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風吹く先に  作者: アイル
13/14

第12話 これから先の事



――ふと、いい香りに目が覚める。

 少女は起きて辺りを見渡す。何時の間にか部屋に運ばれた様だ。

 それに気づいたのか黄色のローブを纏った男の人が器を持って入ってきた。



「よっ、目が覚めたみたいだな。良かった」



声をかけられピクリと肩を震わせた。



「まぁ、流石にトラウマだよなぁ…。そうだ、お腹空いてないか?」



 優しい声に見上げる。そう、いい匂いがして起きたのだ。少女はお腹をクゥーと可愛く鳴らす。



「…ま、何かを考える前に食事だな。ほら、これ食べな?」



 少女はお腹を鳴らしたことに恥ずかしがり顔を俯かせる。そして俯いたまま容器を受け取った。



「…あったかい…」


 そう呟く少女。そしてそのままスプーンでシチューを口に運びその味に目を見開く。



「……美味しい…」


「だろ?」



 少女は一心不乱にシチューをかき込む。時をり喉に詰まらせるも完食した。

 心做しか身体がポカポカしてくる。そんな時に男の人が改めて声をかけてきた。



「…シチューを喜んでもらえて良かったよ。さて、改めて聞くが君の名前は?」



 裕太はその少女を”覗た《み》”が改めて名前を聞く。――因みに”覗た”というのはハストゥールから貰ったアイテムの内の一つ。【心眼の宝玉】による鑑定である。以前ハストゥールが裕太の強さを垣間見た要因だ。


 それによるステータスの表示は名前や強さしか見えないが分からないよりかは有能である因みに詳しく表示するならこうなるだろう。


==========================

真名・ユウタ=ハスミ(0)

魂位・99

称号・加護を背負いし者/転生者

身体・15800魔力・15800

状態・通常


ユニーク魔法【大気万成】(+エネルギー操作)

==========================


==========================

真名・ルン【神精粘獣種】(0)

魂位・75

称号・千変万化/暴食者/数ある者

身体・3000(変化あり)魔力・10000(変化あり)


固有魔法・【捕食】【吸収】【擬態化】【超再生】【分離】

魔法・【分裂意思】【身体硬化】

==========================


==========================

真名・ミルア=シュルツ(15)

魂位・5

称号・水の巫女/水の操演者

身体・150魔法・5000+


属性魔法(水)

==========================




――少しだけ躊躇うように少女は答える。



「――………私はミルア…ミルア=シュルツ。……貴方は?」


「俺はユウタだ。この村が襲われてるのを見つけ助けに入ったんだが………君しか助ける事が出来なかった。…すまない」



 その言葉でミルアは顔を青くし俯く。肩が震えており小さな嗚咽が聞こえる。先程の事を思い出し生き残りが自分だけど知り深い悲しみと何も出来なかった怒りそして孤独と絶望を感じてるのだろうと思えた。



「――……っ、ぐっ、ぅう…お、さま…おか、さま……み、んなっ……ぐず…」



 あらゆる感情が飽和し溢れ出す。裕太はその姿を見るが声をかけることが出来なかった。

 それでもと傍によりミルアの碧い髪を優しく撫でる。

 暫く泣いてたミルアも少し落ち着いたのか顔を上げ言葉を告げる。



「…改めて、私を助けていただきありがとうございます。何もお返しは出来ませんが最大限の感謝を」


「…その言葉で君だけでも助けれた事が良かったと思える。ありがとう」



 暫くお互いに見つめあっていたがその沈黙を破る様にミルアが声を出す。



「…他の皆様の遺体は?」


「あぁ、そうだな…立てるか?」



 少し疲れていたが問題なく動けるようでミルアがふらつきながらも立ち上がる。

 外に出る扉に近づくにつれ少しづつ震えてきた。やはりトラウマなのだろうと裕太はミルアに声をかけた。



「大丈夫、もう魔物も居ないし何があっても俺が守るから」



 何ともくさいセリフに自分で言った裕太は内心で恥ずかしくなる。心の中の自分が恥ずかしさで転がってる様だ。

 だか、それが良かったのかやはり震えてるものの力強く頷き後ろを着いてきてくれた。



「…俺が分かる範囲で村の人達は此処に埋めさせてもらった」



 ミルアが見たのは約五十以上のお墓が並んで場所であった。それを見たミルアはふらりとお墓に近づきまた涙した。

 悲しみと寂しさも含んだ涙であるが一番はちゃんと弔ってもらえた事による感謝の涙であった。


 ミルアは悲しみと感謝で溢れる気持ちが抑えられなくてまた涙してる所を何も言わずに背中を撫で慰めてくれる裕太に安心した。




「…もう、大丈夫か?」


「…はい。本当にありがとうございます…」



 深々と頭を下げる。裕太は慌てて頭をあげさせ何故魔物がこの村に?と質問をした。




「…わからない、です…気づいたら村の結界が破れてて…」


「…結界?」


「……この森の魔物や魔獣達から意思を逸らすための【水迷の霧結界】《ミストフィールド》が張られてました。それが何時の間にか…」


「なるけど、な…(だから気づかなかったのか…)」


――にゅっ


『主さまー!しゅうへんのはいちかんりょーしました!』


「ひゃ?!」


『にゅ?!』


 突然のルンの登場に驚くミルア。それに驚くルン。



「お?そうかお疲れ、ありがとう。そう言えば言ってなかったな。俺の相棒のルンだ」


『主さまのしもべです!』


「うーん、下僕って…相棒でよくね?」


『いえ!しもべで!』


「あ、はい」


「……えっと、スライム、ですよね?」


『はい!ルンともうします!』


「…あ、ミルア=シュルツです…しかし、魔物が言葉を話してるなんて…特異ユニーク個体なのでしょうか?」


「まぁ、そうだな」


『主さまがマナを注いでくれたおかげです!』


「…大丈夫、ですか?」


「あー、言いたい事は分かる。でも大丈夫だちゃんと言う事は分かってるし俺が居るからな」


『ごめいわくはおかけしませんよー!』


「な?…ほら、悪いスライムじゃないよ!ってやつ」


「…はい?…」


『ルンはもともとわるくないですよー!』


「ア、ウン。…ナンデモナイデス」


「…ふふ…」


「お?」


「…いえ、ちょっと面白かったので…ごめんなさい」


「いや、謝ることは無い」



 ミルアは少しだけど笑える様になった様だ。年相応の笑顔なのだが時折魅せる儚げさは裕太をして心を揺らす程美しく感じられる。

 ミルアはその後、疲れが出たらしく直ぐに寝てしまった。裕太も起こすなんてことはせず周囲の警戒と此処数週間で日課になってる鍛錬をしながら夜明けを待った。





 * *



 翌朝、ミルアは起きた。部屋の中を見渡すが裕太とルンは居ない。夢だったのかと不安になるが外から声と風巻く音が聞こえそこに行く。

 そこではレッサーフェンリルを相手に竜巻を起こし木の葉を巻き上げ目隠しをしたり木の葉に風刃を纏わせ切りつけるように吹き飛ばしたりと戦闘をする裕太を見つけた。


 ミルアがレッサーフェンリルに驚いてるとミルアが居る事に気づいた裕太が戦闘を止めミルアに近寄った。それに続く様にレッサーフェンリル(ルン)が来る。


――ポフンッ


 間の抜けた音が聞こえ圧縮していた魔力マナが霧散する。そこに変化を解いたルンが現れる。ミルアはそれに再度驚く。



「レッサーフェンリルがルンさんに?」


「あぁ、ルンには擬態する魔法があるからな。様々な魔物になれるんだよ」


「あ…だからあの時ダブルヘッドドラゴンが…」


「そういう事だな」


『おはようございます!ミルアさま。もうだいじょうぶなのですか?』


「あ、はい…お陰様で」


「そりゃ良かった。…ミルアはこれからどうするんだ?」


「…分かりません。ですが此処に居ても魔物達に襲われるだけですから街へと向かう事になるかと…」


「そうか…もしミルアが良ければ一緒に来るか?」


「……これ以上ご迷惑はおかけ出来ません…」


「迷惑なんかじゃない。まぁ、俺がほっとけないってだけだ」


「…っ、良いの、ですか?」


「言っただろ?構わないよ。ルンも問題は無いだろ?」


『はい!』


「そういう事だ」


「ありが、とう…ございます」



 嬉しさと安心が押し寄せ涙が溢れる。

 失ったものは多い怖い事も多い。しかし、そんな中でも助けてもらい皆を弔ってもらいその上守ってくれると。それがとてもありがたくて嬉しくて強ばってた心が解けていく様だった。



「ほら、大丈夫だからもう泣くな」



 そう言いミルアの頭を撫でる。



「…はい!」


「よし、もしまだ辛いなら今日一日はここで休むか?」


「いえ、もう大丈夫です。皆を、そして両親を弔ってもらえたので…寂しいですけど未練はありません」


「そうか」


「本当にありがとうございます。…これから宜しくお願いします」


「おう」

『よろしくです!』



 そして、裕太は自分達を中心に竜巻を起こす。強烈な暴風の筈なのにミルア達には影響を与えてない。

 竜巻を拡大させていく見る見ると竜巻に巻き上げられた家屋や物は微塵に粉砕されていく。



「下手に残してたら魔物の巣窟になったりもしかしたら野盗何かが荒らしていくかもしれないからな」



 そう言い全てを巻き上げていく。そして全てを微塵にしたあとこれまた影響の無かった墓地に振り撒く。それはまるでそっち側でも自分達の家で暮らせる様にと願ったものであった。


 それに気づいたミルアは再度、感謝と嬉しさで涙する。そして――



「お父様、お母様…」



 両親の名を呼び祈るように2人の墓石を見やる。


 

 その様子を裕太とルンは優しげに見ているのであった。




これから一緒に過ごしていくヒロインです

基本は2人と1匹による冒険になっていきます!


楽しんでいただけたら嬉しいです!


感想や評価などお待ちしております!

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