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孤島奮起  作者: つふら
子猫達があらわれた
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友に

「なんかあった?顔が死んでるけど。」


と、私に言う『アンタ』。


いつも不思議に思う。何で私の気持ちを何も言ってないのにわかるのかって。


「別に何もないならぁー、飲みたい。今日は彼氏来る日?来ない日なら、飲みに行こうよ。イライラがたまってるから飲みたくてさ!」


なんで、彼氏と喧嘩した次の日を狙って、飲みに行こうと言ってくれるんだろう。私は何もアンタに伝えてないのに。


「・・・・で、こんなことあってさ、スッゲームカつくの。アンタはどう思う?」


「そっか。しんどいね。」


私、知ってる。今日は職場で嫌なことあったでしょ。なのに、その事には触れず、私の話をひたすら聞いてくれるアンタ。


「聞いてくれてありがと。でもアンタも今日はなんか、しんどい顔してたけど、何かあったの?」


「あー、仕事はいつもしんどいからなぁ。嫌なことばかりだよ。でも、そっちの上司の方がきついわ。で、何があったの?」


そうやって自分の事よりも私の事を優先するアンタ。


なんで、自分の事を後回しにしてまで、そうやって私に接するの?私はアンタの気持ちを聞きたいのに。愚痴って、腹をさらけ出してほしいのに、なんでそんなに私のことばかり気にするの?


頼りないのか、信用されてないのか、どうでもいいのか。


でも、アンタは言ってくれる「そっか。話してくれて、ありがとう」と。


私はアンタの友達でしょ?なんで?なんで、自分自身をさらけ出さないの?




散々一緒に飲んで、散々一緒に遊んだアンタが死んだ。



崖で見つけた子供を救おうとして、飛び込んで、子供を救おうと盾になって死んだ。



遺影は笑ってた。



子供をかばうくらいなら、アンタに生きててほしかった。


滅多なことで笑わなかったアンタ。「仕事中は笑顔を振り撒くのは当たり前」と言って、仕事中はずっとニコニコしてた。けど、私の前だと一切笑わない。微笑むだけ。


なのに、アンタの葬式ではすごい作った笑顔のアンタが笑ってた。これはアンタじゃない。


アンタは笑わない。


嘘の笑顔。


作られた笑顔。


それが悔しくて涙がでた。


私の落ち込みを励ましてくれようと、彼氏は必死に私に言った。


「お前が泣いていたら、あの子は成仏できないよ。あの子の遺影も笑っていたじゃないか、だからお前もあの子の分まで笑って過ごせばいい。」



違う。違う。


アンタは私に笑って過ごして欲しいなんて思ってもらえるほどの関係ではなった。


私が一方的に聞いてもらって、搾取して、友人として側にいてもらっただけだ。


でも、アンタはいない。聞けもしない。死んだから。


アンタらしい偽善者みたいな死に方で。他人を救って、最後までイイ人ぶって、『他人に求められている誰か』を演じて死んでいった。


悔しい。


会いたい。


でも、もう会えない。


最後に会ったのは68年前。


なのに、アンタのこと、まだ会いたいと思っている私がいる。話したい。アンタが死んでから、どうやって生きてきたか、どうやって乗り越えてきたか。アンタに聞いて欲しい。


少し目を開ける。


私の子や孫、曾孫まで私を見つめている。


もう、死ぬんだよ、私。


アンタと68年、話してない。


その分、アンタに話すよ。色んな悩んだことや文句。


あの世でいっぱい話すよ。



誰でしょう

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