↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
獣人しかいない世界で 僕は胃袋掴んで無双する  作者: けろ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
58/139

57.僕と、ししし屋と、従業員募集

メニューが完璧に決まったのも束の間、次のステップとして浮上したのは「誰が店を回すのか」という、極めて現実的な『人事・雇用』の問題だった。

再び特別寮にやってきたレミ社長は、ソファに深く腰掛け、高級なデザインのタブレットを指で弾きながら言った。

「メニューマジで神! ガチで売れる未来しか見えないわけ。だからさ、お店のオペレーションを完璧にするために、ウチ(獅子丸食品)の優秀な社員を管理責任者(店長)として何人か送り込もうと思うんだよねー。その方がマニュアル化も早いし、ヒロキたちも楽っしょ?」

確かに、大手企業のプロのノウハウを持った社員が店を取り仕切ってくれれば、開店初期のトラブルは最小限に抑えられる。フェイ先生も「合理的な判断ね」と頷きかけた。

しかし、ヒロキは少しだけ眉をひそめ、首を横に振った。

「レミ社長、その提案はすごくありがたいんですけど……僕としては、この店を『地元密着型』にしたいという気持ちが強いんです」

「地元密着ぅ?」

レミ社長が金髪のセミロングを揺らし、ギャルモードのまま不思議そうに片目を細める。

「はい。獅子丸食品のプロの社員さんが仕切るお店にすると、どうしても『どこにでもある大企業のチェーン店』っていう雰囲気になっちゃう気がして。そうじゃなくて、このショッピングモールがある街の獣人さんたちをアルバイトとして雇いたいんです。例えば、学校帰りの学生さんとか、お昼に働ける地元の主婦の方とか」

ヒロキが熱を込めて語る。

「今回のお店って『あそこのおっちゃん、おばちゃんに会いに行く』みたいな、地域の人たちのコミュニケーションの場でもあると思うんです。『大衆的な楽しさ』を出すためにも、地元の人たちが元気に働いて、地元の常連さんに愛される……そういう血の通ったお店にしたいんです。獅子丸食品の皆さんには、後ろから僕らのサポートや物流の管理をしてもらう形じゃダメでしょうか?」

ヒロキの言葉を聞いて、アニーが真っ先に「寮長さん……!」と目を輝かせた。

「さすが寮長さん、わかっとる!」

ピピも黒い丸メガネの奥の目を柔らかく細める。

「地域雇用の創出、そしてコミュニティの形成ですか。確かに、地元の獣人たちを巻き込んだ方が、長期的なファンの獲得に繋がります。その方針は非常に支持できますね」

「地元密着型……。つまり、ウチの看板を背負わせつつも、中身はゴリゴリのローカル店として育てたいってわけねー」

レミ社長はタブレットを机に置くと、フッと綺麗な笑みを漏らした。部下の前で見せるような、鋭くキリッとした「社長の顔」だ。

「いいじゃん、それ。マジで面白い。大企業の冷たいマニュアル店じゃなくて、泥臭い地元密着のプレミアム感。ウチのマーケティング的にも、そっちの方が物語ストーリー性があって逆にハネるかも。おっけー、管理責任者の派遣はナシ! その代わり、求人広告の出し方とか、バイトの子たちの面接のサポートはウチの人事に全面バックアップさせるから!」

「ありがとうございます、レミ社長!」

僕がホッとして笑顔を浮かべると、フェイ先生がニヤリと笑いながら炭酸水のグラスを掲げた。

「そうと決まれば、さっそく求人をかけなきゃね。どんな獣人たちが面接に来るか、今から楽しみだわ。ヒロキ、あなたにも、しっかり面接官をやってもらうからね?」

「ええっ、僕が面接官ですか!?」

メニュー開発を終えた特別寮のメンバーたちは、今度は「新しい仲間(従業員)」を探すため、さらなるドタバタへと巻き込まれていくのだった。

「お店の名前とロゴは、ウチが全力でブランディングさせてもらうからね!」

レミ社長はそう言うと、持っていたタブレットの画面をパッと僕たちに向けた。そこに映し出されていたのは、どこか見覚えのある、けれど絶妙にポップにアレンジされたキャラクターだった。

それは、高級鉄板料理店『ししし亭』のロゴにもあしらわれた公式マスコットキャラクター。口元に肉球をちょこんと添えて「しししっ」と悪戯っぽく笑う、愛嬌たっぷりのライオン――通称『ししし獅子じし』のマークだ。

「レミ、またそのマーク使うわけ? 本当にお気に入りね」

フェイ先生が呆れたように言うと、レミ社長は金髪のセミロングをかき上げて胸を張った。

「当たり前じゃん! ウチはこの『ししし』マークを、今後の獅子丸食品のトレンドブランドとして世界に定着させたいわけ。ラグジュアリーな『ししし亭』の次は、大衆的でハッピーな粉ものブランド! だから、今回出店するお店の名前はズバリ――『ししし屋』で決定!!」

「『ししし屋』……! シンプルで、一回聞いたら忘れない良い名前ですね!」

アニーも「看板にあの可愛いライオンがおったら、モールの中でもめちゃくちゃ目立つわ!」と大賛成だ。

ねじり鉢巻をした、たこ焼き職人風の『ししし獅子』のイラストを見て、サリーも「あ、これ可愛い! このマークがついた制服なら、バイトの子たちも絶対着たがるよ!」と太鼓判を押した。

「よし、ブランドの方向性もバチッと決まったし、ウチの人事チームにソッコーで『ししし屋・オープニングスタッフ大募集!』の求人を出させるわ。地元密着型なんだから、時給もモールの相場よりちょっと色をつけちゃう!」

レミ社長の抜群の行動力により、店舗名『ししし屋』、そしてロゴマーク『ししし獅子』が正式に決定した。

獅子丸食品の強力なブランド戦略と、ヒロキたちのこだわりが詰まったメニュー、そしてこれから集まる地元の従業員たち。

大型ショッピングモールに、大きな「しししっ」という笑い声と、美味しい匂いが響き渡らせるためには

一緒に働く仲間探しを真剣にやらなきゃいけないな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。