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獣人しかいない世界で 僕は胃袋掴んで無双する  作者: けろ


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32.僕と、たこパの終焉と、シメのパンケーキ

最終的に、世界初のたこ焼きパーティーはなんと大盛況のまま「5周」にまで及んだ。

最初こそ不慣れだったメンバーも、後半にはすっかりコツを掴んでたこピックを使いこなし、タコ、ソーセージ、松茸、そして甘いベビーカステラが怒涛の勢いで焼き上げられ、みんなの胃袋へと消えていった。

みんなの弾けるような笑顔を見届けることができて、僕の頭のパンダ耳もご満悦の証として誇らしげにピンと直立している。

「ふぅ……もう1歩も動けないわ。最高の宴だったわね、寮長」

フェイ先生がソファーに深く体重を預け、お腹をさすりながら満足げに目を細める。ピピもコニーも「至福の時間でした……」「もうお腹パンパン!」と、すっかり満腹の様子で寛いでいた。

しかし、どこからともなく「フンス……!」と、静かだが妙に気合の入った鼻息が聞こえてきた。

振り返ると、そこにはアッシュグレーのショートボブを揺らし、目をらんらんと輝かせたアオイさんが立っていた。その手には、ずっしりとした重みのある新しいボウルが握られている。

「ヒロキくん……私、覚えたよ。小麦粉、卵、はちみつ、重曹……レモン汁」

なんとアオイさん、さっきの僕の調理手順を完璧に記憶し、持ち前のパワーを活かして、独力で新しいベビーカステラの生地を作り上げてしまっていたのだ。

もっと食べたい、そして褒められたいという彼女の執念(?)が生んだ、完璧な仕上がりの生地だった。

「すごいですアオイさん! もうレシピをマスターしちゃうなんて天才ですか!?」

「……っ! えへへ、天才、うれしい……」

僕がすかさず褒めちぎると、アオイさんは熊耳を嬉しそうにパタパタと震わせた。

とはいえ、すでに大半のメンバーは限界を迎えている。この量をまた小さいたこ焼きの穴でちまちまと焼いていては、時間がかかりすぎてしまう。そこで、

「アオイさん、この生地はたこ焼き器じゃなくて、こっちの『ホットプレート』で一気に焼いちゃいましょう。その方が早くて効率も良いですからね」

「うん、ヒロキくんの言う通りにする!」

たこ焼き器からホットプレートに切り替え、薄く油を引く。そこにアオイさんが作った生地を、大きなお玉で丸く、贅沢に流し込んでいく。じゅわあ、と広がっていく生地。たこ焼き器のように何度もひっくり返す手間がない分、圧倒的なスピードで調理が進む。

表面にぽつぽつと綺麗な気泡が浮き出てきたところで、フライ返しを使って一気に反転。

綺麗なキツネ色に焼き上がった、大判の「パンケーキ」が次々と完成した。

合計4枚の分厚いパンケーキを焼き上げ、2枚ずつ大きなお皿へと豪快に重ねていく。その頂点へ贅沢にバターを乗せると、予熱でトロリと滑るように溶け出していった。そこへ上から、黄金色のハチミツを格子状にたっぷりと回しかける。仕上げに、包丁で手際よく輪切りにしたバナナを山のふもとへ綺麗に添えれば――。

「特製バナナハニーパンケーキ、あがりです!」

「わあぁぁ……! すごい、今度は大きくて平らな丸だ!」

目を輝かせたサリーが、待ってましたとばかりにナイフとフォークを握り直す。

「うん……! バターとハチミツが染みて、すごく、美味しそう……」

アオイさんも、自分が仕込んだ生地がこんなに素晴らしいデザートに変身したことに大満足の様子だ。

二人は圧巻の食欲で、シメのパンケーキを至福の表情で頬張り始めた。アツアツの生地に溶けるバターの塩気、ハチミツの濃厚な甘み、そしてバナナのフルーティーなコクが完璧な三位一体となって、彼女たちの別腹へと滑り込んでいく。

最後の一切れを綺麗に平らげ、お皿がピカピカになったところで、二人は同時に「ぷはぁ……」と大きく息を吐き出した。

「おいしかったぁ……! お腹いっぱい、大満足だよヒロキ!」

金の尻尾をゆったりと揺らしながら、サリーが満面の笑みを浮かべる。

「ヒロキくん、一緒に作れて、楽しかった……。お腹も、心も、いっぱい……」

アオイさんも、今度は苦しくない程度の優しい力加減で、僕の肩をそっと抱き寄せてくれた。

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