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獣人しかいない世界で 僕は胃袋掴んで無双する  作者: けろ


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130.僕と、新入生と、正妻争い

新しい年を迎え、僕たち特別寮の面々もいよいよ高校3年生になった。

新学期が始まり、優美林の学食は、期待と緊張に胸を膨らませた新入生たちで溢れかえっている。

そして、学食には僕がメニュー開発に協力した『特製いなり寿司』や、色鮮やかな『三色丼』がずらりと並んでいた。

甘辛くジューシーに煮上げたお揚げからじゅわっと出汁が染み出すいなり寿司と、ふんわり甘い卵・旨味たっぷりのそぼろ・シャキシャキの絹さやが踊る三色丼。

僕は新入生の反応を見るために、学食のイートインコーナーを見て回る。

「はぁ…この学校に入れてよかった…」

うっとりとした表情で頬をゆるませる新入生たちの声が聞こえてきて、僕は思わず影からほっこりとした笑みを浮かべてしまう。

まずは胃袋から学校生活を好きになってもらおうという作戦は大成功のようだ。


そして今年が特別寮の寮生たちが高校最後の年を迎えるということで、

関係者の間で密かに(そして熱烈に)囁かれているあのレースが、いよいよ最終局面へ突入しようとしている。

そう、『ヒロキの正妻争い』である。

この獣人世界において、一夫多妻制が認められているのは周知の事実だ。しかも年齢制限もない。

そのため、学生生活が終わると同時に結婚することも珍しくない。中には高校生にしてすでに既婚者であるケースすらザラにある。


外食産業に革命を起こし続ける若き才能にして、数々の超大企業や芸能人を胃袋から虜にしてきたヒロキ。一夫多妻が認められているとはいえ、「一番目の妻(正妻)」というポジションが持つ意味とインパクトはやはり別格だ。

現時点での情勢を見るに、本命・対抗・有力馬が入り乱れる「3強時代」と言っていいだろう。


その3強に挙げられている面々。まずは。

獅子丸食品社長の『ミナカミ・レミ』

その圧倒的な社会的権力と行動力。

そしてヒロキをシレッと「婿殿」呼びしており、

ビジネス面でもヒロキの最大のパートナーとして君臨する実業家。

社長という肩書の強さ、そして持ち前の押しとフットワークの軽さで「外堀から固めて強引にゴールイン」という展開を一番起こしそうなのが彼女だ。


そして2人目は「コジマ・サリー」

この世界で最初にヒロキと出会い、迷子(?)だった彼を保護して以来、同じ屋根の下で一番近くの時間を共有してきた絶対的アドバンテージ。

「一番近くにいて当たり前の存在」という強固な絆は、他の追随を許さない。


3人目は「サカイ・アオイ」

早い段階からヒロキに対して、健気で一途なアプローチを続けてきた大人気アイドル。

最近は超多忙ゆえに「ヒロキと過ごす時間が減ってやきもきしている」という切実なバックボーンがあり、高校卒業という節目で一気に勝負を仕掛けてくる可能性は極めて高い。


しかし、このレースはそう簡単に3強だけで決まるほど甘くはない。大外から一気に差し切る「伏兵」の存在も忘れてはならない。

フェイ先生や他の寮生はもちろん、ストシーのランちゃんも後輩だからといって侮れない。

まだ見ぬ存在の中にも、もしかしたら『運命の第一夫人』が現れる可能性だってある。

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