第三話 いつもの日常から……
数日が過ぎた。
ウルトは学校へ行き、授業を受け、放課後になるとシナーズと剣を振る。
そんな日々が続いていた。
「ウルト!」
朝、家を出たところで、シナーズが手を振っている。
「遅いぞ!」
「お前が早いんだよ」
「今日は一番乗りだ」
「何の?」
「学校」
「そりゃそうだ」
二人は並んで歩きながら、くだらない話をする。
昼休みには一緒に食事をし、放課後には剣を振る。
時には学校を出たあと、村の店に寄ることもあった。
「ウルト、これ食べようぜ!」
「金あるのか?」
「……ない」
「じゃあ、見るだけにしろ」
「冷てーな」
「昨日貸した分を返してから言え」
「明日返す」
「昨日もそう言った」
「じゃあ、明後日」
「増えてるじゃないか!」
そんな会話をして。
くだらないことで笑って。
また次の日を迎える。
それが、ウルトにとっての当たり前だった。
自分が特別な人間だなんて、考えたこともなかった。
少なくとも――この時までは。
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その日の夕方。
学校では、メルクルが校長と話をしていた。
「最近、森のほうで妙な噂があります」
「魔物ですか?」
「それが……なんとも」
校長は声を落とした。
「旅人が見たという話ですが、村の近くで見慣れない男が目撃されています」
メルクルの表情が変わる。
「どんな男ですか?」
「黒い服を着ていて、かなり大柄だったそうです」
「分かりました。私も気をつけましょう。念のため、村の警備を増やしておきます」
メルクルは村で教師をしている傍ら、警備兵としても活動している。
「お願いします」
そのころ。
村から少し離れた森の中。
一人の男が、村を見下ろしていた。
男は静かに手に持った地図を確認している。
「門」
地図の一点を指で示す。
「西側の空き家」
さらに指を動かす。
「古い倉庫」
男は地図から目を離し、村を見つめた。
そして、小さく頷く。
「……分かっている」
そう呟くと、男は気配を消すように森の奥へと姿を消した。




