻き付くと、そのまま彼女たちを壁際に固定し、頭上でガッチリと拘束した。
「きゃああっ!?」
「ひゃんっ!?」
「おふぅっ!?」
三人が万歳をするような格好で壁に吊るし上げられる。
制服の胸元が強調され、先ほど自らたくし上げたスカートは、魔力で作られたフックでめくり上げられて完全に無防備な状態だ。
「さあ。等価交換の儀式、始めましょうか」
私は空間から、自慢の一眼レフカメラと、魔力で具現化した『フワフワのピンク色の羽毛』、そして『微振動する謎のスティック(マッサージ器具)』を取り出した。
「まずは……いつも変態的な笑顔が素敵な、同学年の暦さんからね」
「デュフフ!? ちょ、潮見さん!? その手に持っているブルブル震える棒はなんですか!? わたし、そういうのは見る専で……ひゃんっ!?」
私は抵抗できない暦さんの制服の隙間にスティックを滑り込ませ、その平坦な胸の先端にピタリと押し当てた。
「あひぃぃっ!? ダメ、でふ! そんな、ウヒィッ! わたし、感じてしまいま、あぁっ、デュフ、デュフフフフッ!」
同学年ゆえの遠慮のなさで容赦なく振動を与えると、暦さんは変態的な笑い声と甘い喘ぎ声をミックスさせながら、快楽の波に溺れていった。
カシャリ、と最高の泣き顔をカメラに収める。
「次は、可愛い可愛い後輩の紡ちゃん」
「ひ、ひぃぃ……! 潮見先輩、許して……私、百合は好きですけど、自分がされるのは心の準備が……あっ、ひゃあっ!?」
私は紡ちゃんの無防備な脇腹から首筋にかけて、羽毛を這わせるように優しく撫で上げた。
「やぁっ、くすぐった、いですぅっ……! はわわ、先輩のいい匂いで、頭が、ふわふわして……ダメぇっ、見ないでぇ……!」
羞恥で顔を真っ赤に染め、ツインテールを揺らしながら身をよじる紡ちゃん。そのピュアな反応に、サキュバスの加虐心がビンビンに満たされていく。
カシャリ、連写モードでその純情な涙目を頂戴する。
「さて。最後は……言い出しっぺの部長さん、ね」
私は、圧倒的なFカップを揺らして息を荒くしているアリス先輩の正面に立った。
「くっ……な、舐めないでよね、潮見ちゃん。私を誰だと思って……ひゃあっ!?」
強がるアリス先輩の柔らかな双丘を、私は背後から両手で包み込むように鷲掴みにした。そして、耳元で甘く囁く。
「誰って? 私の可愛い被写体……でしょ?」
「ああっ……! だ、だめっ、そこ、優しくっ……あぁんっ!」
コミュ力お化けの陽キャギャルが、私の指先のテクニックの前にあっけなく陥落し、とろけるような声を上げてビクビクと背筋を反らせる。
プライドの高い美人が快楽に沈む瞬間。
これほどシャッターを切りたくなる光景はない。
「ふふっ……時間はたっぷりありますからね。心ゆくまで、可愛がってあげるわ」
時の流れが停止した異空間の中、私は三人の被写体を徹底的に『撮影』し続けた。
フラッシュの光と、三者三様の甘い嬌声が、ピンク色の空間にいつまでも溶けていった。
* * *
「…………はぁ、疲れました」
どれほどの時間が経っただろうか。
気がつけば、窓の外はすっかり茜色の夕焼けに染まっていた。
私立百合ヶ丘高校の校門を抜け、帰路につく私の足取りは、鉛のように重かった。
今の私は、艶やかなレディ・ドロップではない。
胸のサイズはAカップに戻り、角も尻尾も引っ込んでいる。いつも通りの猫背で、目の下には深いクマを刻んだ、ただの陰キャ女子高生「ジメ子」だ。
リビドーを限界まで消費して魔力に変換し、三人をたっぷりとお仕置き(撮影)した後、私は残る力を振り絞って『空間転移』の魔法を発動させた。
快楽の絶頂で気絶したアリス先輩、暦さん、紡ちゃんの三人を、それぞれ自宅のベッドへと安全に送り届けた。
もちろん、記憶には少しだけ霞をかけて「なんだかよくわからないけど、凄くエッチな夢を見た」程度に認識を書き換えておいた。
【現在の蓄積リビドー:0%(賢者モード)】
「……やりすぎました。完全に魔力切れです。歩くのもしんどい……」
ポシェットの中には、先ほど現像した天使たちのパンチラ写真と、新しく追加された『写真部三人娘の極上のお仕置き写真』のデータがしっかりと収められている。
だが、リビドーが空っぽになった今の私には、それを開いてニヤニヤする気力すら残っていなかった。
ただひたすらに、早く家に帰って泥のように眠りたい。
「明日の部活……どんな顔して行けばいいんでしょうか……」
夕日に向かってポツリとこぼした自問自答は、誰に届くわけでもなく、夜の冷たい風に虚しく吹かれて消えていった。




