音
観閲式だからかな。音がリアル。
俺の国で言う『残暑』はまだまだ続いていた。
そして、俺達の生活もなんら変わりなく過ぎていた。
カムイとタケコの双子達はスクスクと成長し、最近は首が座るようになってきている。
ホープの幼児返りも、クジタのいきなり笑い出す謎の症状も治まってきた。
双子に付きっきりだったタケコも蚕世話や食事作りを始めたし、カムイの方も今まで以上に畑仕事に勤しんでいる。
シャインは一時期、レビルさんの城作りに巻き込まれていたけど、今はガラス作りや鉄抽出等をやっているらしい。その辺りは俺もよくわからない。
ルルは相変わらず、狩り。以前は薬草収集をしていたけど、カムイの畑で育て始めてからは収集はほとんどしていない。その分、俺達の服を皮や麻布で作っている。
ハナは生活全般の基盤だな。塩等調味料作成に保存食作成や食料在庫管理、種火の見張りなどその仕事は幅広い。冬に向けての保存食計算もしてくれる。本当に助かる。
ディディは・・・何をしてるんだろうなぁ。紙は順調に増えているようだけど、時々部屋に閉じ籠り『ククククククッ』という笑い声が聞こえるなか、何かを書いている。どうせ、俺達の黒歴史だろうが。
レビルさんは、まだ城を作っている。高台に石垣が張り巡らされ、本丸と二の丸と三の丸、櫓や倉庫も建て、屋根つきの通路で全てが繋がっている。レビルさん曰く、上下水道も整え、土間やトイレ、風呂も作り、其々の個室を作るとのこと。そして、この拠点と高台を繋ぐ階段まで作成している。最終的にはこの拠点から城に移住したいと目論んでいるらしい。
俺は相変わらずみんなの補助だな。稲麦の管理や家畜動物の飼育をクジタと共同でしているけど、後は三度の飯作りに掃除、狼や猫の世話、ハナと一緒に酒作りや発酵調味料作成。まあ、相変わらずパッとしない。仕方ないだろぉ、ただの人間だもの。
今はレビルさんの城作りの完成を待ちつつ、それぞれが各々の仕事をしているという感じ。
ここ一ヶ月はそういう感じでのんびり日常が過ぎていった。
そして、今日。
ハナ暦 9/1
まだ太陽は出ておらず、薄暗い早朝。
俺達の耳にいつもとは違う音が飛び込んできた。
其々の音の捉え方は違う。
カムイは『火山が噴火した』音。
クジタは『化け物が襲ってきた』音。
シャインは『山の主が叫んでいる』音。
ディディは『城に向かって投石された』音。
ルルは『風の精霊がご乱心した』音。
俺とレビルさんとハナは、同じ音に聞こえていた。
それは俺達3人とも過去に何らかの形で聞き覚えがあるからだ。
『低空飛行の飛行機が上空を飛んでいる』音。
ゴゴゴゴゴゴゴゴドドドドドド
大気を振動させ上空からナニかが落ちてくる。それも物凄い速さで。
最初は地震かとかと思ったけど、震えてるのは地じゃなく建物だ。そして内臓まで振るわされるような轟音。
このエンジン音。
2年ぶりに聞く文明の音。
その音は頭上を通りすぎていく。
ドップラー効果を耳に残しながら、最後に聞こえた音。
ナニかが墜落した音。
そしてその衝撃の地響きだった。
メテオかな




