借り物の技――路地裏の模擬戦
三葉が向かったのは広いだけの路地裏
そこで体に仕込んだナイフを
二本取り出すと
背後の気配に向かって
「尾行下手だね
紬ちゃん」と声を掛ける
三葉に気づかれてると分かったのか
紬は姿を姿を表した
その様子を嬉しそうに見ていた三葉は
「やっぱりついてきていた」と呟いて
「模擬戦やらない?」と誘い始めた
三葉の誘いに驚いた紬は
(二葉が担当するんじゃないの?)と
疑問を浮かべると
三葉は楽しそうに
「表情を隠すの
苦手だね」と口にして
「二葉の技術がね
習得できそうだったから
模擬戦をしたかったの」と答えた
三葉の言葉に少し納得した紬は
「怪我悪化させたら
一週間は抱きついて
離れないからね」と言って殴りかかる
三葉は(速い)と驚きながら
右足で踏み込む
かかとを支点にスピンさせ
殴りかかる拳の軌道にナイフを置いたが
低姿勢で回避されてしまう
それでも
回転を止めない三葉は
勢いのまま背後に左腕を突き出すと
回転の勢いを乗せて斬りかかる
紬は「え?」と驚きながらも
スライディングをするように回避したが
三葉は回転を止められず倒れ込む
三葉は楽しそうに
「こんな技術
二葉はよく扱えるね」と
呟きながら立ち上がると紬は
「よくそんな動きできるわね」と称賛する
三葉は「一発で成功するとは思わなかったよ」と
答えながら画鋲を壁に打ち込む
画鋲で固定した糸は三葉の体につながっていた
仕込みを終えた三葉は
二葉の走法を真似た動きで
一気に距離を詰めると紬は
三葉に向かって拳を突き出すが
三葉は距離を詰め切る前に
かかとを支点に反転し
軌道を横にずらす
紬の拳が三葉の横を通り過ぎると
そのまま紬の側面に向かい
ナイフを突き出して
紬の周りを回るように
動き始めた
数十秒ほど攻防を続けた三葉は
紬の周囲を数周していた
画鋲から張られた糸は
紬の周囲をぐるりと囲っている
三葉は「そろそろか」と呟くと
糸を張るように身を引いて
紬を拘束した




