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見つけてくれた


「イスミ、俺は……!」


「…………っ!」


「アルス……!」


一歩、アルスが踏み出して伊澄に手を伸ばしたのと同時に、伊澄の腕の中で震える体を感じた。


アルスを拒むように、黒に覆い尽くされ真っ暗闇に閉じ込められる。

音も、光さえも届かない空間で伊澄は手を伸ばしていた。


「やっぱり、諦められないんじゃない…………」


「うっ!」


どん、と強い衝撃に伊澄は突き飛ばされたのだと気づく。


「私とあなたは一心同体……絶対に……行かせない!!」


心臓が、強く脈を打つ。

まるで、その叫びに呼応するかのようだった。

今までで一番強い痛みだった。身体中の痣が熱く締め付ける。

ここに縛り付けておくためのように。


「どうして……私、ここにいるよ……あなたと、一緒に」


小さい頃の自分と一緒に、ずっといる。

アルスは約束を果たしてくれる、そう信じているから。


そんな伊澄の言葉も、彼女には届いてはいないようだった。


「ダメ、あの人は……だめ。私の願いを叶えてはくれないから」


「えっ…………?」


「絶対に、ダメ。だから、私とずっと、ここにいるのっ……!!!!」


ぐ、と喉が閉まる。

見えない手が伊澄の首を締め付けているようだった。

もしかしたら、痣が首にまで伸びてしまっているのかもしれない。


あまりの苦しさに喉を掻きむしるが、解けるはずも無かった。


もがけばもがくほど、絡みつく糸が増えていくようだった。


(苦しい……アルス……アルス……!)


無意識に、伊澄は名前を呼ぶ。

最後に、ちゃんと言葉を交わしたかった。

さよならくらい、言えれば良かったのに。


(やっぱり、私は出来損ないだな)


まともに終わらせることもできない。

苦しさからなのか、悲しさからなのか、わけも分からない涙がぽろぽろとこぼれ落ちる。


霞んでいく目に、彼女が映る。

満足そうな、そして泣き出しそうな顔をしていた。


ああ、きっと、私が終われば彼女も──。


伊澄は終わりを悟りながら、手を伸ばした。


「イスミ、イスミ……!!!」


どこからか声がした。

ずっと聞き続けていた、その声に応えようと口を開いたけれど伊澄の声は出なかった。

ただ掠れた呼吸音が聞こえるだけだ。


けれど、誰かはそこにいるんだな、と聞き取ってくれる。


「見つけた」


もう何も見えなくなりかかっている視界で、伊澄は差し出された手を握った。




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