抱えすぎた力と教師の面影
蒼の話す事情に夜凪は
「協力関係になりたいのは分かったが
一つ聞いておきたい」と前置きし
「隠世会が妖怪を殺す組織になったのは
金銭の面もあっただろうとは思うが
あんたの力の影響か?」と疑問を伝えると
蒼は「何故そう思うのか
教えてくれないか?」と質問を返した
まるで教師のような立ち振舞に
夜凪は「ッハ」と鼻で笑うと
「あんたの身なりが物語ってんだよ
耳をトリガーにする妖怪は
髪の毛で隠すのが大半だ
目がトリガーのやつは基本的に眼鏡で隠す
肌がトリガーなら露出を限りなく0にする
・・・・・
あんたはどれだけ抱えてるんだ?」と
解説しながら質問する
夜凪の解説に「ほぉ」と感心すると
「私の場合
肌に触れた妖怪の死をトリガーに
代償と一緒に能力を奪うものだ」と
あっさり答える
蒼の答えに紬は「それなら
能力に気づかず生涯を終えると思うんだけど」と
率直な疑問をつぶやくと
それに反応した蒼は
アクター 紬 夜凪を見つめると
蒼は嬉しそうにけれど悲しそうに
「良い機会だ私の過去を語ってやろう」と宣言した
ーーーーーーーーーー
私がまだ『教師』だったころ
私の生徒には不登校の子どもがいた
そんな不登校の彼女に勉強を教えに行くのが
日々の日課でその日も彼女の家へ向かっていた
彼女は外に出ることは無いが
頭が良く社交性が良かったのが私の印象だった
歩き慣れた道を通り彼女の家につくと
インターホンを鳴らし
いつものようにドアを開けると
疲れたような表情の彼女が
机に教科書を置いて待っていたが
表情はいつもより暗く目には光がなかった
おかしな様子の彼女に
私は呆然と立ち尽くしてると
彼女に「先生♪」と呼びかけられる
そこで正気を取り戻した私は
悩みを聞こうと「今日は何かあったのか?」と
訪ねた時
「私もう疲れたの」と
彼女は宣言した
当時の私はその意味を理解できずに
ただ寄り添おうと言葉を探していたが
答えを見つける前に玄関まで歩み寄った彼女は
満面の笑みを向けると私と向かい合う
次の瞬間
「さようなら」と彼女は告げ
玄関から飛び出した
彼女に日光があたり
肌が焦げるように崩れていく様子をよく覚えてる
日光が原因だと直感で理解した私は
彼女の体を日陰の方へ
必死に動かしていたが
結局残ったのは彼女の腕だけだった
後から理解したよ
彼女がなぜ頭がいいか
なぜ飲み込みが早いのか
社交性が良かったのか
すべて彼女が妖怪だったのが理由ということに
そんな彼女の力は
状況を組み立てて理解する頭だった




