# 第二話 ## 「異世界の聖女、会社に現れる」
# 第二話
## 「異世界の聖女、会社に現れる」
「銀髪の女の子と一緒にいましたよね?」
女性社員の言葉に、
俺は固まった。
「え……?」
「日曜日の夕方です」
彼女は真面目な顔で続ける。
「駅前で見ました」
そんなはずがない。
日曜日の俺は異世界にいた。
つまり――
その銀髪の少女だけが現実世界に来ていたということになる。
背中に冷たい汗が流れた。
「気のせいじゃないですか?」
「そうですか?」
女性社員は首を傾げた。
「でも、すごく綺麗な子でしたよ」
綺麗。
それは間違いない。
異世界一の美少女だからだ。
俺は頭を抱えたくなった。
(リリア……何やってるんだよ!)
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昼休み。
俺は急いで会社を飛び出した。
向かった先は駅前。
昨日目撃された場所だった。
「いるわけないよな……」
そう呟いた瞬間。
「勇者様ー!」
聞き覚えのある声。
振り返る。
そこには――
銀髪の少女。
白いワンピース姿。
満面の笑顔。
リリアが立っていた。
「見つけました!」
「見つけましたじゃない!」
俺は思わず叫んだ。
「なんでいるんだよ!」
「会いたかったので!」
「理由になってない!」
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リリアは不満そうに頬を膨らませた。
「勇者様はひどいです」
「いやいやいや!」
「私、三日も会えなかったんですよ?」
「三日?」
「こちらではそうみたいです」
異世界と現実では時間の流れが違うらしい。
リリアにとっては長い別れだったのだ。
「それで来ちゃいました!」
「犬の散歩みたいに言うな!」
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だが問題はそこではない。
周囲の視線だった。
通行人たちが見ている。
男性たちが羨ましそうな顔をしている。
女子高生たちまでヒソヒソ話している。
「あの子めちゃくちゃ可愛くない?」
「彼氏かな?」
「いいなぁ~」
やめてくれ。
俺は目立つのが苦手なんだ。
異世界では平気なのに。
現実だと恥ずかしい。
「と、とにかく隠れよう!」
「はい!」
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近くの喫茶店。
俺たちは奥の席に座った。
リリアはキラキラした目で店内を見回している。
「すごいです!」
「何が?」
「魔道具だらけです!」
「エアコンのことか?」
「冷たい風が出ます!」
「文明の力だよ」
「現実世界すごい!」
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その時。
店の入口が開いた。
そして入ってきた人物を見て、
俺は凍りついた。
「高橋さん?」
会社の女性社員だった。
目が合う。
沈黙。
数秒後。
彼女は俺たちの席へ歩いてきた。
「やっぱり昨日の子だ」
終わった。
完全に終わった。
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だが次の瞬間。
リリアが立ち上がった。
そして――
「初めまして!」
深々と頭を下げる。
「私は勇者様の未来のお嫁さんです!」
店内が静まり返った。
俺の魂も静まり返った。
女性社員は目を丸くしていた。
そして小さく呟く。
「……勇者様?」
嫌な予感がした。
ものすごく嫌な予感がした。
すると彼女は俺を見つめながら言った。
「高橋さん……」
「は、はい」
「もしかしてあなた、普通の人じゃないんですか?」
俺の秘密が、
少しずつ現実世界で崩れ始めていた――。
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### 次回
## 第三話
**「会社の後輩は異世界の住人でした」**
秘密を知られたと思った悠斗。
しかし本当に驚くべき人物は、
目の前の女性社員だった。
彼女が見せたペンダントは、
異世界にしか存在しないはずの宝石で――。
「やっと見つけました、勇者様」
現実世界にも異世界の住人がいた!?




