# 第六話 ## 「勇者、会社を救うか世界を選ぶか」
# 第六話
## 「勇者、会社を救うか世界を選ぶか」
床に刻まれた巨大な魔法陣。
会社の天井は紫色に割れ、
空間そのものが軋んでいた。
「最終フェーズ、起動」
世界管理局・ミレイの声が響く。
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俺は思わず叫んだ。
「最終って何!?まだ始まったばっかりだろ!」
ルクレシアは楽しそうに腕を組む。
「いいじゃない、派手で」
リリアは剣を構えたまま周囲を警戒する。
「勇者様、離れてください!」
美咲はスマホを見つめている。
「現実世界の座標が崩壊しています……」
「説明が全部ファンタジーなんだよ!」
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その時。
ミレイが一歩進んだ。
「勇者・高橋悠斗」
俺はビクッとする。
「はい……」
「選びなさい」
空間がさらに歪む。
「この世界を“固定”するか」
「それとも“融合”するか」
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俺は固まった。
「固定?融合?」
ルクレシアが補足するように言う。
「固定なら、現実はそのまま。異世界は消える」
リリアの顔が強張る。
「消える……?」
美咲が息を呑む。
ルクレシアは続ける。
「融合なら、二つの世界が混ざる」
「魔法も、モンスターも、全部“現実の一部”になるわ」
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俺は頭を抱えた。
「どっちも地獄じゃないか!!」
ミレイは淡々と告げる。
「第三の選択はありません」
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その時だった。
リリアが一歩前に出る。
「勇者様」
彼女の声は静かだった。
「私は異世界から来ました」
「でも」
「この世界で勇者様と過ごした時間も……本物です」
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美咲も続く。
「私はどちらの世界でも生きてきました」
「だからこそ、どちらも否定したくありません」
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ルクレシアは笑う。
「欲張りね、人間は」
でもその目は少しだけ真剣だった。
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俺は周りを見た。
壊れかけた会社。
泣きそうな社員。
戦おうとする異世界の少女たち。
そして――
この世界を“管理”しようとする監視者。
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(どっちを選んでも誰かが失う)
それだけは分かった。
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その時だった。
後ろから声。
「高橋さん!!」
振り向くと、さっきの社員たちがいた。
震えながらも、誰かが言う。
「会社、なくなってもいいんですか!?」
「いやダメだろ!!」
俺は即答した。
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その瞬間。
なぜか空気が少し変わった。
ミレイが目を細める。
「……多数意見の観測」
ルクレシアが興味深そうに笑う。
「へぇ」
リリアが小さくつぶやく。
「人間の世界……」
美咲は静かに頷いた。
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俺は気づく。
これは“勇者の選択”じゃない。
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(みんなの世界の話だ)
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俺は一歩前に出た。
「なあ」
全員が俺を見る。
「俺は勇者とか知らない」
「魔王も監視局も関係ない」
「でもさ」
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深く息を吸う。
そして言った。
「会社は、勝手に潰すな」
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沈黙。
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ミレイが少し目を見開く。
「その発言は選択ではありません」
ルクレシアが笑う。
「でも嫌いじゃないわ」
リリアが少しだけ微笑む。
「勇者様らしいです」
美咲も小さく頷く。
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その瞬間。
魔法陣が一瞬だけ揺れた。
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ミレイが呟く。
「観測結果……変動」
「“融合率”上昇」
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空間が大きくひび割れる。
そして――
現実と異世界が、完全に重なり始めた。
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### 次回
## 第七話
**「異世界出社日、開始」**
現実世界と異世界が融合。
魔法と会社が共存する世界で、
サラリーマン勇者の新生活が始まる――。




