4話 門番と冒険者
想像以上に読んで貰えてうれしいかぎりです!
本当にありがとうございます!
街の門を目指して歩くこと数十分。
アーサーはまだ泣き続けていた。
「ひぐっ……、うぐっぇ……。」
しかし、しばらく泣き続けていたこともあり、今では泣き疲れてその声は弱くなっている。
「……やっと、静かになってくれたか」
ルシアは小さく息を吐きながら安堵する。
その顔は先ほど、アーサーをあやすことに失敗して涙目を浮かべていたとは思えないほど美しい。
ルシアは今、遠くに見えてきた城門を目指して歩いている。
(……無事に街に入れるとよいのだが)
そんな不安を胸に抱えながらも歩みは止めない。
―――人化の術で魔力を抑え、外見もただの旅人風に変えているとはいえ、いつまた泣き出すか分からない赤ん坊を抱えながら、黙って街に侵入する訳にもいかず、まっすぐ城門を目指す。
城門に近づくにつれ、門の前で何やら言い争う声が聞こえてくる。
ルシアはその光景を見ながら声をかけて良いものかと考えながら様子を伺う。
城門の前では、騎士の姿をした門番と、背中に大剣を背負った冒険者の男が激しい言い争いをしていた。
「だから言ってんだろ!あっしは道に迷ってた婆さんを村まで送り届けてたんだって――」
「お前これで何度目だ!開門時間はとっくに過ぎている! 今日こそは通さんぞ!」
門番に詰め寄っているのは、いかにも“腕に自信あり”といった風貌の男だが、門番は一歩も引かずに言い返している。
(……面倒な場面に来てしまったな)
魔王の力をもってすれば、この程度の者たちを黙らせることなど容易いが、そういうわけにもいかない。
「……人族は相変わらず騒がしい」
ルシアはそんなことを呟きながらも、ふたりのやり取りを聞き、声をかけることを躊躇ってしまう。
「お前みたいなのを通したら、夜の魔物がついてくるだろうが!」
「――ついてこねぇよ! どんな魔物だよ!」
2人はルシアとアーサーには全く気がつく気配もなく言い争いを続けている。
「うるさい! 通さんといったら通さん! 明日の朝にまた出直してこい!」
そんな不毛なやり取りの最中――。
門番がようやく近づいてきた気配に気がつき、こちらを怪訝そうな顔で見る。
「おいそこの者!止まれ! 開門時間はとっくに過ぎてーーって、赤子…? こんな時間に…いや、しかし……」
そうルシアを制する声を上げている途中で、腕の中で抱えられた赤子に気がつき、声をあげるのをやめた。
ルシアは、声をかけてきた門番と門番の声に反応して振り向いた冒険者の男に軽く会釈し、落ち着いた声で言った。
「森の中で魔物に襲われていたところを助けた。この子を孤児院に預けたい。……街に入れてもらえないだろうか」
ルシアの言葉を聞いて門番は眉をひそめた。
「夜の森で……? あんたひとりでその魔物を倒したのか?」
門番は、ルシアが武器や防具を身に着けていないことを怪しんで問いかけてくる
「私は……少しだけ魔法が使える」
ルシアは、私は魔王だ、などと言えるわけもなく、とっさに思いついた言葉を口にする。
「――魔法が使えるったってひとりで夜の森は危険すぎないか…? あんた一体何者だ?」
魔王にとっては取るに足らない魔物たちでも、人族にとっては脅威。
門番は不審者を見るような目でルシアを見つめる。
(……しまった、もっと自然な言い方があったか、どうすれば……)
ルシアが内心で頭を抱えながら、この場を乗り切る方法は無いかと考えていると。
「おぎゃあああああああああああああああっ!!」
――周囲に絶叫が響き渡った。
アーサーがまた泣き出してしまったのだ。
「――どひゃあっ、なっ、なんだ急に」
門番は耳を押さえ、顔をしかめながら声をあげる。
「…ひぐっ、うっ、ぎゃあああああああああああああああああああああああああああ」
アーサーの泣き声はますます強くなっていく。
「……わ、分かった!もういい!とにかくその子を早く連れてってくれ!」
門番は耳を抑えながら、門番用の通路を開け始めた。
そして、ルシアの美しさに見惚れ、しばらくの間、固まっていた冒険者の男に向かって叫んだ。
「おいお前も突っ立ってないで、この2人を孤児院まで案内してやれ!」
「えっ、あ、あっしが?……あ、あぁわかった」
急に声をかけられて男は我に返ったかのように驚きながら返事をした。
こうして、泣き叫ぶアーサーと、魔王ルシアは、ひとりの男とともに、夜の街へと入っていった。
「……そうか、これでもうお別れなのだな…」
魔王のその呟きは、安堵からくるものか、それとも寂しさからくるものなのか。
その答えは、夜の街へと消えていくのであった。
今回も読んで頂きありがとうございました!
もう明日のストックが無いのに、ポケ〇モンがやめられない……
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