# 第七話 ## 「異世界出社日、開始」
# 第七話
## 「異世界出社日、開始」
朝。
俺は会社に来た。
ただし昨日までとは、明らかに違う。
「おはようございます」
受付の横で、鎧を着た警備員が敬礼している。
その横では――ゴブリンが社員証をチェックされていた。
俺は固まった。
「……もう一回寝るか」
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ビルの外。
空にはうっすらと魔法陣。
電車は普通に走っているのに、線路の上を小型ドラゴンが飛んでいる。
現実と異世界が、普通に混ざっていた。
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「勇者様ー!」
背後から聞き慣れた声。
振り向くとリリアが手を振っていた。
……制服姿で。
いや、会社の制服じゃない。
**聖騎士風の制服(公式採用)**だった。
「なんでそれ許可出てるんだよ……」
「会社のドレスコードだそうです!」
誰が決めたんだそれ。
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そこへ美咲が来る。
「おはようございます、高橋さん」
スーツ姿。
ただし背中に端末と魔導書が合体したような装置を背負っている。
「それ仕事道具?」
「はい。異世界データと勤怠管理を統合しました」
意味がわからない。
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そして最後に現れた。
ルクレシア。
黒いドレスにネクタイ。
なぜか“営業部マネージャー”の名札をつけている。
「今日からよろしくね、勇者様♡」
「なんで入社してんの!?」
「履歴書、魔法で通したわ」
最悪だ。
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その時。
会社のスピーカーが鳴る。
『全社員へ連絡します』
聞き慣れた総務の声。
だが続く言葉は異常だった。
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『本日より当社は、異世界融合型企業として再スタートします』
「は?」
『なお、魔法の使用は業務効率化のため許可されています』
「え?」
『モンスター社員は人事部で登録してください』
「何その制度」
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周囲を見ると、誰も驚いていない。
むしろ普通に働いている。
剣で資料を運ぶ社員。
スライムがコピー機の中にいる。
オークが会議している。
完全に日常だった。
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リリアが嬉しそうに言う。
「すごいですね、勇者様!」
美咲が冷静に言う。
「労働環境は改善されています」
ルクレシアは笑う。
「面白い世界になったじゃない」
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その時。
俺のデスクにメールが届く。
件名:**緊急会議召集**
差出人:世界管理局・ミレイ
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嫌な予感しかしない。
会議室へ向かうと、そこにはミレイがいた。
そして一言。
「融合率、上昇し続けています」
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「このままだとどうなる?」
俺が聞くと、ミレイは淡々と答えた。
「世界の境界が消滅します」
「つまり?」
ルクレシアが笑う。
「完全な“新世界”よ」
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リリアが小さくつぶやく。
「それって……悪いことですか?」
美咲は考え込む。
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俺は天井を見る。
そこにはもう、“現実”と“異世界”の境界線はなかった。
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(俺の休日、どこ行ったんだよ)
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その時だった。
ミレイが静かに言う。
「最後の調整対象は――勇者です」
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全員が俺を見る。
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### 次回
## 第八話
**「勇者の存在が世界を決める」**
融合が止まるか、完全に新世界が生まれるか。
鍵を握るのは、ただの会社員だった――。




