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獣人しかいない世界で 僕は胃袋掴んで無双する  作者: けろ


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61.僕と、ねぎ塩タレと、てりやきソース

テレビ番組での大特集から数週間。

僕たちの『ししし屋』の人気は衰えるどころか、ますます勢いを増していた。

特にリピーターのお客さんたちの間で、あるものの評判が広がり始めていた。それは、たこ焼きのトッピングとして開発した、『ねぎ塩味』に使っている塩ダレと、『てりたま味』に使っているてりやきソースについてだった。

「ねえオーナー、最近カウンターで『タレだけ売ってないの?』って、お客さんから毎日のように聞かれるんだよ」

レジ担当リーダーのイチカワさんが、ねじり鉢巻を直しながら嬉しそうに報告してくれた。厨房のケンジさんも「うちのソース、マジで米にも肉にも合うからな!」と太い腕を組んで頷いている。

そんな現場の声を聞きつけたレミ社長が、動かないわけがなかった。

「ちょっとヒロキ、これガチのビジネスチャンスじゃん! お客さんが欲しがってるなら、ソッコーで商品化しちゃお!」

抜群の行動力で、獅子丸食品の開発・製造ラインがフル稼働。僕が作ったお店のレシピをベースに、家庭用ボトルとしての品質と保存性を両立させたパッケージが、あっという間に完成した。

商品名はストレートに、『ししし屋の塩ダレ』と『ししし屋のてりやきソース』。

ボトルのラベルには、もちろん「ねじり鉢巻」を巻いて不敵に「しししっ」と笑う『ししし獅子』のイラストがバッチリ印刷されている。

「ヒロキくん、これ、お肉に揉み込んで焼くだけで、普通のスーパーのお肉がお店の味になるね……!」

試供品を自宅で使ってみたアオイさんが、目をキラキラさせて大絶賛してくれた。

アニーも「このてりやきソース、家でマヨネーズと一緒にトーストに塗って焼いたら最高やったわ!」と、すっかりお気に入りの様子。

まずは『ししし屋』の店頭カウンターの横に、特設の販売コーナーを設置して並べることになった。

「いらっしゃい! ついにこのお店のあの味が家でも楽しめる特製ソースが出たんだよ!」

イチカワさんが抜群のトークで勧めると、たこ焼きを買いに来た主婦層や学生さんたちが「えっ、あのタレ売ってるの!? 1本ちょうだい!」と、次々にボトルを買い物袋へ入れていく。

『ししし屋の塩ダレ』は、ごま油の香ばしさとガツンと効いたニンニクの旨味で、炒め物やサラダのドレッシングにも万能。

『ししし屋のてりやきソース』は、コクのある甘みと絶妙なとろみで、ハンバーグやチキンソテー、子供たちのお弁当のおかずにぴったりだと、口コミで瞬く間に評判が広がっていった。

中にはこれを使って、商売を始めようという動きもあるらしい。

最初は店頭だけの限定販売だったけれど、あまりの売れ行きに、レミ社長はすでに「これ、全国の普通のスーパーの棚にも流通させるから!」と次の野望に目を輝かせている。

お店を飛び出して、みんなの家の食卓にまで僕たちの味が届くようになるなんて。

ねじり鉢巻の『ししし獅子』マークは、フードコートを飛び越えて、この世界の新しい「美味しさの定番」として、さらに広く知れ渡っていくことになる。

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