表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/13

# 第六話 ## 「勇者、会社を救うか世界を選ぶか」

# 第六話


## 「勇者、会社を救うか世界を選ぶか」


床に刻まれた巨大な魔法陣。


会社の天井は紫色に割れ、


空間そのものが軋んでいた。


「最終フェーズ、起動」


世界管理局・ミレイの声が響く。


---


俺は思わず叫んだ。


「最終って何!?まだ始まったばっかりだろ!」


ルクレシアは楽しそうに腕を組む。


「いいじゃない、派手で」


リリアは剣を構えたまま周囲を警戒する。


「勇者様、離れてください!」


美咲はスマホを見つめている。


「現実世界の座標が崩壊しています……」


「説明が全部ファンタジーなんだよ!」


---


その時。


ミレイが一歩進んだ。


「勇者・高橋悠斗」


俺はビクッとする。


「はい……」


「選びなさい」


空間がさらに歪む。


「この世界を“固定”するか」


「それとも“融合”するか」


---


俺は固まった。


「固定?融合?」


ルクレシアが補足するように言う。


「固定なら、現実はそのまま。異世界は消える」


リリアの顔が強張る。


「消える……?」


美咲が息を呑む。


ルクレシアは続ける。


「融合なら、二つの世界が混ざる」


「魔法も、モンスターも、全部“現実の一部”になるわ」


---


俺は頭を抱えた。


「どっちも地獄じゃないか!!」


ミレイは淡々と告げる。


「第三の選択はありません」


---


その時だった。


リリアが一歩前に出る。


「勇者様」


彼女の声は静かだった。


「私は異世界から来ました」


「でも」


「この世界で勇者様と過ごした時間も……本物です」


---


美咲も続く。


「私はどちらの世界でも生きてきました」


「だからこそ、どちらも否定したくありません」


---


ルクレシアは笑う。


「欲張りね、人間は」


でもその目は少しだけ真剣だった。


---


俺は周りを見た。


壊れかけた会社。


泣きそうな社員。


戦おうとする異世界の少女たち。


そして――


この世界を“管理”しようとする監視者。


---


(どっちを選んでも誰かが失う)


それだけは分かった。


---


その時だった。


後ろから声。


「高橋さん!!」


振り向くと、さっきの社員たちがいた。


震えながらも、誰かが言う。


「会社、なくなってもいいんですか!?」


「いやダメだろ!!」


俺は即答した。


---


その瞬間。


なぜか空気が少し変わった。


ミレイが目を細める。


「……多数意見の観測」


ルクレシアが興味深そうに笑う。


「へぇ」


リリアが小さくつぶやく。


「人間の世界……」


美咲は静かに頷いた。


---


俺は気づく。


これは“勇者の選択”じゃない。


---


(みんなの世界の話だ)


---


俺は一歩前に出た。


「なあ」


全員が俺を見る。


「俺は勇者とか知らない」


「魔王も監視局も関係ない」


「でもさ」


---


深く息を吸う。


そして言った。


「会社は、勝手に潰すな」


---


沈黙。


---


ミレイが少し目を見開く。


「その発言は選択ではありません」


ルクレシアが笑う。


「でも嫌いじゃないわ」


リリアが少しだけ微笑む。


「勇者様らしいです」


美咲も小さく頷く。


---


その瞬間。


魔法陣が一瞬だけ揺れた。


---


ミレイが呟く。


「観測結果……変動」


「“融合率”上昇」


---


空間が大きくひび割れる。


そして――


現実と異世界が、完全に重なり始めた。


---


### 次回


## 第七話


**「異世界出社日、開始」**


現実世界と異世界が融合。

魔法と会社が共存する世界で、

サラリーマン勇者の新生活が始まる――。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ