男二人の妄想
モーニングミーティング後、俺とレビルさん、ダイヤ・サファイヤ・エメラルドは海に行く。
今日もレビルさんはふんどしで海に飛び込み、10匹獲ってきた。昨日と同じ魚はなく、エメラルドチェックもクリア。下処理もオッケー。ダイヤ・サファイヤは獲物が捕れず、ちょっとシュンとしている。
拠点に戻りながら歩いていると、レビルさんが聞いてきた。
「タケル殿は、どんな家を想像しておられるのだ?理不尽な事や実現不可能だと思われていることでもかまわぬ。思いつくままの事を口に出してみて下され。」
「えーと、家の中で料理が出来たらいいな。部屋の中にトイレがあるといいなとか、お風呂があるといいなとか。・・・そういう大雑把なイメージでもいいですか?」
「かまいませぬ。」
「食料庫とそれぞれの寝室はあるといいな。雨でも作業が出来る作業室もあるといいですね。在庫置き場も欲しい。みんなでご飯を食べられるリビングもいいよなぁ。干物をつくる加工場とか、燻製場とかあると作業が上がるだろうな。」
「本当に色々希望がおありなんですな。」
「ほら、何でも言っていいってレビルさんが言ったからですよ。」
「そうであったな。いろいろ聞けると、拙者も想像力がわいていい刺激となる。」
「問題は光源がないって事なんですよね。」
「そうであった。ここには電気や蝋燭などがない故、どうにか光を確保せねばなるまい。」
「レビルさんの国では電気があったんですね。」
「それは当然である。タケル殿の国はなかったであるか?」
「俺の国はありましたけど、ルルの国にはなかったみたいです。」
「国によって文化も歴史も異なる。致し方ないことではあるが、科学技術に慣れてしまうと、このような自然の生活が少々不便を感じてしまいますな。」
「そうですね。でもそのお陰で色々考えることが出来るので、ありがたいとは思いますよ。そのもの自体を知らないと、考えることすら出来ませんから。」
「そうであるな。拙者もできるだけ理想を持ち、理想に近づけるよう家を制作してみようとしよう。」
「楽しみにしています。」
昼食後、レビルさんと予定地候補を探索しに行った。
拠点側ではなく、川を渡った先にある平地にしようと考えている。
「この間の増水でもこの辺りまでは全然水は来ませんでしたので、ここらがよいかと思います。」
「そうであるな。植物の育成具合からみても、水害被害はないのであろう。」
「津波は心配なんですけどね。海からそんなに離れてないし、海抜も高いとは言えませんから。」
「早々津波など起こらないとは思うが、家の土台を高くしておこう。」
ここに来て初めて方位磁石を使用した。
「やっぱり海の方が東ですね。」
「日の動きと川の位置から、やはり川の方を向いて・・・。」
「トイレの位置は川から離した方がいいですね。」
「そうであるな。後は、最大に氾濫した場合の事を考慮すると、土台は石、高めの位置に部屋を持ってくる必要がありますな。」
「後は、人の動きの動線ですね。」
「うむ、移動しやすいよう部屋の位置も考えねばならない。」
「ガラスがないから窓は竹簾でもかけますか。」
「それは、いい案ですな。拙者は木の扉の窓を作成しようと思っていたのですが、木の窓は設置し、簾はカーテンのようにしてみてはいかがか?」
「確かに。そうしましょう!」
「調理場は暖炉のような作りにして、その上で調理場できませんかね。」
「ふむ、窯をつくるか。となるとレンガが必要と言うわけだな。」
「レンガ、どうやって作ればいいんでしょうか。」
「拙者もわからない。土を素焼きにして作るのであろうか。そうだ、大きい石をレンガ型に切ってしまえば良いのではないか?」
「うわ、レビルさんしか出来ないやり方ですね。いっそレビルさんが完成形に石をくりぬいた方が早い気もしますけど。」
「その手があったか。いやはや、固定観念に縛られると考えが浮かばないものですな。そのやり方、貰いましたぞ。そうなるとキッチンは土間のような作りにした方が良いかの。」
「土間かぁ。風流ですね。本当は水道があるといいんですけど。」
「そうであるな。そうなると、雨水やらを貯められるタンクが欲しいものよ。下水もどうにかならないかのぅ。」
「上下水道あると、いいですよね。問題は水の確保、そして下下水をどこに流すかですね。」
「うーん。下手に海に流して水質汚染しては困るしな。こういう時にプラスチックやコンクリート等の素材が手にはいれば良いのだが。」
「あ、収納もひつようですね。収納棚や籠を作って置きますね。」
「いやいや、収納は壁に木の板を埋め込めば良いではないか。それでも足りないようであれば作り足せば良い。」
「あと部屋の明かりのことなんですけど、竹の発火点が高ければ、ランプになるかなって思って。今日、実験してみましょう。」
「もし、竹が簡易ランプになるのであれば、部屋の所々に竹ランプ置き場が必要である。野外には松明をおける場所でも作成してみるかの。」
「いいですね、なんかかっこいいじゃないですか。」
「よい、夢が広がる。拙者、大変面白くなってきておる。」
「俺もですよ。」
崖の上から、ルルが冷めた目で俺達を見ているとも知らず、男2人はワクワクしながら家について熱く語り合っていた。
楽しみだな、家。




