↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
孤島奮起  作者: つふら
鬼があらわれた
PR
66/126

赤鬼の角


カムイは物凄い勢いで畑を拡張していった。土を耕し、石や草木の根っこを取り除き、ひたすら耕していった。


木製鍬が凄まじい勢いで壊れていくが、負けじとレビルさんが鍬をこさえていく。ホントは鉄製だといいんだろうけど、シャインには馬車作りの為の部品を優先してもらっているので、なかなか鍬までは手が回らない。


「おではずっと、木の鍬使ってだから、問題ねぇ。」


まあ、壊れた鍬はそのまま薪になるからいいんですけど。


カムイが拡張して耕し、畝間(うね)を作った所に、キヌコさんが種を撒いたり、植え替えをする。今での畑は堆肥や腐葉土、灰で土を作り直し、そこに新しく種を撒いている。ヘクタールとかはよくわかんないけど、とにかく広くなった。今までの4倍・・・いや、5倍はある。


「植えてる種類が多いんじゃ。こんぐらい広くなかと、野菜が泣ぐ。」


だそうだ。なんか、香草を側に植えると虫が来なくなったり、育ちがよくなったりとかあるらしい。この辺はハナと話ながら畑の区画整理をしている。


鬼という種族は人に比べて基礎体力がうんと高い。体が大きいこともあるが、筋力もすごい。けど、とても温厚な種族だそうだ。


「鬼の力は、子や野菜ば育てる為のもんで、殴るだめのものでねぇ。」


そうやってホープをあやしながら、カムイはニッと笑う。同い年なのに、なんだかお父さんだなぁ。




夜、それぞれ作業を片付け自室に戻っていた。居間にいるのは俺とハナとカムイの3人。ハナとカムイは種うえの場所の検討をしていたのだ。


俺がそろそろ自室に戻ろうと思ったとき、ディディがそっと入ってきた。


こんな時間に居間に来るのは珍しい。


「どうした?眠れないの?」


「いや、カムイに聞きたいことがあって部屋を尋ねたら、まだ居間にいると聞いて、戻ってきた。」


珍しいこともあるもんだ。


「突然で悪いが、カムイはどのような場所に生まれた?」


ディからがいきなりカムイに話しかけた。ビクッとなるカムイ。ハナと話をしていたのに、いきなり話題を変えられたら、ビックリするよな。


「おでさ無まれたとこ?山んなかじゃ。強いオットオとおっかないオッカアがいてな。木ど畑しかながっだ。」


「家族構成は父・母・カムイの3人か?」


尋問か?


「いや、妹がいだが、生まれですぐに死んだ。あと、ジッチャとバッチャもいだよ。」


「妹は病気で死んだのか?」


「ディディ、あんまりプライベートなことを聞くなよ。」


「そういうものなのか?」


「そうだ。いきなり聞くのは失礼に当たることがある。」


「我はそこまで考えが及ばなかった。謝罪する。」


「いやいや、おではかまわん。そげな大昔のことで、どうこうならんからよかよ。」


「ディディは『心の機微(きび)』ってうのがうまく理解できなくてな。もし、辛いようならちゃんと言葉にして教えてやって欲しい。」


「そうだな。我には『表面的には捉えることのできない、人間関係や、心と心のふれあいなど』はわからないな。」


久しぶりのビックリ翻訳だ。流石に『機微』という単語はヴァンパイヤ語変換は無理だったようだ。


「おでにだって、わかんねぞ?その『上っ面の関係、騙した心を考える』なんてこと、しね。おでは、いつもおもっだごと、正直に話す。だめならダメっで言うから。ディディ、聞いてみろ。」


鬼語もか。でも種族が違うと内容は同じでもニュアンスが変わるんだな。風の聖霊もご苦労なことだ。大変だろうに。


「そうか、ならいいんだ。少し二人で話してみなよ。」


俺はそう言って、腰を上げた。


「あ、タケル。」


「ん?」


「あしたは、探検にいぐっで言ってたな。おでも連れてっでくれるんか?」


「もちろん。」


「なら、朝のうちに畑仕事、すませどく。」


「よろしく。じゃ、ふたりともお休み。あんまり夜更かしするなよ。ハナもお休み。」


「おやすみ」


「おやすみなさい。」


俺は自室に戻る。






朝、夜明けとともに目が覚め、いつものように土間へ行く。


「おはよ。ハナ。」


窯と石窯に火を入れ、担い桶を持ち、川の水を汲みに行く。


「タケル、おはよう。」


あぁ、今日は水やり日か。カムイの顔を見て、挨拶をしようとした。が、俺の口から挨拶は出てこなかった。


「カムイ!角!角どうした?」


カムイの額から15㎝ほどはえていた白い角が根本を残しなくなっていたのだ。


まさか、ディディか?あいつ、興味本位で折ったのか!?


「なんだ、すぐ気づぐって、よく見でるな。」


いやいや、角があるからこそ鬼だし、角がなかったら体が赤い謎の人ですよ!


「普通、気がつくでしょ!」


「ハナにはなんも言われながったから、気がづがねと思ったんだがな。」


それは『気がつかなかった』んじゃなく、『気を使われた』んですよ。


「で、どうしたの?」


「え?昨日、自分で折っだ。」


「何でまた!?」


「鬼の角は野菜のいい肥料になる。だから、折っだ。」


「痛くないの?」


「爪と同じだ。いだぐね。またはえてくっしな。」


そうか、ならいいんだけど。


「そんなにいい肥料になるの?」


「そだ。成長が5倍くらいに早くなる。」


あぁ、鬼のチートってやつですか。すごい能力ですね。


「だから昨日の夜に全部、粉にして、朝、少しずつ畑さ撒いだ。」


カムイの顔は誇らしげだ。



「鬼一族にとっで、角は誇りだ。農作物をいっぱいそだて、嫁子を養うため、一年伸ばした角さきりおとし畑さ少しずつ撒く。そんために春、切り落とすんだ。そんだけのこと。目ん玉さくりぬいた方が効果はいいんが、流石に目ん玉さ、くりぬくんのは、死んだとぎだけだな。」


はえてくるんだ、角。


よかったぁ。マジでディディがへし折ったのかと心配してしまった。


「さで、さっさと飯さぐって、探索行ぐんだろ。順調せねば。」



そう言って、カムイは畑に戻っていった。


昨日、カムイとディディが何を話したのかわからない。けど、俺がしなきゃいけないことはわかっている。


「あー、朝飯作んなきゃ。」




骨粉は遅延性いい肥料になるらしい。鬼角は速効性のいい肥料になるらしい (カムイ談)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。