123.僕と、イケメンコックと、餃子の皮
タケダさんが華麗な手さばきで「マシマシ餃子」を焼き上げ、会場が香ばしいにんにくの香りに包まれていると——突如、会場の奥の扉が開き、どよめきが起こった。
「うわ、見て!」「嘘でしょ、本物!?」
集まった記者やゲストたちが一斉にカメラや視線を向けた先から現れたのは、タケダさんと引けを取らない高身長の男性二人。しかもタケダさんと同じく、ビシッと真っ白なコックスーツに身を包んでいる。
一人は、目を引く鮮やかなピンク髪をした熊族の男性。
もう一人は、シャープな立ち姿が実に絵になる黒髪のドーベルマン系犬族の男性。
そう、タケダさんが所属するトップアイドルグループ『クラウドマン』のメンバーが、サプライズで駆けつけてくれたのだ!
「ちょっとちょっとタケダくん、自分だけカッコつけて餃子焼いてずるいんじゃない?」
「僕たちも手伝いに来ましたよ~」
圧倒的なオーラを纏った二人が爽やかな笑顔で現れると、会場のボルテージは一気に最高潮へ。ダントレスの面々も「うおー! クラウドマンの先輩方だー!」と大興奮で歓声を上げている。
しかも、二人とも両手に大きな「商品パッケージ」を掲げていた。
実は今回の『タケダ・ヒロアキスペシャル』の全国展開と同時に、獅子丸食品では家庭で手軽に本格餃子が作れる『ししし屋の餃子の皮』も商品化し、本日から発売することになっていたのだ。
サイズは「通常サイズ」と、具をたっぷり包める「ジャンボサイズ」の2種類。
ピンク髪の熊族の彼がふっくらした手で大きめのジャンボサイズを、黒髪ドーベルマン系の彼がスタイリッシュに通常サイズのパッケージを掲げてみせると、まるでファッションショーのランウェイのような華やかさに早変わりした。
「タケダだけじゃなくて、うちはグループ全体で『ししし屋』推しだからね!」
「ご家庭で餃子を包む時は、ぜひこの皮を使ってくださいね」
二人からの粋なアピールに、集まったメディアのフラッシュがバシャバシャと鳴り響く。
(……すごい。クラウドマンのメンバーまでコックスーツを着て登場してくれるなんて……!)
高身長イケメン3人がコックスーツ姿で並び、一人はにんにくマシマシ餃子を焼き、あとの二人が餃子の皮のパッケージを笑顔で掲げているという、前代未聞の豪華すぎる絵面。
「ちょっとヒロキくん! うちのPRチーム、最高の仕事したでしょ!?」
隣でレミ社長が勝ち誇った顔で胸を張り、カメラマンたちに指示を出している。
タケダさんの男気と、メンバーの友情、そして獅子丸食品の仕掛けたサプライズ演出によって、『まんぷくししし亭』のレセプションパーティーおよび新商品発表会は、翌日のニュースのトップを独占すること間違いなしの大盛り上がりとなったのだった。




