次の一手
ハナ暦 8/1
終わりは突然訪れた。
洞窟の深さは傾斜約15度、幅2mの地下洞窟を掘り始めておおよそ30日。昨日、その探索は終了してしまった。150m程掘り進めたところで、あの見えない壁が現れたのだ。推定深さ10m。
それ以上進もうにも、レビルさんの渾身の一撃ですら、やはりびくともしなかった。
「・・・・下もダメか。」
「そうであるな・・・。一応、最下層のあたりを色々探ってみたのであるが、どこも手応えは同じようなものであった。」
「下もダメ・・・。となると、上しかなくなるわね。」
俺達は居間で朝食後に話し合っていた。
「上ってどういくの?山でも登るの?」
「このあだりにゃ、高けー山なんてねーど。」
「後は、高い建物を建てるしかないのか。」
「重力を計算に入れながら、『ビル』でも建てようってこと?」
「クククククッ、あの話に聞いた建物が見られるかもしれないのか・・・。我は、その方法が良いと思うぞ。」
「ディディはビルが見たいだけだろ!」
「何が悪い。」
「二人ども喧嘩しでもいいけど、もうこし声を大きさ静かにしてくれ。やっどこさ、寝たんだから。」
あ、ごめんキヌコさん。
にしても、困った。これで残された選択肢は上・・・つまり空しかない。しかし、今までと違って足場がない。可能な限り、木材や石を使って本当にバベルの塔でも作るか?現実的に出来るのだろうか。
「レビルさん、どう思います?」
「うむ。塔を作るという手もあるが、どのくらいの高さになるのか、この時点では想像も出来ぬ。せめて、空の高さがわかれば良いのだが・・・・。」
「空の高さ、か。」
結局話の答えは出ないまま、俺達は各々の仕事へと向かった。
浜辺。
本日7回目のダイブからなかなか海から上がってこないレビルさん。
俺は魚の内蔵処理をしながら、俺は『空の高さを知る方法』を考えていた。
空を垂直に上がる方法、『飛ぶ』か、『高い建物を作る』か。
まず、『飛ぶ』となると、貧弱な俺の頭には気球しか思い付かなかった。熱気流で上昇させる・・・・いやいや、人を一人分浮かすことの出来る火力はない。基本資源が石と木材と竹。ガスボンベ、無理。空気の漏れない巨大な袋、無理。ヘリウムガスなんてない。
うーん。やっぱりバベルの塔か。
ドヒューーン
「いやぁ、遅くなって申し訳ない。」
海面から元気よくレビルさんが飛び出してくる。一回転宙返りをしての砂浜着地は、毎日見ても飽きない。
「あ、随分長く潜ってましたね。」
「海底にも見えない壁があるのかと潜ってみたのだ。」
「まーた、そういう無茶しないでくださいよ。」
「まぁまぁ、そう言われるな。タケル殿のお好きな巨大エビを捕まえてきました故。」
伊勢エビ10匹、ありがとうございまーす!!!!
「水圧もあり掘り進めることは出来ず、申し訳ない。」
ハハハ、巣潜りで一瞬にして水深30m潜れる魔王に謝られてもなぁ。
「やっぱり、塔しか無さそうですね。」
「そうであるな。なに、拙者は作る分には構わぬぞ。一度、『大阪城』というものを作ってみたことがある故、構造はわかるのである。むしろ、原寸大で作成してみたいものだ。」
何故だ。
何故『塔』から『城』に刷り変わった。
そして、何故に辺境の島国の城の名前がツラツラ出てくるのだ。
「・・・・DVDっすか?」
「ヴゴゴフッン!!な、なんですかなー!?!?その面妖な単語は。デイブイ??拙者、さっぱりわからぬ!わからぬぞ!」
シナリオ通りの狼狽えっぷり、ありがとうございます。
「じゃあ、作ってみますか。」
「よいのであるか?よし!拙者、立派な原寸大の大阪城を作ってみせよう。そうなると、あとは漆喰を用意せねば・・・・瓦も焼かねば。あ、瓦はタケル殿にお任せしよう。あとは・・・ディディ殿に障子紙と襖もお願いせねば。あとは畳であるな。それはハナ殿に・・・いやキヌコ殿の方がよいであろうな。金箔はシャイン殿にお願いするとしよう。」
「ちょっ、レビルさん!内装とかは別にいらないんじゃぁ・・・・。」
「何をおっしゃる!城というのはな、ロマンですぞ?あの幻想かつ雄大な佇まい。大阪城でもよいが、名古屋城も捨てがたい。白鷺城も見た目は素晴らしい。いや、待ってくだされ。想像だけで江戸城を作るのもまた一興。タケル殿はどの城が好みであるか?」
城の好み・・・・。俺、生まれて初めて同性から真顔でそんな質問をされました。
「・・・一番、高いお城が・・・いいんじゃないっすかねぇ。」
「一番高い城か。その定義も難しい。天守閣が一番高いとなると江戸城か。いや、大阪城も高い。しかし、標高全て含めると話は変わってくるからやはり名古屋城か。高さを出すには石垣の高さを調整をせねばならない。では石垣さえ組めば、天守閣のデザインはやはり拙者の好みでもよいのではないであろうか。」
これは、魔王趣味心が発動されてしまったようですね。
「レビルさんの好きに作っていいと思いますよ。」
「本当であるか!!拙者の好きでよいのですな!!」
あ、はい。
俺は頷くしかできなかった。
「拙者、立派な城を作り上げ、殿を安心させるでござるよ!!」
殿って誰だよ?ござるって、キャラ変わってるだろ。レビルさん、アドレナリン出過ぎて、自分で何を話してんのかわからなくなってないか?
とにかく、レビルさんがやる気になってくれた。今までの経験上、レビルさんのやる気エンジンがこうなると、物凄い勢いで建物が出来ていくのだ。
「タケル殿、立地はどうされますか?」
「場所かぁ。此処等で高いのは、最初の拠点があった場所かなぁ。」
「そうですな!それではあの高台に早速立て始めることにいたそう!」
次の日。
はい。ご想像通り、高台の森が綺麗な整地になっていました。
怖いわー、趣味没頭。
時々あるある
朝、普通に起きて、PS4を起動すると、気が付いたら夕方とかね




