教会の呼び出し3
「次はこちらにどうぞ」
ユリアンネは早速、教会に来ている治療希望者に対して回復魔法を使用している。
以前のように、何かあったときのために、というシミリートの希望でマスクはしているが、迷宮都市トリアンに比べて小さな王都であり、その秘密は守られているのかは疑問である。
シスターたちでは、1日に何人も対応できないため、毎日行列の途中からは帰って貰っていたらしい。
今日はその行列に制限をつけずに対応している、という噂がさらに他の希望者に広がったようで、行列は途切れる気配がない。
「ほら、そこ!行列を守れないようならば治療は受けられないぞ!」
シミリートも交通整理に一役買っているようである。確かに、槍を構えた銀級冒険者風の男がにらみをきかせている中で、無茶をする者もいないようである。
「怪我でも病気でも診てもらえると聞いたのだが」
「すみません。怪我はある程度まで大丈夫ですが、病は軽いところまでしか……」
「そうか。だが、それでも助かる。お願いするよ」
ユリアンネが対応できるのは、回復魔法では初級≪治癒≫、中級≪軽病治療≫≪回復≫≪解毒≫である。つまり、怪我は≪治癒≫もしくは≪回復≫、さらには高級上位の傷回復ポーションで対応できるが、病には軽いものしか対応する術がない。
教会まで来られる時点で、それほどの大怪我や大病の者は居ないのだが、近所には大変そうな者がいるとの話であった。
「お二人のおかげでとても助かりました。本当にありがとうございました」
夕方になり行列もなくなったところで、シスターたちからとても感謝をされる。
「いえ、これでしばらくは大丈夫ですかね」
「おそらく明日だけは、さらに噂を聞いた人が……」
そのシスターの予想通り、翌日にもそれなりの行列ができていたが、昨日にある程度慣れたユリアンネとシミリートも居たので、無事に対応することができた。




