↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
獣人しかいない世界で 僕は胃袋掴んで無双する  作者: けろ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
101/138

99.僕と、定例発表会と、迷える子羊

発表会2日目の朝。グラウンドは昨日以上の熱気に包まれていた。

今日は1年生たちのステージ。いくら1年生とはいえ、この優美林女子高校の芸能コースに籍を置くメンバーだ。並み居る天才や選ばれし者たちの集まりだけあって、全然未熟な感じがしない。

そんな中でも、特設ステージに上がった瞬間にグラウンドの空気を一変させた、とんでもない4人組がいた。

羊族の女の子たちだけで構成された4人組バンド、その名も『ストレンジ・シープ』。

「1年生でもう世界デビューを果たしている、うちのコースの大エースだよ!」とアオイさんが教えてくれたけれど、その肩書きは伊達じゃなかった。

楽器を持った彼女たちがジャカァァァン!!と重低音のディストーションギターを掻き鳴らした瞬間、客席から悲鳴のような歓声が上がる。

しかも、その可愛らしいモコモコした羊娘たちの口から飛び出す歌詞が、まぁ激しかった。

『喰われるくらいなら、骨まで喰ってやる──!!』

『牙を持たぬと侮るな、貴様の喉笛を噛み千切る──!!』

ヘドバンをしながら、およそ羊たちのセリフとは思えない過激なワードをデスボイスでシャウトしていく。大人しい草食動物のイメージを完全にぶち壊すその圧倒的なパフォーマンスに、僕はうどんの湯切りを忘れて呆然と見入ってしまった。世界デビューバンド、恐るべしである。

──そんな圧巻のステージが終わり、興奮冷めやらぬグラウンドの屋台エリア。

「はぁー、お腹空いたねぇ」

「何食べよっか? どのお店もすっごいいい匂いする〜」

さっきまでステージで「喉笛を噛み千切る」と叫んでいたはずの『ストレンジ・シープ』の4人が、今度は楽器を背負ったまま、僕たちの屋台の前で「うーん、どうしよっか」と耳を揺らしながら悩んでいる。

メニュー短冊を真剣に見上げながらウロウロしているその姿は、ステージの凶暴さからは想像もつかないほど可愛らしくて、僕は(あ、文字通り『迷える子羊』だなぁ……)なんて、ちょっと上手いことを思った気がして一人でツボに入っていた。

「あ! すみません、この『肉巻きおにぎり』4つください!」

ボーカルの羊娘ちゃんが、鉄板コーナーのサリーの元へトコトコとやってきて元気に注文する。

焼き上がった肉巻きおにぎりを受け取ると、彼女たちは嬉しそうにグラウンドのベンチに並んで腰掛けた。そして、醤油と甘辛いタレがたっぷり染み込んだジューシーなお肉と白米の塊を、

「んむっ! おいしーい!!」

「お肉最高──っ!!」

と、もの凄い勢いでガツガツと平らげ始めた。タレを口の周りにつけながら、満面の笑みでお肉を頬張る羊たち。

(……羊なのに、めちゃくちゃ肉食じゃん)

心の中でそう突っ込まずにはいられなかったけれど、よく考えればこの世界の獣人たちは種族に関係なくみんなお肉が大好きだ。

昨日から大好評のサリー特製「TKGにんにくだれ」も正式メニューとして大ブレイクしているし、新メニューの「あんかけミートボール」も飛ぶように売れている。

『ストレンジ・シープ』の迷いのない食べっぷりを見届けながら、僕は「よし、1年生のパワーに負けてられないな!」と、大鍋から立ち上る熱い湯気の中へと再び飛び込んでいくのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。