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孤島奮起  作者: つふら
子猫達があらわれた
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城への情熱

拙者、レビル。現在522歳。


以前の職は風の魔王であったが、現在は無職である。


ここに来た当初は、新しい職業として漁師を名乗ろうと思っていたが、先月程から穴掘り師にしようと、実は心の中で決めていたのだ。


しかし、本日から拙者はこの職業を名乗ろうと思う。


『城作り師』


なんと、素晴らしい職業であろうか。


元々、拙者の趣味は工作であったがジオラマにも興味があった。精巧な縮図で物を作り上げたときのあの充実感は、最高級のウィスキーを飲んだ時以上のものである。


ログハウスや風車、馬車や日用家具を日々作成できるだけでも、拙者は毎日が幸せであった。原寸大の城などは夢のまた夢だと思っていたのだが、タケル殿は『作って良い』と、拙者に言ってくれたのだ。



DVDで映るあの様々な城が、拙者の目の前に広がる。


まず浮かんだのは、忍城。小ぶりながらも、沼地に囲まれ『浮き城』と呼ばれたあの城。耳を澄ますと、あの忍城の城主が、小舟の上で阿呆な踊りを踊っている声が聞こえる。拙者も画面を見ながら手拍子してしまった故、よく記憶に残っている。


次に浮かんだのは小谷城・・・いや、ダメですな。拙者の思い描く理想の城は山城ではなく、平城である。つい、小谷城さいごの城主の生き様が見事で、思い出してしまったが。


やはり、作りたいのは大きい城・・・・となると安土城か。そこの城主が見学ツアーをして料金が取れるほどの豪華絢爛さであったという。いや、あの城は家臣の手により燃えてしまったではないか。ならぬならぬ、そんな城にしてはならぬ。


落ち着け。拙者よ、落ち着くのだ。


ます、平城。この方向性でよい。次に、規模。出来れば姫路城のような連立式天守がよい。しかし、天守以外の物見櫓や小天守が必要であるのか?


否。必要が無く、本来の目的からも大幅に逸れてしまう。しかし、だがしかし、拙者の奥底から悪魔の声がささやいておるのだ。『ユー、やっちゃいな』と。


いや、ダメである!


よし、規模は独立式天守とする。決めましたぞ。男レビル、もう揺らがぬ男の決意ですぞ。


天守は出来るだけ高く、天にも届くような物を作れば良いのだ。


そうなると、姫路城・・・いや、江戸城であるか。さすれば大阪城も捨てがたい。しかし、建築面積はさほど広くはないとなると、五重塔のような物を作れば良いのではなかろうか。


ダメだ!それでは拙者の望むものではない。拙者は作りたいのは城!城である!


深呼吸を二度ほど挟む。落ち着くのだ、平静になれレビルよ。



・・・・・・・・・・よし。


ここはまず整地をしながら考えることとしよう。行動せねば何事も始まらぬ。まずは整地から始めようではないか。


ズサァ


バサァ


ガザァ


高台は次々と木が無くなり、徐々に広がっていく。伐採しながらも拙者の頭は、天守への妄想ばかりがよぎる。やはり拙者の職業は『城作り師』であったのだ。今までの穴掘りも木の伐採も全てがこの職になるためのセオリーであったのだ。


高台は概ね1時間で整地することができた。整地作業も1年やっていると熟れてくるものだ。木の根なども片手で難なく取り除けるようになってしまった。




天守台。侵入者などいるはずもないので、天守台を作る必要性はないが、やはりそこも男としてこだわりたいところであるな。7m程の太い丸太杭を16本ほど埋めこみ、その上に土台の板を張る。そしてその周りに石を積み上げていく。大きな石はそこら中に転がっている。後はひたすら運び、切り、並べ、積み上げていけば良い。


よし。これだけ積めば大丈夫であろう。


そして、土台の上に、拙者が今まで培ってきた建築(ミニチュア)技術を総動員させ、天守を建てるのである。目指す高さは50m、7階建て。


最上階以外は空き室になるので、もしも住民が増えるようならそこで寝泊まりをしてもらえば良い。


・・・・・そうか、拙者・・・・失念していた。


近くに土間と居間の平屋を建てれば、拠点が水没してもこちらで暮らしが出来るではないか。となると独立式天守では足りぬ。連立式天守に変えねばなるまい。


ズサァ


バサァ


ガザァ


よし、大分整地が完成した。このあたりに、平屋を・・・いや、そうなると見栄えが悪い。やはり石垣で四方を囲まねばならない。


ズサァ


バサァ


ガザァ


うむ。これだけあれば、立派な城が建つであろう。


・・・ちょいと待たれよ、レビル。それならば厠や浴槽も作り、上下水道の整備をした方が良いのではないだろうか。


それでは・・・・・・・・・



■■■■■■■■■■■■■■■■



「で、コレですか。」



「タケル殿、面目無い。」



俺は確かに言ってしまった。『作っていい』と。


まさか高台全てが、1日で一面整地され地面に生まれ変わるアフターは想像していなかった。



流石と称賛すべきところか、マジかと驚くべきところか。


山火事でもおきたのかと思うくらいの見事な整地っぷり。野性動物達は、そりゃもうさぞかし必死に逃げたことでしょうよ。


「い・・・・いやぁ、レビルさんはすごいですね!でも、もう少し規模が小さくてもいいかなって思うんですよ。あ、でも

カッコいい城、楽しみにしてますよ。」


『相手をまず認めて。そして、それから要望や希望、指摘を言の。そして、最後にもう一度、労う事。』


先輩から教わった患者さんに対して当たり障りなくこちらの要望を伝える方法、試してみました。すいません。今回は逆効果だったかもしれません。


だって、この患者(レビル)さんの顔、ギラギラしてますもん。

城への愛

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