謎の物体
西の森。
まだ、日の出からさほど時間はたっていない。
空気もいつもとは違う。
草や木の湿気を含んだあの爽やかな香りではなく、少し焦げたような鉄臭い臭い。
レビルさんが整地した西路を進むごとに、その臭いはよりきつくなっていく。
そして、一ヶ所だけまるで太陽がそこからでてきているかのように明るくなっている場所。
拠点の方を振り返ると、まだ暗い。本来は拠点側が東なので、拠点の方から明るくなるはず。
なんというか、すごい田舎の国道にぽつんと立つコンビニの灯りのような風景だ。
拠点から徒歩10分、1㎞ほどといったところか。西路から森に入りやや進んだ所にそれはあった。
直径2mほどの円盤型の物体。色は・・・・眩しくてわからない。けど、その形は見たことがある。いや、正確には俺自身は実物を見たことがない。TVやネットでたまに特集されてるあの乗り物。
『UFO』と呼ばれるものに酷似していた。
「これは、戦闘機のような飛行物体であるな。」
「そうかしら、私の国ではよくある乗り物だったけど。」
「俺は・・・・子供の頃、雑誌でよくこんな形をした乗り物を見たよ。」
「雑誌?」
「あ、いや、何でもない。ガソリンが漏れた臭いもしないし、爆発しないとは思うけど、慎重に調べてみようか。」
俺達はその物体に近づく。
「飛行機というのはこんなに明るいのか。明るいのに熱くはない。炎ではないのか?」
「『ライト』っていうんだけど、何て言うかな。」
「我の耳には『機械を原料とした光源』と聞こえた。概ねあっているか?」
「まあ、間違ってはいない。翻訳精霊がも大変であるな。こんな近代機械がこんなところにあると、精霊達は翻訳するにも大騒ぎであろうに。」
「だな。」
俺達はゆっくりと更にその物体に近づく。
その物体の下には木々がひしゃげ折れていた。・・・・ウサギだったと思われるナニかもつぶれていた。合掌。
激しく地面に叩きつけられたわりには、機体は壊れていない。丈夫な金属でできているのだろうか。
煙・・・らしきものも出ていない。
機体に触れようと手を伸ばす。
「タケル!無闇に触れないで!」
初めて聞くハナの大声に、体がビクッと跳ねる。
「もし、これが本当に空から飛来してきたのなら、すごい熱量かもしれないのよ。それに有毒物質がついていたらどうするの!」
あ、そうだよな。
「大丈夫ですぞ。」
レビルさんはすでに謎の物体の上に乗っていた。
「!!だぁ!レビル!何してるの!」
流石だ、レビルさん。ハナから『だぁ!』なんて言わせるくらい驚きの行動をとるのは、貴方くらいだ。
「ハナ殿は心配性であるな。拙者、なにも問題ないですぞ。」
あぁ、魔王ですから。そりゃ平気でしょうよ。
「いい?レビル。何も触らないのよ。スイッチとかレバーとか、とにかくなんにも触れちゃダメよ!」
あー、ハナ。それは言ってはいけないセリフだったわ。
「クククククククッ。ハナ、この世の理がわかっていないようだな。」
「え?なに?ディディ、なにか言った?」
「そなたの今のセリフは・・・・ほれ、タケル、なんて言ったか?この間、習った単語は。」
「『フラグ』だよ。」
「そう、それそれ。その『望まない未来の確率が一気に上昇するセリフ』。ハナのはまさしくそれだ。」
「え?なに?なんなの?」
「タケル殿ー!ボタンを押してみたが、なにか変わったこと起きましたか?」
「押したの!?」
ほらね、ハナ。
これがフラグっていうんだよ。
そして、謎の物体から白い煙が吹き出てきたのだった。
レビルさんは予想通りに動いてくれるいい人




