表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/13

# 第八話 ## 「勇者の存在が世界を決める」

# 第八話


## 「勇者の存在が世界を決める」


会議室。


空気が重いというレベルじゃない。


壁の一部に亀裂が走り、その向こう側に“異世界の空”が見えている。


ミレイは淡々と資料を開いた。


「結論から言います」


全員が息をのむ。


---


「勇者・高橋悠斗の存在が、世界融合の“中心点”です」


俺は指をさされた。


「また俺かよ!!」


ルクレシアが頷く。


「まあ当然ね」


リリアも真剣に頷く。


「勇者様ですから」


美咲も頷く。


「データ上もそうです」


「全員納得すんな!」


---


ミレイは続ける。


「現在、世界は“勇者依存型構造”に変化しています」


「勇者が安定している限り、世界は安定する」


「逆に――」


彼女の目が細くなる。


「勇者が迷えば、世界は崩壊します」


---


沈黙。


俺は固まった。


「……つまり?」


ルクレシアが笑う。


「あなたのメンタルが世界の安定装置ってことよ♡」


「やめろその説明!」


---


リリアが一歩前に出る。


「勇者様は迷いません!」


美咲も続く。


「業務的には安定しています」


ルクレシアは肩をすくめる。


「でも感情は不安定ね」


「全部見てるな!?」


---


その時だった。


会議室のドアが開く。


「失礼します」


新人社員が入ってきた。


だが普通じゃない。


角がある。


尻尾がある。


名札にはこう書かれていた。


**“新人・ドラゴン(人事部配属)”**


---


「……もう驚かないぞ」


俺は悟ったように言った。


しかしドラゴン新人は言う。


「勇者様、質問です」


「何?」


「世界の安定条件は“勇者の感情”で正しいですか?」


「そう言われてる」


ドラゴンは頷いた。


「なら問題があります」


---


全員が固まる。


ミレイが目を細める。


「何を観測しましたか」


ドラゴンは淡々と答える。


「勇者様、現在“迷い”が増加しています」


---


俺はドキッとした。


「いや別に……」


リリアが覗き込む。


「本当ですか?」


美咲が記録端末を見る。


ルクレシアがにやにやする。


「隠せてないわよ」


---


俺はため息をついた。


「だってさ……」


「会社は変だし」


「魔王はいるし」


「聖女は来るし」


「監視者はいるし」


「ドラゴンまで社員だし」


---


「普通に考えておかしいだろ」


---


その瞬間。


空間が揺れた。


ガラスにヒビが増える。


ミレイが静かに言う。


「感情変動検知」


「融合率、上昇」


---


ルクレシアが笑う。


「ほらね」


リリアが剣を握る。


「勇者様を落ち着かせればいいのですね」


美咲が言う。


「ストレス管理案件です」


「俺は社員じゃねぇ!」


---


その時だった。


ドラゴン新人が言った。


「提案があります」


「言ってみろ」


「勇者様を“休ませる”べきです」


---


沈黙。


ミレイが一瞬止まる。


「……休息?」


ドラゴンは頷く。


「異世界労働基準法では、勇者の定期休暇は必須です」


「そんな法律あったのかよ!」


---


ルクレシアが笑う。


「いいじゃない、休暇」


リリアも頷く。


「賛成です」


美咲も言う。


「データ的にも推奨です」


---


全員が俺を見る。


---


俺は言った。


「休んだらどうなるんだ?」


---


ミレイが答える。


「世界は一時停止します」


---


「ダメだろ!!」


---


その瞬間。


全員が沈黙した。


そして――


ルクレシアが小さく言う。


「じゃあ、休暇中も一緒に行けばいいじゃない」


---


リリアが即答する。


「賛成です」


美咲も頷く。


「合理的です」


ミレイも言う。


「監視可能です」


---


俺は天井を見た。


「俺の休み、どこいったんだよ……」


---


そして世界は決まった。


---


### 次回


## 第九話


**「異世界社員旅行、始まる」**


勇者の“休暇”は、世界規模の社員旅行へと変貌する――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ